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突然ですが、BL小説のモデルになってください!!

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突然ですが、BL小説のモデルになってください!!

66 - 4-11 付き合ってもらっていいですか

♥

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2024年04月11日

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あの時から異変を感じていた。でも、気づかないフリをしていた。誰かが、俺達の幸せを壊すなんて想像していなかったから。



「……」

「また、険しい顔してますね。フラれたんですか?」

「おい、瑞姫。お前失礼すぎるだろ。先輩だって、悩むことぐらいあるだろう。というか、お前、最近先輩に突っかかりすぎだ」

「…………ああ、ごめん。二人とも、どうしたの」



あっ……見たいな表情で、あずゆみ君が俺の方を見た。聞いていなかったのか、見たいな衝撃を受けた顔を見て、俺は少し申し訳なさも出てきた。

こんなに考え込んだのは、俺の中で始めてかも知れないと。まあ、そんなのはどうでも良くて、モヤモヤとした晴れない気持ちと、どうして……っていう、自分の中の頼りない部分を見て、俺は肩を落とすしかなかった。

ゆず君は嘘をついている。

あのまま帰っちゃったから、結局事実上はフラれた……って事になっているのかな。

ちらりと聞えた、ちぎり君のフラれたっていう言葉をそのまま捉えるなら。



「いや……先輩が何か、悩ましげに眉間に皺寄せてたんで。大丈夫かって、思って声かけました。迷惑だったですか」

「ううん、そんなことないよ。ありがとう、あずゆみ君」



心配してくれた、後輩の頭をまた癖で撫でてしまって、あずゆみ君に優しく振りほどかれてしまった。耳まで真っ赤なあずゆみ君を見ていると、笑みがこぼれてくるけど、今はそんな風に笑ってもいられない。

二人は、俺の隣に腰を下ろし、窓が見えるカウンター席に座った。話を聞くっていう姿勢が自然と作られているんだなあ、なんて感心しつつ、俺はどうしたものか、とまた頭を抱える。

ちぎり君は、何となく察しているんだろうけど、あずゆみ君にまでいう内容なのか、と少し留まってしまう。あずゆみ君はいつも怖い顔をしているけど、多分ちぎり君よりも優しくて、思いやりのあるこだから。そんな子を悩ませたくないなっていう、先輩としての思いもあるわけで。



「話したら良いんじゃないですか。紡先輩」

「ちぎり君……でも」

「瑞姫は何か知っているのか?」



と、あずゆみ君はちぎり君の話に食いつく。確信犯、とでも見て取れるちぎり君の言葉に、俺は引っかかりを覚えざる終えなかった。このタイミングでいうのは、悪意がある。でも、それがちぎり君だって、もう流しているから俺は、いつものことか、と思いながら、こちらを見たあずゆみ君に微笑みかける。



「先輩……その、恋人と、何かあったんですか」

「うーん、まあ、あったといえばあったかな。たいしたことじゃないんだけど、まあ、フラれたっていうか、別れたいって言われて」

「それって、大問題じゃないですか!」



勢いよく立ち上がったあずゆみ君は、まわりの視線を気にし、小さい声で「先輩は、それでいいんですか」なんて、小さい声で言った。

大問題、といえば、大問題なのかも知れない。



「いい……わけが、ないけど。でも、あっちにも理由があるんじゃないかって思っちゃって。連絡もつかないし、どうしようもなくて」

「……そう、なんですね。力になれそうになくて、すんません」

「何で、謝るの。あずゆみ君が気にかけてくれるだけでも、凄く嬉しいのに」



そうフォローすれば、悔しいというように下唇を噛むあずゆみ君。あーあ、だからいいたくなかったのに、と俺は自然とちぎり君を見てしまった。彼は目が合うと、またにこりと笑うばかりで、自分は何もしていない、無害だ、というのをアピールしているようにも見えた。



「先輩の付合ってる人って、えっと……祈夜柚っていう俳優でしたよね」

「うん。それがどうしたの?」

「いえ……凄い人と付合ってるんだなあって思って。でも、ああ……」



と、あずゆみ君は何かを思い出したかのように立ち上がると、床に置いていたリュックサックを背負い直した。突然の行動に、俺は「え、え」と母音を漏らすことしか出来ない。


ちぎり君もこれには驚いたようで、「梓弓くん?」と彼の名前を無意識のように呼ぶ。



「ちょっと力になれるかも知れません」

「え、えっと」



じゃあ、みたいな感じで颯爽とあずゆみ君は去って行ってしまい、呼び止めようにも呼び止められなかった。それどころか、こっちもこっちで取り残された感じで、何が力になれるのかとかも全然分からなかった。彼なりに何かをしてくれるんだろうなって言うのは伝わってきたが。

ぐるぐると回る椅子を見つめながら、先ほどから刺さっていたちぎり君の視線を追う。ばっちりと、彼の赤い瞳と目が合い、俺は、悪寒を感じる。彼の笑顔が、何か言いたげに俺を蝕んでいくのだ。

蛇に睨まれたカエルみたいに、俺は、身体が動けなくなる。視線だけが動かせて、彼の首からさげられてる一眼レフカメラに目がいってしまった。キラリと光ったその黒いカメラは、使い込まれているようで、所々傷ついているようにも見えた。本当に、写真を撮るのが好きらしい。

写真……なんて、最近は良い思い出がないけれど。



「僕からも、ちょーと言いたいことがあるので、付合って貰えませんか。紡先輩」



そういって、ちぎり君は面白い玩具を見つけたように口元を三日月型に開いて笑った。


突然ですが、BL小説のモデルになってください!!

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