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「虐め?」
「うん」
そう、俺は学校で虐めを受けている。いや、もう学校には通ってないから、受けていたというのが正解かもしれない。
「聞いていいかわかんないけどさ、何されたの」
「別に遠慮しなくていいよ!」
されたことか…。たくさんあるよな。でも、一番嫌だったのは。
「髪をバカにされた」
「髪?」
「俺さ、髪が男にしては長いでしょ。これさ、気に入ってるんだ。母さんが苦手なハサミ持って一生懸命綺麗に見えるように切ってくれたから」
「うん」
「だけどさ…。あいつら変な髪形だとか、男のくせに女みたいだとかたくさん言ってくるんだ。別に酷い暴力をされたわけじゃない。だけど、この髪は母さんの努力なんだ」
「そうだね」
「男が髪結んでたら変か?女がショートカットだったら変か?男がスカートはいてちゃ駄目なのか?」
「そんなことないよ」
「だよなぁ…。俺、何も間違ってないよな…。」
こんなに喋ったのは久しぶりだ。俺って怒れるんだな。悔しい。悲しい。涙がボロボロと溢れてくる。
「ユカ、顔ぐっちゃぐちゃだぞ?はいティッシュ」
桐島先生に迷惑かけてる俺…。
「ありがと…。せんせー。」
「はいはい、礼言う前に泣き止め」
桐島先生先生の声はどこまでも優しい。つい甘えたくなる。まぁ、駄目に決まっているのだが。
「ユカ、診察するから部屋移動するぞ」
「はい」
「ばいばーい!」
ユウに手を振られて、大げさに手を振り返す。
「じゃあね!」
そう言って部屋を出た。桐島先生の後をついていつもの部屋に向かう。
部屋に着くと先生に座ることを促されたのでいつものソファの左側に座る。先生が向かい側に座って口を開いた。
「最近、かわりないか?」
いつものセリフだった。いつもなら「特にありません」と返すところだが、今日は報告がある。
「桐島先生、俺、進路決めました」
すると先生は驚いたように眉を上げて俺に質問した。
「ちなみに、どこに行くんだい?」
「通信制の高校です」
そう、俺は来年度から通信制に行くことにした。そもそも学校に行っていなかったから学力がないのと、登校日数が足りないからこうなることは必然といえば必然なのだが、それよりも自分にとって魅力的だったのは登校する日と時間帯を自分で決められることだった。
「いい条件の場所を見つけたんだです!」
「そうか…。それは本当に良かった。医者として言うべきではないが、お前が未来を見る日が来るとはな」
「はい!」
先生は目を細めてニコッと笑った。そして安堵したように肺にたまった息を吐いた。
「薬は効いてるか?」
「それなんですけど…。」
「どうした、効いていないのか?」
「いえ、とても良く効いています。ただ、薬を飲んだときに頭の中が静かになるのが違和感です」
「それは薬の効果が出ている証拠だ。でも、どうしてもきになるならどうする?もう少し弱い薬に変えるか?」
今のところそれで困ったことはない。ただ違和感があるだけなのだ。
「えーと、今のままで大丈夫です」
「そうか、この紙をいつも通り受付の人に渡して薬をもらって帰りなさい」
「はい。ありがとうございます!」
ソファから立って桐島先生に一礼してから部屋をでる。
「ありがとうございました」
ユウの部屋に寄ろうかと思ったが、部屋の扉が閉まっていたので、やめることにした。渡り廊下を渡って階段を一階まで降りる。受付まで行って看護師さんに桐島先生から渡された紙を渡す。
「おかえり。今日は一段と時間かかったわね?」
「ちょっと別の人とお話ししてたんだ!」
「そうなの?それはよかったわね。楽しそうで何よりよ」
「はい!」
「はい、この番号札持って薬局に行きなさい。またね」
「はい!また来ます!」
「お大事に」
薬局のエントランスで番号が呼ばれるのを待つ。俺はこの時間が苦手だ。やることが何もないから。暇すぎるんだ。
「二十七番さん」
「はーい!」
やっと呼ばれたので、早歩きで窓口に向かう。
「本日のお薬は不安時に服用する頓服ですね。一回一錠で、三十分以上空けてから1日三錠まで飲めます」
「はい。分かりました!」
「では番号札お預かりしますね。お大事に」
「ありがとうございました!」
いつもなら、ついでにコンビニとかに寄るところだが、今日は疲れたので、家に帰ることにした。
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夢羽
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みどりいろ
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コメント
1件
うわあああ第3話もめっちゃ良かった…😭💕 ユカくんの髪に込められたお母さんへの想い、すごく伝わってきたよ…「男のくせに女みたい」って言われるの、本人の大切なものを否定されるのと同じだもんね。桐島先生の「泣き止め」って言いながらティッシュ渡す優しさに私も泣きそうになったよ…! それに通信制高校への進路決定、未来に向かって一歩踏み出した感じがしてすごく嬉しかった!「未来を見る日が来る」って先生の言葉、じーんときた…✨ ユウくんとのやりとりも可愛くて癒しポイントだったよ〜!次回も楽しみにしてるね🌸