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それから数日後。ゴールデンウィーク初日。
4月26日火曜日。時刻は早朝5時45分。
夜が白々と明け始める頃、駅前には怪異探求倶楽部の一同が集まっていた。
さくらの母・秋穂は、申し訳なさそうに皆へ頭を下げる。
「ごめんね皆んな?こんな朝早くから」
信愛は柔らかく微笑みながら首を振った。
「いえ、さくらは大切な友達ですから」
茜も元気よく頷く。
「ですで〜す♬」
そして胸を張るように続けた。
「さくらの為だったら早起きなんて朝飯前で〜す」
その言葉に、秋穂はほっとしたように笑みを浮かべた。
「ありがとうね」
そんなやり取りを見ながら、朝陽は駅前を見回す。
「でもこんな朝早いのに結構人居ますね」
確かに、駅前には早朝にもかかわらず多くの人々が行き交っていた。
焔垂はその様子を眺めながら言う。
「やっぱゴールデンウィークだからな」
信愛は時計に目を落とし、秋穂へ確認した。
「確か、今日は6時16分の新幹線に乗るんですよね?」
「ええ、そうよ」
「じゃあ急がなきゃですね」
一同はJR北陸新幹線かがやき501号へ乗り込み、およそ1時間20分かけて長野駅へ向かう。
さらに長野駅でJR飯田線へ乗り換え、約3時間をかけて飯田駅へ到着した。
約4時間に及ぶ長旅を終え、一同はようやく飯田駅のホームへ降り立つ。
信愛は大きく背伸びをしながら息を吐いた。
「うー・・・ん」
その姿を見た茜も、その場へへたり込む。
「やっと着いたぁ〜・・・」
朝陽は苦笑いを浮かべた。
「長旅でしたからね」
茜は疲れた表情のまま朝陽へ両肩を向ける。
「朝陽くん? 肩揉んで」
しかし焔垂が割って入る。
「んな事言ってねーでホラ、行くぞ」
そう言うと前方を指差す。
「天虎村まではあともう少しなんだぞ」
茜は思わず目を丸くした。
「えー!?まだあるの〜!?」
すると、さくらが申し訳なさそうに笑う。
「ごめんね? 茜?天虎村って
とんでもない田舎だから」
茜は慌てて立ち上がり、笑顔を作った。
「あ、ううん全然平気!」
信愛はさくらへ尋ねる。
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
「確か、叔父さんの奥さんが
車で迎えに来てくれるんだよね?」
「そのはずなんだけど・・・」
さくらは辺りを見回した。
すると、遠くからこちらへ向かって手を振る女性の声が聞こえてくる。
「さくらちゃーん!」
秋穂が嬉しそうに声を上げた。
「あ、居た! 居た!」
一同の視線の先に立っていたのは、さくらの叔父の妻・諏訪部美羽だった。
さくらはぱっと表情を明るくすると、大きく手を振りながら駆け寄る。
「あ♬美羽さ〜ん♬」
美羽も優しく笑みを浮かべる。
「久しぶりね、さくらちゃん♬」
続いて、信愛たちへも穏やかな笑顔を向けた。
「あなた達もわざわざこんな
遠い所までにありがとうね♬」
信愛は少し照れたように笑う。
「いえいえ」
そして真っ直ぐ美羽を見つめた。
「さくらは大切な友達ですから!」
その後、少しはにかみながら続ける。
「まあ、お茶の収穫の経験ないんで
お役に立てるかは分かりませんけど
できる限りやらせてもらいます」
その言葉に、美羽は感心したように微笑んだ。
「まあ、高校生なのにしっかりしてるのね」
すると、茜がすかさず胸を張る。
「私も高校生だけど、しっかりしてまぁ〜す♬」
その一言に、焔垂が呆れたように肩をすくめた。
「しっかりしてる奴はな?自分で
しっかりしてるって言わねーんだよ」
「あーもう、いちいちうっさい!」
茜は頬を膨らませて言い返す。
その様子を見た朝陽は苦笑いを浮かべ、美羽へ頭を下げた。
「あはは・・騒がしくてすいません・・・」
すると信愛が微笑みながら朝陽の肩を軽く叩く。
「一番若い朝陽くんが、しっかりしてるじゃん」
和やかな笑いに包まれながら、一同は美羽の運転するハイエースへ乗り込み、天虎村へ向けて出発した。
車が山道を走り始めると、信愛は窓の外を眺めながら思い出したように口を開く。
「そう言えば、お茶の収穫って
大体何日間かけてやるもんなんですか?」
運転席の美羽はバックミラー越しに微笑む。
「まあ、お茶の種類によってバラバラなんだけど」
少し間を置いて説明を続けた。
「まず一番茶ってのがあってね」
「一番茶?」
信愛が首を傾げると、美羽は分かりやすく言い換える。
「まあ、分かり易く言うなら新茶ね」
「あぁ~! 新茶か!」
信愛は納得したように頷く。
「この一番茶は、大体4月下旬から
5五月上旬にかけて摘採するの」
「へぇ~そうなんだ」
感心する信愛の横で、さくらも話に加わった。
「この一番茶ね? 一番休眠期間が長いから
栄養が豊富でめっちゃ甘くて美味しいの」
茜も思い出したように笑う。
「私も昔貰ったことあるけど
めっちゃ飲みやすくて美味しかったよ」
朝陽は興味深そうに目を輝かせた。
「へぇ、飲んでみたいなぁ〜」
美羽はさらに説明を続ける。
「そして二番茶が一番茶の摘採から
大体50日後にやって」
「最後に三番茶!この三番茶が
二番茶の摘採から大体40日後くらいにやるの」
さくらは少し表情を曇らせた。
「叔父さんが、この一番茶の摘採前に
怪我しちゃったって訳」
「なるほどね」
信愛は状況を理解したように静かに頷いた。
その時、助手席の秋穂が前方を指差す。
「あ、見えてきたわよ!あれが天虎村よ」
焔垂はフロントガラスの向こうに広がる山あいの集落を見つめ、小さく呟いた。
「天虎村・・・」
コメント
1件
わあっ、新たな章の始まりだね〜!✨ ゴールデンウィーク初日から朝早く集まって、さくらのためにみんなで長野まで行くってエモすぎる…😭💕 茜の「早起きなんて朝飯前で〜す」からの焔垂のツッコミ、朝陽くんのしっかりした対応、キャラの個性が光ってるよ!まだ天虎村に着いただけだけど、これからお茶の収穫体験と怪異がどう絡んでくるのか気になりすぎる…!続きが待ち遠しいです⋆♡