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nr視点
「…ん……味、しない」
最近病院食を食べていて日に日に味が薄くなっているのを感じた。
だけど今までは元からこういう味付けなのだと言い聞かせていた。
ただ今日は何かが違う、おかしい。
これは味付けなんかじゃない。
余命宣告から半年。
_僕の身体から味覚が消滅した。
「…面会は…しばらく難しそうです、ね…」
医師がカルテを見ながら難しい顔で呟く。
「…そうですか…」
ある日、翔ちゃんからLINEが来た。
今までは勝手に脱退しておいてLINEを返せる立場なんかじゃない、と思って既読すらつけていなかった。
その日もいつも通り何も反応していなかったが翔ちゃんからのLINEは毎日2通は必ずきた。
怒涛のLINEラッシュが来てから2週間。
流石に何を送ってきているのか気になって、ついメッセージ画面を開いてしまった。
内容は僕が今何をしているのか、また話したい、会いたい、メンバーの様子、これらが主に送られてきていた。
返信をするべきか何日も悩んだ。
いっそのこと全部これまでのことを言うべきなのか、それとも死ぬまで隠し通して遺書で知らせるべきなのか。
必死に頭を悩ませて考えた僕の結論がこれだった。
sy視点
「なろっち、面会許可でやんかったって…」
スマホを見ながら呟く。
「…なろぴ、癌再発したのかな…」
「でも、再発した時は報告するねとかなろ屋さん言ってたじゃん…」
そらくんが口を尖らせていう。
薄々思っていた。
もしかしてなろっちが脱退したのは病気のせいなんじゃないのかと。
でも癌になっても活動を続ける決意をしたなろっちがそれで脱退なんて…
それこそ余命宣告でもされない限り…ありえない。