テラーノベル
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アラームの発信源は、美鶴の首輪からだった。
耳障りな警告音が、静まり返った教室に響き渡る。
微かに呼吸をしている美鶴の姿を見て、ハルキの胸にざわつくものが生まれる。
「……美鶴くん、まだ意識があるんじゃないか……」
声が震えていた。
美鶴はかすかに身じろぎし、虚ろな目でハルキを見つめる。何かを訴えるような、助けを求めるような視線。
ハルキは迷わず美鶴の方に駆け寄った。
しかし……
ピピピピピ!
アラーム音が一層強まる。
ハルキの手が首輪へと伸びかけた、その瞬間。
脳裏に、ある記憶がフラッシュバックした。
(胡桃の首輪が鳴った時……あのとき、胡桃の頭が真威人に当たって、二人とも……!)
あの時の惨劇。爆発の轟音。飛び散る血肉。脳の断片が床に転がる光景。
それを思い出した瞬間、背筋に冷たい汗が流れる。
「くそっ……!」
反射的にハルキは自分のジャンバーを脱ぎ、素早く美鶴の頭に投げつけた。
「う……ぁ……」
美鶴はうめくように声を上げながら、弱々しく手を伸ばしていたが、その動きも止まる。
そして轟音。
爆発の衝撃が教室を震わせた。
肉片と血しぶきが、ジャンバー越しに飛び散る。
ハルキは目を背けることもできず、その光景を呆然と見つめていた。
美鶴の頭部は、もう存在しなかった。
耳鳴りがする。体の芯が冷える。震えが止まらない。
爆発が収まり、黒い布を持った兵士たちが現れた。
彼らは何の感情も見せず、黙々と美鶴の遺体に布をかける。慎重に、だが機械的に。まるで、ただのゴミでも処理するかのように。
その静寂を、突如として切り裂いたのは……
「うああああああ!!!」
「いやあああああ!!!」
絶叫だった。
華子と葉月の声。
ハルキが振り向くと、華子が木刀を振り上げていた。
その先には、震える葉月。
「やめろ、華子!」
ハルキが叫んだ。
だが、華子の表情はもはや正気ではなかった。
「この女さえいなければ、時雄は死ななかった!! そうよね!? 葉月、あんたがいたから、時雄は……!」
狂気じみた目。涙と怒りが混ざり合い、もはや彼女自身、何をしたいのか分からなくなっているのかもしれない。
木刀が振り下ろされる!
その瞬間、ハルキの体が無意識に動いた。
「っ……!!」
咄嗟に華子へと体当たりする。
ドンッ!!
華子の体が弾かれる。そして。
「ッッ!?」
木刀が彼女の手から滑り、弧を描いて宙を舞う。
そして、そのまま……
華子の口へと突き刺さった。
「ぅ……おお……あ……」
彼女の目が見開かれる。
一瞬、何が起きたのか理解できていないようだった。
だが、次の瞬間……
鮮血が飛び散る。
口から、喉から、勢いよく血が溢れ出す。
華子は喉を押さえ、何かを言おうとするが、声にならない。
そのまま、よろめくように後ろへと倒れ床に崩れ落ちた。
「……!!」
ハルキは呆然とその場に立ち尽くした。
華子の目は、まだ何かを言いたげにハルキを見ていた。
だが、やがて光を失い動かなくなった。
華子は死んだ。
荒い息を吐きながら、ハルキは自分の手を見た。
震えていた。
(俺……殺した……?)
震えが止まらない。
その時……
スダの冷淡な声が響いた。
「あら、一気に二人も減りましたね」
その言葉は、まるで何でもない事実を述べるかのようだった。
「残りはたったの二人ですか……。でもまだ時間は7時間も残っている。……やっぱり、6時間以内にしておけばよかったかなぁ?」
クスクスと笑うスダ。
その声が、不気味なほどに響き渡る。
ハルキは拳を握りしめた。
その時、かすれた声が聞こえた。
「……ありがとう、ハルキくん……」
葉月だった。
震えながら、それでも必死に微笑もうとしていた。
どこか安堵したような表情で。
だが、ハルキは葉月には近づけなかった。
今の自分がいる根源が、自分が好きだった彼女だったからだ。
胸の奥に、鈍い痛みが広がる。
だが、それを振り払うように、ハルキは息を呑んだ。
(終わらせる……絶対に)
残り、二人。
そして、この地獄は、まだ終わらない。
#デスゲーム
Mr.J
154
しょうまる
観測者l!!@人狼ゲーム中
98
コメント
1件
うわ……第40話、重かった……。美鶴くんが助からなかったの、心臓にきたよ。ハルキが記憶のフラッシュバックで咄嗟にジャンバーをかぶせたのも、あの時のトラウマが動かしたんだなって思うと切なすぎる。華子の暴走も、まさか自分が木刀で死ぬとは思わなかっただろうな……。ハルキが「俺……♡♡♡た……?」って手の震えを見つめるシーンが本当に胸に刺さった。残り二人、この地獄をどう終わらせるのか、続きが気になって仕方ないです……!