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マンションのエントランスから外へ出て、近くの公園まで走る。
孝介が追ってくることはなかった。
「はぁっ……はぁっ……はぁ……」
呼吸を整えようと、深く息を吸ったり吐いたりするので精一杯だった。
<大丈夫か?今、どこにいる?>
あっ、まだ電話繋がったままだ。
「近くのっ……。公園にいるよっ」
<もうすぐ着くから>
迅くんからそう言われた数分後、見たことのある車が近くに停まった。
「大丈夫か!?」
迅くんと亜蘭さんが迎えに来てくれた。
「大丈夫っ!」
「とりあえず、車に乗ってください。あっ!美月さん足、どうしたんですか?」
「慌てて出てきたから。靴も履けなくて……」
そういえば、足裏が痛い。
「暴れんなよ?」
「キャッ!」
迅くんが私を抱えてくれた。
「ちょっ、迅くん。大丈夫!歩けるから!もしかしたら孝介が近くにいるかもしれないしっ……」
私を追いかけて、近くにいるかもしれない。
「別に見られても問題ない。靴履いてないって言えばいいし」
そのままの理由でいいの!?
彼に抱えられたまま、亜蘭さんが運転する車に乗った。
「とりあえず、俺のオフィスに行くから。そこでいろいろ説明する」
「わかった」
逃げるように出てきてしまった私を、孝介はどんな風に思ってるんだろう。
私が帰った時の孝介《彼》の取り乱し方、尋常じゃなかった。
何があったの?迅くんなら何か知ってるのかな。
「足、大丈夫かよ。見せて?」
渋々迅くんに見せる。
「ところどころ擦り切れてる。オフィス着いたら、足洗って消毒だな」
「大丈夫だよ、これくらい」
「ダメ」
彼は私に対しては過保護。
あれ……。なんか安心したら、涙が出てきた。
迅くんも、亜蘭さんも居て、安心したから?
「ごめん。なんか二人が居ると思ったら……。安心したからか、涙が出てきちゃった」
目を擦るけど、止まらない。
「怖かったよな、大丈夫だから」
迅くんは車の中でそっと肩を抱き寄せてくれた。