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恵
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圭が美花を連れてきたのは、立川駅前の百貨店。
それも、ハイクラスブランドのジュエリーショップだった。
「ちょっ…………けっ……圭ちゃん! 無理むりムリッッ!!」
眩い光を解き放つ華美なアクセサリーを目の前に、美花は大きな瞳を、さらに丸くさせ、怖気付いた。
圭に両手の手のひらを向けながら、忙しなく振り続けている。
「そうか? 俺は、君に似合うと思うけどな?」
「っていうか、こんな高級ジュエリー……わっ……私には似合わないし自分の身の丈に合わないしっ!」
美花のひと言に、圭は瞼をヒクリと上げた。
大抵の女は贈ったら喜ぶだろう、ハイクラスブランドのジュエリー。
だが、美花は『自分の身の丈に合わない』と、キッパリ言い放った。
ここまで断言する女なんて、圭は今まで見た事がない。
彼女の反応に複雑な思いを覗かせたが、美花は自分の価値観を、しっかりと持っているのだろう。
(やはり彼女は…………いい顔をしなかったか。だが……)
「高級なジュエリーは……それなりの収入や地位がある女性が身に着けるものだと、私は思う。私のようなガテン系は、シルバーアクセで充分だしっ……」
朧気に考えを馳せている圭が、芯の通った彼女の声を耳にしながら見下ろす。
「けど美花って、アクセサリー類は…………一切着けてないよな? 怜と奏さんの結婚式の時も…………着けてなかったよな?」
圭の問い掛けに、美花がギクッとした表情をしながら、口元を『への字』にさせる。
「だって…………仕事柄、アクセサリーを着けると汗で汚れちゃうから、持ってないし……それに……」
俯き加減になりつつ、美花の言葉は、勢いを失いながら、しどろもどろにさせた。
「私、男の人から、ジュエリーとかアクセサリーとか…………貰った事……ない……し……。どうしていいか…………わかん……な……い……」
取り繕ったような言葉を、消え入る声で呟く美花に、圭は温和な眼差しを見せる。
「美花からそんな話を聞いたら…………ますます贈りたくなったな」
美花はハイクラスブランドの店にいるのが居心地が悪いのか、どことなくソワソワしている。
白磁の手を取った圭は、比較的廉価で、有名なジュエリーブランドの店に足を向けた。