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旅行から帰った休み明け──
アミとエミに、お土産の温泉まんじゅうを会社で渡した。
「これ旅行のお土産なんだけど、こしあんとつぶあんのどっちが好きかわからなかったから、どっちも買って来てみたんだよね」
「「ありがとうー」」と、二人が声を揃える。
「こしあんもつぶあんも、どっちも好きだから。私も、アミも」
エミが笑顔で応えてくれて、「そっか、よかった」と、笑って返した。
「……ところでさぁ、旅行ってやっぱ二人で行って来たの?」
アミからいきなり核心を突かれて、話すつもりではあったけれど、どうしてわかっちゃったんだろうと、面食らって目をパチパチとさせた。
「美都ったら、なんでわかったの? って顔してるけど、お土産が私たちだけにってことで、既にバレてるっしょ」
アミがニッと笑って見せる。
「ど、どうして?」さすがにまだ顔には出てなかったはずだしと、こうもいとも簡単に見透かされるわけが知りたくなる。
「だって、例えば実家に帰ってたとかなら、社内全体にお土産を買って来るはずでしょ? 私たちにだけってことは、きっと私たちしか知らないはずのことだから」
「……あっ、ああああ……」
相変わらずのアミの頭のキレ具合いに、ぐうの音も出なくて、代わりに出たのは、言葉にもならない”あ”の一音ばかりだった。
「美都、ほんとわかりやすいよね。でもそういうところが、かあいー」
エミからはそう言われ、頭をよしよしと撫でられて、いつもながらに二人には太刀打ちできないことを自覚させられて、私は眉尻を下げ「あはは」と苦笑いを浮かべた。