テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ちゃ
佐野と出かける金曜日の前日、というよりは日付をまたいで2時間後の金曜日。
レコメン帰りの吉田は家に着くなりソファに座り込んだ。
『勇斗と、ご飯…』
佐野からはお店の画像やメニュー表などの画像が送られていて、吉田は慣れた手つきでスマホを眺めた。
好みのメニューばかり並ぶ画像に吉田は少し胸が踊るが、何より佐野と二人きりなことに緊張気味であった。
『ご飯と言っても、仕事の話とか相談事なんだろうな』
ふと、テーブルに置いてあったリモコンを手にしテレビをつける。
『そういや、勇斗が出てたドラマの録画まだ見てない、や』
佐野が主演で出演しているドラマ。
仕事の合間や休みの日に撮ったものを見るようにしていた。
今日もゆっくりと鑑賞する、はずだった。
キスシーンがあったのだ。
女優とのW主演であり、内容も恋愛寄りのストーリーの為覚悟はしていたつもりだったがいざ目のあたりにすると思考が停止してしまう。
優しくも、愛を伝えるようなキス。
『彼女にも、あんな感じなのか』
勝手に想像して勝手にモヤモヤしている自分に腹が立つ。
行き場のない気持ちに頭を悩ませながらドラマを眺めた。
______________________
「よっ、お待たせ!」
待ち合わせ時間。
少し早めに着いていた吉田はポケットに手を突っ込みながら佐野を待っていた。
「ん」
少し息を上げながら小走りで来た佐野は、相変わらずの笑顔で吉田に笑いかけた。
「じんととあの店行くの楽しみでさ!早く行こうぜ」
そう言って佐野は強引に吉田の手を引き歩いた。
走ってきたからか、少し熱い佐野の手に、吉田は顔まで熱くなってくる感覚に襲われる。
所詮、ただの手繋ぎ。
それでも吉田は、佐野に意識せざるを得なかった。
お店に着くなり、佐野はメニュー表を指さしこれ好きそう、とおすすめをしてくる。
佐野のおすすめ料理はどれも惹かれる料理ばかりで、さすが最年長というか、長い年月を共にした仲間だなというか。
『俺の好み、把握してくれてるんだ』
「…これ美味しそう」
「お、いいね。俺これにしよ!よし、注文しよっか」
佐野がタッチパネルを操作して注文を終えた。
吉田は緊張を紛らわせようとコップの水をちまちまと飲み始めた。
そして料理が届きお互いの仕事についてや、プライベートの話など些細なことで盛り上がった。
「ふ~腹いっぱいだな、美味しかった!また行こうな」
「うん」
2人に進展はないまま、その日が終わった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!