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鼻血
2,022
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祇恩乃
40
硝煙と高級な葉巻の香りが立ち込める、組織の最奥。重厚なデスクの後ろ、玉座のような椅子に深く腰掛けた潔世一は、退屈そうに書類に目を落としていた。
その潔の足元、絨毯の上に直接座り込み、潔の膝に大きな頭を預けているのは、組織の『最高戦力』である凪誠士郎だ。
「……ねえ、潔。次の任務、俺が行く。潔の邪魔をする奴、全員消してきてあげる」
凪は気怠げな声を漏らしながら、潔の服の裾を大きな手でぎゅっと握りしめる。その目は完全に据わっており、潔以外の人間には一切の興味を示さない、従順で狂暴な怪物のそれだった。
潔は、自分の膝を枕にする凪の白い髪を、まるで飼い犬をあやすように無造作に撫でる。「ああ。頼んだぞ、凪。お前は俺の最高の『武器』だからな」
その言葉に、凪の瞳が一瞬で歓喜に揺れる。
「うん……。潔のためなら、俺、何でもするよ」
その甘ったるい空間を切り裂くように、部屋のドアが開き、カツカツと硬い靴音が響いた。
現れたのは、組織の『頭脳』であり、すべての資金と裏工作を牛耳る幹部、御影玲王だ。
玲王は手に持った報告書を潔のデスクに置くと、潔の膝に擦り寄る凪を冷酷な目で見下ろした。
「おい凪、お前いつまで潔にベタベタ触ってんだ。離れろ」
「やだ。玲王こそ、潔に変な仕事持ってこないでよ。潔が疲れちゃう」
バチバチと視線がぶつかり合い、部屋の空気が一瞬で氷点下になる。二人の間にあるのは、かつての相棒としての絆ではなく、一人の「主」を巡る、ドロドロとした独占欲と敵対心だけだ。
玲王は凪を無視して潔の前に進み出ると、デスクに両手を突き、潔の顔を覗き込んだ。その紫の瞳には、狂気的なまでの愛着と忠誠が宿っている。
「潔、今回の密輸ルートの件、片付いたぞ。お前の邪魔になる有象無象は、全部俺が裏から手を回して潰しておいた。……なぁ、俺の働き、ちゃんと見ててくれたか?」
玲王は潔の手をそっと取り、その手の甲に恭しく唇を落とした。
「お前はただ、この綺麗な部屋で、一番高い椅子に座って命令してればいいんだ。汚いことも、血生臭いことも、全部俺と凪がやってやる。……だから、俺たち以外を見るなよ、世一」
二頭の狂犬に左右から囲まれ、逃げ場のないほど巨大な執着を向けられる。
だが、ボスである潔は怯えるどころか、不敵な笑みを浮かべて二人を傲然と見下ろした。「はは、お前ら本当に俺にイカれてんな。いいぜ、存分に俺のために牙を剥け。もし俺を退屈させたら、その時は……お前らでも容赦なく切り捨てるからな」
潔のその冷徹で圧倒的なエゴイズムに触れ、凪と玲王は、ゾクゾクとした歓喜に背筋を震わせる。
「「――御意、俺たちのボス」」
この男の駒でいられるなら、地獄の果てまで付き合ってやる。二人の猟犬は、歪んだ悦びを瞳に宿して、同時に笑みを浮かべた。
コメント
7件
最高KAYO☆そうゆう系好き👍🫠🫠🫠🫠🫠
白宝サンドまじで最高ですね! 潔がボスでどっちも潔に惚れてる設定まじで最高です!続き楽しみです!
わあ…これ、すごく好きなやつです🫣💕 潔がボスで、凪と玲王がそれぞれ「武器」と「頭脳」として彼に執着してる構図、もうたまらないですね。玲王が潔の手の甲にキスするシーン、めちゃくちゃ印象に残りました…あの狂気じみた忠誠心、ゾクゾクします。凪の「潔のためなら何でもする」って甘えた口調との対比も絶妙で。二人が主を巡って牽制し合う感じ、続きが気になりすぎます…!