テラーノベル
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別のジュエリーブランドの店に移動した美花が、幾分ホッとしたような面持ちで、ショーケースを見下ろしている。
「美花。好きなジュエリーを選ぶといい」
「…………」
ショーケースに視線を落とし、逡巡していた美花を、彼は落ち着いた声音で諭す。
今まで男からジュエリーを贈られた事のないらしい彼女は、恥ずかしいような、申し訳ないような気持ちを、ない混ぜにさせた表情を浮かべていた。
「圭ちゃん。どうして急に…………私をジュエリーショップに連れて来たの?」
煌びやかに輝くジュエリーたちを、立ち尽くしながら凝視していた美花から、圭はポツリと問い掛けられた。
「美花が言ってただろ? 『私を嫌いになったら、すぐに振ってね』って。俺は、美花の事を振るつもりなんて全くないし、それに…………」
ショーケースの中で整然と並ぶ、金と銀の世界を目にしながら、圭は照れ混じりに伝える。
「俺の恋人、という証を…………君に着けて欲しいと思ったんだ。それともう一つ」
圭が美花に眼差しを移すと、薄茶の瞳とかち合わせた。
「…………男避け」
目を細めながらサラリと言い放つ圭に、美花が僅かに目を見開かせる。
「男避けって…………そんな大袈裟──」
「大袈裟じゃない。俺は好きな女に、アクセサリーを贈るしか思いつかなかったが、もしかしたら、君は嫌がるかもしれない、とも思っていた。けど、それでも、俺は…………美花に贈りたい。だから…………俺に贈らせて欲しい」
「…………」
美花が圭から視線を外し、無言でショーケースに目を配ると、彼の強い思いが通じたのか、彼女は、ぎこちなく首を縦に振った。
「…………これ、私らしいかも」
ひとしきり、ガラスケースに散りばめられたアクセサリーを見下ろしていた美花が、細い指先で目に留まったネックレスを、辿々しく差す。
ホワイトゴールドの華奢なネックレスチェーンに、音符を模った小さなペンダントヘッド。
音符の尻尾の部分は、艶消しの加工が施され、丸い部分には、南国の鮮やかな海を思わせるブルートパーズが埋め込まれている。
白色金の控えめな輝きが、彼女は気に入ったようだった。
「なら、決まりだな。このネックレスにしよう」
コメント
1件
良いな〜😊
恵