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そんな訳で翌朝。
外は大雨の中、ピザ作り大会が始まる訳だ。
「レンジの大きさを意識して下さい。丸型でも四角型でもいいですから」
「厚さはどれくらいまでなのですか」
「焼く前で1センチが限界です。それ以上は、焼く時間が変わってしまいますから」
川俣先輩、高校生の先輩相手に、微妙にいつもと言葉遣いを変えて説明。
あとは、こねこねしたり伸ばしたり。
トッピングを冷蔵庫から適当に選んで切って載せたり。
綿棒は3本しか無いので順番制だ。
僕は面倒なので、何回か捏ねた後、手で伸ばしてみた。
でも、レンジで焼く順番があるから、すぐに焼けるわけではない。
ちなみに、ここのガスレンジは棚を3段作って、ピザ3枚をガスで焼けるタイプ。
ガスコンベックオーブンレンジなんて、長ったらしい名前の奴だ。
なお、一応市販品らしい。
設置に専門業者が必要らしいけれども。
「うーん、ピザを作るなら、小魚でアンチョビを作っておくべきだったのです」
これは佳奈美先輩。
「どっちにしろ、塩して洗って浸けてでは、1週間で間に合わないのですよ」
そう美菜美先輩が返して。
「でも今日以降、小魚が大量に取れたら、作ってみてもいいかもしれませんね」
草津先生がそうコメント。
「小魚なら、その気になれば幾らでも釣れますね」
美洋さんがきらーんと目を光らせたような気がした。
これは絶対、アンチョビ作る気だな。
そんな気配を感じつつ僕が作った1枚目は、オーソドックスな感じのピザ。
サラミの代わりに、燻製ソーダカツオの薄切りを載せて、ツルナの葉っぱで、緑色アクセントをつけて、見かけは地味だが、美味しい自家製ツナ缶もどきを載せて。
ソースはオーソドックスにトマトソース。
焼いたのち、何とか作った人間の権利として4分の1はキープ。
うん、これは正しい味だ。自分で食べて納得する。
他は、オーソドックスから色物まで。
燻製干物をほどいたもの+マヨネーズ+チーズも、なかなか美味しかった。
あれは誰の作品だったのだろう。
何せ焼けるたびに争奪戦だ。
焼くのに1回4分少々。ピザにありついた人も、食べきるにはちょうどいい時間な訳で。
だから、獲物を狙う野獣は常に多い。
控えめな男性陣は、なかなかピザにありつけないのが実情だ。
「ピザにするには、癖のある味の方が合いますね」
「でも、スズキの白身と葉っぱと、バター&チーズの上品な感じも美味しかったです」
「しめ鯖の大きいのに、トマトソースをかけまくったのも、いけたのですよ」
「なぬ!」
どこからか聞こえた、そんな意見が引っかかる。
おい、それはちょっと待ってくれ。
まさかそのしめ鯖、僕のとっておきだった奴じゃないよな。