テラーノベル
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「第二候補……美咲?」
俺は画面を見つめた。
何度見ても変わらない。
そこには確かに、美咲の名前が表示されている。
「……違う」
美咲がつぶやいた。
「こんなの、嘘だよ」
「でも、映像に映ってた」
「映像なんていくらでも作れる」
「じゃあ、なんで俺たちの今の姿が映ってるんだよ」
美咲は黙った。
その時。
ホテルの部屋の電話が鳴った。
二人とも動けない。
誰にも部屋番号を教えていない。
俺はゆっくり受話器を取った。
「……もしもし」
返事がない。
ただ。
小さなノイズだけが聞こえる。
「誰だ」
すると。
聞き覚えのある声がした。
「神谷くん」
心臓が跳ねる。
「……R?」
美咲が俺を見る。
電話の向こうから、Rの声が続く。
「久しぶり」
「お前……生きてるのか?」
「その質問には答えられない」
「じゃあ、何なんだよ!」
俺は声を荒げた。
「俺の父親を知ってるのか?」
沈黙。
「美咲も、組織に狙われてるのか?」
また沈黙。
俺は拳を握った。
「答えろよ!」
電話の向こうで、Rが小さく笑った。
「君は、昔から変わらないね」
「……何?」
「自分のことより、他人のことを先に考える」
その言葉に違和感を覚えた。
「昔から?」
俺は聞き返す。
「俺たち、昔から知り合いなのか?」
Rが黙る。
「……R」
「君は僕のことを知らない」
「でも、僕は君を知っている」
その言葉で、背筋が凍った。
「いつから?」
「君が生まれる前から」
俺は息を止めた。
「……どういう意味だ」
「君のお父さんから聞いていた」
「僕は、君を守るために近づいた」
「守る?」
俺は笑いそうになった。
「お前のせいで何人死んだと思ってる」
#闇バイト
るしゅ
847
油味噌
17
2,331
翠
36
「俺だって、何度も死にかけた」
「それでも?」
Rの声が少しだけ震えた。
「それでも、君を守りたかった」
その言葉の意味が分からない。
「じゃあ、なんで俺を闇バイトに巻き込んだ?」
「……」
「お前が最初に連絡してきたんだろ」
「違う」
Rが初めて強い口調になった。
「僕は、君を巻き込んでない」
「君を巻き込んだのは――」
そこで電話が途切れた。
「R!」
俺は何度も呼びかける。
返事はない。
通話終了。
「……切れた」
美咲が呟く。
俺は受話器を置いた。
頭の中が混乱している。
Rは俺を知っていた。
父親とも繋がっている。
そして。
俺を守るために近づいたと言った。
「悠真」
美咲が口を開く。
「私……」
「どうした?」
「私も、Rを知ってるかもしれない」
俺は振り返った。
「え?」
美咲は自分のスマホを取り出す。
写真フォルダを開く。
一枚の写真。
幼い女の子。
隣に立っている男性。
顔は見えない。
でも。
その男性が着ている服。
胸元に小さな文字がある。
**R**
「これ……」
「いつの写真?」
「分からない」
「でも、私の母が持ってた」
「母親?」
美咲はうなずく。
「私の母は、私が小さい頃に亡くなった」
「その時に残ってた写真」
俺は写真を拡大する。
男性の顔。
ぼやけていて、はっきり見えない。
でも。
その手に持っているものだけは分かった。
古い鍵。
**204**
俺は言葉を失う。
R。
204。
父さん。
そして、美咲。
全部が一つにつながっている。
その時。
美咲のスマホにメッセージが届いた。
送信者。
**R**
本文は一行だけ。
**『美咲には、まだ言わないで』**
俺と美咲は顔を見合わせる。
「……何を?」
美咲が震える声で言った。
直後。
もう一通。
今度は俺のスマホ。
送信者。
**R**
本文。
**『神谷くん、君のお父さんは僕の父親だ』**
俺は画面を見つめた。
意味が理解できない。
そして。
その直後に届いた一文。
**『だから僕は、君の兄だ』**
(第四十四話へ続く)
コメント
1件
るしゅさん、第43話読みました…。 Rからの電話、鳥肌が止まらなかったです。「君が生まれる前から」って台詞、怖いけど切なさもあって。最後の「僕は君の兄だ」には声が出なかった…。でも、その前に美咲にだけ「まだ言わないで」って送ってるのがまた気になる。伏線が一気に繋がって、続きが気になって仕方ないです…!