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(何だかプロポーズみたいな告白をして…………恵菜……引いちまったか……?)
純は、溢れ出る想いを口にした事で、不安になってしまった。
恵菜は隣で、涼しげな瞳を丸くさせている。
だが、今の言葉が純の率直な気持ちだ。
離婚を経験し、身も心もボロボロになった恵菜を、一生掛けて笑顔にさせたい、癒したいと思っている。
純は、恵菜と一生を共にしたいと思っているが、彼女は離婚してから、まだ一年も経っていない。
吉と出るか、凶と出るか、彼も全く予想が付かないでいた。
唇を引き結んだまま、純は恵菜の瞳をじっと見つめる。
『俺が人生を一緒に歩んでいきたい女は、恵菜だけなんだ』という想いを込めて。
夜景の仄かな明かりが包む中、彼女の見開かれた瞳から、微かに光る雫が見えた。
ハラリと頬を伝って零れ落ち、瞬きもせず、純を見つめ返している。
「こっ…………こんな……に……」
彼女が不器用ながらも、言葉を紡ぎ始めた。
「こんなに…………私を想ってくれる男の人に……出会えて…………私は……嬉しいし…………幸せ者……で……す…………」
時折鼻を啜り、涙を拭おうとせずに、一途な瞳は純へ向けられている。
「恵菜っ……」
人目も憚らず、純は恵菜の肩を引き寄せ、強く抱きしめた。
「それに…………恋をする事を教えてくれた純さんには…………感謝……です……」
(恋人同士になって、まだ日は浅いけど…………俺の人生には…………恵菜が必要なんだ……)
彼は彼女の髪に、そっと唇を落とす。
「俺も…………恋をする事……誰かを想う事を教えてくれた恵菜に…………出会えて良かった……。ありがとう……」
恵菜に対する、彼の深い愛と想いは止まらない。
抱きしめた腕を緩め、純は彼女の眼差しを絡め合わせる。
「恵菜…………愛してる……」
みなとみらいの壮麗な夜景を背にしながら、純は顔を傾け、恵菜の艶めいた花弁に、そっと唇を重ねた。