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第三章 魔力測定
「これより、新入生の魔力測定を開始します。」
教師の声が大広間に響く。
大広間の中央には、直径二メートルほどの巨大な水晶が置かれていた。
淡い青色に輝くその水晶は、王国でも数少ない”魔力測定水晶”。
魔力の総量だけでなく、属性や適性まで測ることができる特別な魔導具だった。
「名前を呼ばれた者から前へ。」
新入生たちは緊張した面持ちで列に並ぶ。
「アイリス・セレスティア。」
「は、はい!」
アイリスが前へ出る。
教師に言われるまま水晶へ手を置いた。
「詠唱してください。」
「はい。」
アイリスは静かに詠唱を始める。
「――光よ、我が力を示せ。」
ふわり、と水晶が金色に輝く。
教師が頷いた。
「光属性・治癒属性。」
「魔力量、四百八十。」
周囲から感嘆の声が上がる。
「四百八十!?」
「一年生で!?」
「すごい……!」
アイリスは照れくさそうに席へ戻ってきた。
「緊張したぁ……。」
「すごかったです!」
ツララが微笑む。
「ありがとう!」
測定は次々と進んでいく。
「三百二十。」
「二百九十。」
「四百十。」
教師が淡々と結果を読み上げる。
すると。
「次。」
教師が名簿へ目を落とした。
「ツララ・ルミアーナ。」
講堂が静まり返る。
銀髪の少女が静かに前へ歩き出す。
「綺麗……。」
「ルミアーナ公爵家の令嬢か。」
「どれくらいなんだろう。」
ツララは水晶の前へ立った。
教師が穏やかに言う。
「手を置き、詠唱してください。」
「……はい。」
ツララは右手を水晶へ添えた。
(いつも通り……。)
(普通に……。)
だが。
ツララは少しだけ戸惑う。
(……詠唱って。)
(私、いつもしてない……。)
幼い頃から魔法は自然に発動していた。
詠唱したことなど、一度もない。
(どうしよう……。)
その時だった。
ピシッ……
小さな音が響く。
「……?」
教師が眉をひそめる。
水晶の表面に、小さな氷の結晶が浮かんだ。
「え……?」
パキッ。
パキパキパキ……
氷は一瞬で広がっていく。
「なっ……!」
教師が叫ぶ。
「離れなさい!」
しかし遅かった。
バキィィィン!!
巨大な水晶が真っ二つに砕け散る。
会場が凍りついた。
「…………。」
誰一人、声を出せない。
床には砕けた水晶の欠片。
そこから白い冷気が立ち上っていた。
「う、嘘だろ……。」
「測定水晶が壊れた……。」
「そんなこと今まで一度も……。」
ツララは真っ青になっていた。
「ご、ごめんなさい!」
深々と頭を下げる。
「わ、私……。」
「壊すつもりじゃ……。」
教師たちも状況を理解できない。
「どういうことだ……。」
「魔力暴走……?」
「いや、暴走ではない。」
眠狂四郎
883
Adept
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ざわめきが止まらない。
その頃。
生徒会室。
突然、学院中へ警報が鳴り響いた。
キーン……
ルークが立ち上がる。
「何があった。」
教師が慌てて飛び込んでくる。
「会長!」
「新入生の魔力測定で測定水晶が破壊されました!」
「……何?」
ルークの表情が変わる。
「あの水晶は王級魔法にも耐えるはずです!」
「壊した生徒は……。」
教師は名簿を見る。
「一年。」
「ツララ・ルミアーナ。」
その名前を聞いた瞬間。
ルークの脳裏に、銀髪の少女が浮かぶ。
「……案内してください。」
「はい!」
ルークは迷うことなく生徒会室を飛び出した。
大広間。
ツララは今にも泣きそうだった。
「本当にごめんなさい……。」
そんな彼女の肩に、そっと手が置かれる。
「お嬢様。」
ねねだった。
「大丈夫です。」
「ですが……。」
「落ち着いてください。」
ねねは静かに微笑む。
その瞳には、少しだけ驚きの色があった。
(やはり……。)
(お嬢様の力は、普通ではありません。)
しかし、その思いを口にすることはなかった。
その時。
大広間の扉が勢いよく開く。
現れたのは、生徒会長ルーク・アシュリカ。
静まり返る会場の中、ルークは砕けた水晶とツララを見つめる。
銀髪の少女。
青い瞳。
そして足元に散らばる無数の水晶の欠片。
(この子が……。)
(本当に壊したのか。)
ルークはゆっくりとツララの前まで歩み寄った。
ツララは不安そうに顔を上げる。
二人の視線が、初めて近い距離で交わった――。
第三章 終
🌨️次の第四章では、ルークがツララをかばい、「事故として扱おう」と教師たちを説得。そして「もう一度、別の方法で測定してみよう」と提案する…
今回もご覧頂きありがとうございます!
1日3章ぐらいが目安で投稿していきたいと思います!作品についてこんな感じにして欲しいとかあったらコメントぜひぜひしてください(っ ॑꒳ ॑c)
コメント
1件
おおお…これ、めっちゃ良かったです…!🫣🤍 魔力測定で水晶が割れる描写、すごく綺麗で怖くて、もう一気に持ってかれました。アイリスが400超えで盛り上がってたのに、ツララが触れた瞬間のあの静寂と破壊…「詠唱したことない」って戸惑ってるのもツララらしくて、すごく好きです。 ルークが名前聞いてすぐ飛び出してくるところも、何か二人の関係性の予感がしてドキドキしました…!続き、めっちゃ気になります!次回も楽しみにしてますね🌙🤍