テラーノベル
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昼休みの屋上。青空の下、フェンス越しに吹き抜ける風が二人の間を通り過ぎる。
焔垂は少し気まずそうに頭をかいた。
「悪いな、急に連れてきて」
茜は肩をすくめ、苦笑する。
「まぁ、別に良いけど」
そう言うと、不思議そうに首を傾げた。
「それより何?私に伝えたい事って?」
焔垂はゆっくりと息を吸い、遠くを見つめる。
「俺さ・・累さんと沙月さんを見て思ったんだ」
「何を?」
少し間を置いて、焔垂は静かに続ける。
「約束された未来はないってさ・・・」
茜はきょとんとした顔になる。
「ん?なに?それ?」
焔垂は慌てて首を振った。
「いや、だから、今を
当たり前だと思っちゃダメだって事だよ」
茜は腕を組み、呆れたように笑う。
「なに? 説教?説教する為に
わざわざ屋上に呼んだわけ?」
「いや、だからそうじゃなくて」
焔垂はしどろもどろになり、視線を泳がせる。
「えー・・・っと」
痺れを切らした茜がため息混じりに言う。
「あのさ?結局何が言いたいの?」
◇ ◇ ◇
一方その頃、怪異探求倶楽部の部室。
『さくらの予想』を聞いた信愛は、目を見開いて驚いていた。
「え!?うっそ!?本当に!?」
さくらは腕を組み、自信ありげに頷く。
「多分焔垂は、そのつもりだと思う」
すると、美月が勢いよく立ち上がった。
「こうしちゃいられないわ!みんな行くわよ!
信愛は目を丸くする。
「え? 行くって?」
美月は当然のように言い放つ。
「何言ってんのよ! 盗み聞きするのよ!」
さくらは嬉しそうに笑った。
「お♬良いね♬美月ちゃん♬ノリ良いじゃん♬」
しかし朝陽だけは苦笑いを浮かべる。
「いや、さすがに盗み聞きは──」
言い終える前に、信愛が勢いよく立ち上がった。
「よし! 行こう!」
「信愛先輩まで!?」
朝陽が驚く間もなく、信愛はその手をぐいっと引く。
「何言ってんの! ほら行くよ!」
そのまま信愛を先頭に、一同は慌ただしく部室を飛び出していった。
◇ ◇ ◇
屋上では、焔垂がようやく覚悟を決めたように口を開いていた。
「俺と茜は幼馴染のままこの先もずっと変わらない
漠然とそんな風に思ってたしそう信じて疑わなかった」
一度言葉を切り、拳を握り締める。
「けど、そうじゃないんだって思ったんだ
別れの日は・・突然やってくるんだよな」
茜は黙ったまま焔垂を見つめる。
「想いを伝えるのを躊躇った挙句
二人が別々の道を歩む事だってあるし
どっちかが事故で死ぬ可能性もあるんだよ」
「焔垂・・・」
茜の表情から笑みが消える。
焔垂はゆっくりと顔を上げ、まっすぐ茜を見つめた。
「だから・・・だから」
深く息を吸い込み、覚悟を決める。
「俺は後悔しないように
自分の想いを茜に伝えたい」
茜は小さく呟いた。
「想いって・・・」
焔垂は拳を握り締めたまま、真っ直ぐ茜の瞳を見据える。
「俺は──」
焔垂が覚悟を決め、最後の一言を口にしようとした、その瞬間だった。
──ガチャッ。
勢いよく屋上のドアが開き、信愛が転がり出るように姿を現す。
「うわぁ!」
突然の乱入に、焔垂は目を丸くした。
「え?」
信愛は慌てて後ろを振り返る。
「ちょっと、さくら! 押さないでよね?」
さくらも慌てて両手を振る。
「違う! 私じゃなくて朝陽くんだよ!」
その言葉に、朝陽が顔色を変える。
「え!?僕ですか?!?」
しかし次の瞬間には、さらに慌てて首を横に振った。
「僕って言うより先生──」
美月も呆れたようにため息をつく。
「私!?私じゃないでしょ!」
茜は目をぱちぱちさせながら、一同を見回した。
「みんな何やってんの?」
信愛は乾いた笑いを浮かべる。
「あ、いや、その・・あはは・・」
誰もまともに答えられない。
さくらも頭を掻きながら気まずそうに小さく呟く。
「歴史的瞬間を目撃したいなみたいな」
焔垂はしばらく黙っていた。
やがて何も言わずに屋上を去ろうとする。
その背中を追うように、茜が手を伸ばした。
細い指先が、焔垂の手をそっと掴む。
「どこ行くの?」
焔垂は立ち止まる。
繋がれた手を見つめると、大きく息を吸い込み、生唾を飲み込んだ。
「いや、その・・・また別の機会に」
そう言って、その場を離れようとする。
しかし茜は一歩前へ出ると、真っ直ぐ焔垂を見つめた。
「今日の帰り道に、私が事故に
遭って死んじゃうかもよ?」
焔垂の足が止まり、茜が続ける。
「約束された未来はないんでしょ?」
焔垂は何も答えられない。
茜は優しく微笑んだ。
「後悔しないように想いを伝えるんでしょ?」
茜は真剣な眼差しを焔垂に向ける。
コメント
1件
あーもう!!告白寸前での乱入最高に腹立ったけど面白かったです(笑) 焔垂くんがようやく覚悟決めたのに、あのタイミングで信愛たちがドア開けるなんてズルすぎるw でも、茜ちゃんが「今日の帰り道に事故に遭うかも」って焔垂の言葉を返すとこ、めっちゃずるいし格好良かったです。 逃げようとする焔垂を引き止める感じ、胸熱でした🔥 次回どうなるか気になりすぎます!
#普通
野々さくら
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ありあ
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