テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#ミステリー
鬼霧宗作
202
さなめ
538
江藤ルミエール
415
その時、教室の隅にいた尻山湯治《しりやまとうじ》が突然叫び声を上げた。 ケツというあだ名で呼ばれている彼が、パニックを起こしたように、手に持っていた短刀を床に投げ捨てた。
教室内に緊張感が漂う中、尻山は扉に向かって走り出した。
「扉、この扉……ここから出られるかも!」
尻山は必死に扉の取っ手を掴み、ガチャガチャと扉を必死に開けようとする。
「孤島だとか言われたけど、外に船があれば逃げられるんじゃないか!」
その言葉に、教室内の一部が一瞬だけ希望を感じた。
もしも本当に逃げることができるなら、この恐怖から解放されるかもしれないと。
だが、誰も彼を手伝う者はいなかった。
他に数人が尻山に続き、さらに毎度胡桃《まいどくるみ》が立ち上がる。
彼女は最初、じっとしていたが、ようやく意を決したように声を上げた。
「私も帰りたい!!! 早く帰りたい!!!」
獅子頭常も加わる。
彼は体格が大きく、力も強いが、それでも扉に手を添えてもびくともしない。
「誰か、手伝ってよ!!!!」
胡桃が叫ぶが、誰も動こうとはしない。
空気がどんどん冷たくなっていく。
そしてようやく扉が開いた。
尻山が強引に先頭に立ち、扉を開ける。
「どけ!!! 俺が先だ!」
尻山が叫びながら、胡桃や獅子頭を突き放して扉をぐいっと開ける。
その瞬間、スダが冷徹な笑みを浮かべながら、ゆっくりと呟いた。
「あら……行っちゃいますか」
そして、その向こうに尻山が顔を突き出した瞬間……
ばしゅっ!
鈍い音が教室に響き渡った。
教室の空気が一瞬にして凍りつき、誰もがその音を反芻するかのように固まった。
コメント
1件
ああ、この第16話、読んでいて息が止まるようでした。特に、尻山が扉を開けた瞬間にスダが「あら……行っちゃいますか」と冷徹に呟くところがゾッとしましたね。一瞬の希望が一気に絶望に変わる、あの「ばしゅっ!」という鈍い音の残酷さ。このエピソードだけで、誰が生き残り、何が起きているのか全く読めなくなりました。ここからどう展開するのか、続きが気になって仕方ありません。