テラーノベル
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数日後。
「……また?」
朝、カーテンを開けた心音は、空を見上げていた。
青いはずの空。
なのに、以前より少しくすんで見える。
「……気のせい、だよな」
そう呟いて、学校へ向かった。
昼休み。
友達が持っていた赤いペンを見て、心音は首を傾げる。
「これ……赤?」
「え? そうだけど」
「……そっか」
まただ。
色が分からない。
最初は一つだけだった。
でも、それから少しずつ。
赤。
青。
黄色。
見えるはずの色が、灰色に近づいていく。
その日の帰り。
Lapisと並んで歩いていた。
「今日どうしたん?」
「え?」
「なんかぼーっとしてる」
「……ちょっと疲れただけ」
「ほんま?」
「うん」
Lapisは心配そうに心音を見る。
その顔を見ていると、心音はなぜか安心した。
――この人だけは、ちゃんと見える。
そう思っていた。
けれど。
翌朝。
鏡の前に立った心音は、息を呑んだ。
部屋の中が、ほとんど白と黒だった。
「……何、これ」
急いで病院へ向かった。
検査を終えた医師は、静かに口を開く。
「網膜色失症候群です」
「……もう一回、お願いします」
「網膜色失症候群。非常に珍しい病気です」
聞いたことのない名前だった。
医師は資料を見せながら説明する。
「この病気では、徐々に色の認識が失われます」
「……治るんですか?」
「現時点では、確立された治療法はありません」
心音の指先が震えた。
「じゃあ……このままだと?」
医師は少し間を置いた。
「症状が進行すると、最終的に視界そのものを失う可能性があります」
「……」
頭の中が真っ白になる。
色がなくなるだけじゃない。
いつか――
何も見えなくなる。
その帰り道。
心音はスマホを開いた。
Lapisからメッセージが届いていた。
『終わった?』
たったそれだけなのに、涙が出そうになる。
心音はしばらく画面を見つめてから、
『うん。今帰ってる』
とだけ送った。
病気のことは言えなかった。
怖かった。
もし話したら、もしLapisが離れていったら。
そう考えるだけで、胸が苦しくなった。
その日から心音は、色のない世界を一人で抱えることになった。
コメント
5件
らぴぴだけ見えると思っていたけど違って色だけじゃなくて全部見えなくなっていくってめちゃ怖いし、しかも友達に言えるもんじゃないよなぁ。ここから心音くんはらぴぴに言えるのかな、?それとも言わずにどっか行っちゃうとかかなぁ?
#御本人様とは一切関係ありません
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