コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ふかふかのソファに並んで座って、映画のエンドロールをぼーっと眺めていたら、不意に横からクスクスと笑い声が聞こえた。
「……なに?」
尋ねると、ふっかは顔を隠すように肩を揺らして笑っていた。
「いや……ごめん、今、ふと思い出してさ」
「なにを?」と首を傾げると、ふっかは顔を向けて、いたずらっぽく笑った。
「……俺らが初めてした日」
「……え?」
思わず吹き出しそうになるのを堪える。
「なんで今それ思い出すんだよ」
「なんか映画のキスシーン見てたらさ、あの時の照の顔思い出しちゃって」
「……やめろって」
恥ずかしくなって、頭を掻いた。
でも、口元は緩んでいる。
「だってさ、“無理すんなよ”とか言いながら、めっちゃ緊張してたじゃん」
「ふっかこそ“俺、結構余裕あるかも”って言ってたのに、顔真っ赤だったろ」
2人で顔を見合わせた瞬間、またクスクスと笑い声が重なった。
あの夜の、ぎこちなくて、必死で、お互いのことを大事にしようとしてた時間。
不安もあったけど、何よりも“好き”があふれていた。
「……でもさ、今思えばなんか特別な時間だったよな」
「うん。バカみたいに緊張したし、なんか変に真面目だったし……」
「俺ららしくていいね」
そう言って微笑むふっかの目を、じっと見つめた。
少し照れくさそうに笑って、そっとふっかの手を握る。
「……ふっかは今でも初々しいけどな」
「そんなことないし!」
ぎこちなかった初夜を思い出して、こうして隣で笑い合える今日。
そのすべてが、2人にとってかけがえのない幸せだった。