🧡side
🧡「そうや、校庭行こ」
亮平が帰り、カメラを持って、俺は一人、部屋の外へと出た。
何もない日は俺はぶらりと撮影に出掛ける。そしてファインダーを覗いて、気ままに空間を切り取る。カメラと向き合ってる時間が、俺は一番リラックスできる。今日も被写体を求めて、俺は校内を彷徨う。
春の校庭は、桜を始めとして、花々が咲き乱れていた。佐久間理事長の拘りなのか、冬以外の季節はどの花壇にも何がしかの花が咲いている。中でも春は一番のピーク。
カメラの中に、花と一緒にお気に入りの生徒の一人でも収めたい。そう思って、キョロキョロとあたりを見回していると、1年生のめめがサッカーボールで遊んでいるのが見えた。
🧡「おーーい!めめーーー!!」
目黒はすぐに気がつき、人懐こい笑顔を浮かべて駆け寄ってきた。
🖤「向井先生!どうしたんですか?」
🧡「モデル探してたんや。どうや?撮らせてくれへん?」
🖤「えっ、俺ですか?」
脇にサッカーボールを挟んではにかむ目黒少年。あどけなくて可愛いので、許可も取らずにいきなりシャッターを押した。
カシャッ。
🖤「あっ!ちゃんとポーズ取らせてくださいよ!」
🧡「……ええよ。どんなんがええの?」
中学時代から読者モデルをやっているめめは、次々と卒なくどこかで見たようなポーズをこなした。どれもカッコいいが、どれも作り物だ。
🧡「うーん。ちゃうねんなあ」
🖤「え?ダメですか?俺のポーズ」
🧡「何や気持ちがこもってないっていうか…あ!おーーーい!岩本くーーーーん!」
そこへ通りがかった、お気に入りその2の岩本照に手を振る。岩本くんは頭を下げながら、近づいて来た。
💛「何すか?」
🧡「写真撮らせてもろてもええ?」
💛「え。こういうの、目黒とかラウールの方が向いてますよ」
そう言って、逃げようとする引っ込み思案の岩本くんの腕を掴む。
🧡「あかんねん。めめは、ちょっとカッコつけすぎや」
めめがムッとしてこちらを見た。
カシャッ。
🖤「あっ」
🧡「そうそう。そういう顔がええねん。感情的な美少年、そそるわ〜」
めめが赤い顔をした。
やっぱり可愛い。さすが一番の俺のお気に入り。
🧡「いつまでも、模範止まりでおらんと、たまには本物のめめらしくおってな〜!」
そう言うと、俺は岩本くんを連れて歩き出した。
🧡「どこ行こうとしてたんや」
💛「体育館、です。約束してて」
🧡「約束?」
💛「翔子先輩とアクロバットの練習です」
🧡「ほぉ?」
噂の渡辺くんね。あ、渡辺さんだったっけ。俺は、面白そうなので岩本くんについて行くことにした。
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