テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン
昼休み終了のチャイムが鳴った。
阿「やば!目黒くん!教室帰るよ!」
目「う、うん!」
ガチャ!
ドタドタドタドタ
阿「あっ、」
焦ったたからか、階段を踏み外して前に倒れそけうになる。階段から落ちる、そう思った時、
ガシッ
目「生徒会長ッ!」
間一髪で目黒くんが腕を掴んでくれた。そのまま引き上げてくれて、ハグされるような形になる。 何が起きたのか頭が追い付かなくて、しばらく俺達の時が止まった。
はっ、として目黒くんの顔を見る。思ったよりも顔が近くてドキッ、とする。あの綺麗な顔立ちが、近くにあった。 お互い気まづくなって、距離を取る。
目「ごめんッ、大丈夫?」
阿「俺の方こそ…、助けてくれてありがとう。」
目「良かった…、」
しばらく沈黙が続く。
目「会長って、ちゃんと見たら可愛いね笑。」
阿「…はっ?」
目「行動もあざといもんね、」
阿「えっ…と、」
急にイケメンから可愛いと言われて戸惑ってしまった。でも嫌な感じはしなくて、寧ろ心地良くて、
阿「揶揄わないでよ…、」
目「いや、本当に思ったから。」
彼の真っ直ぐな言葉に、胸がぎゅっとなる。
目「それにさ、」
目黒くんが俺に近付いてきて、距離が近くなる。
目「ずっと思ってたけど、人と距離あるよね。」
阿「…えっ?」
確かに、ゲイってバレるのが怖くて、友達が俺から離れていくのが怖くて、気を使って生きてきた。今一緒に居るあの5人とは本当に仲が良いけど、それでも俺の秘密がバレるのは少し怖かった。仲良くしたいけど、俺の奥底までは知られたくない。
何でそんな事に気付くの。ずっと隠してたつもりだったのに。
阿「…泣」
目「えっ、ごめん!泣くと思ってなくて…、」
阿「ううん、大丈夫だから。」
初めて俺の心に優しく触れてくれた目黒くん。このまま、この優しさに浸っていたかった。
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン
授業開始のチャイムが校内に響き渡る。
阿「あっ、授業!」
目「忘れてた…、」
阿「目黒くん!行くよ!」
目「う、うん!」
また階段を駆け下りる。目黒くんは、心配だったのか、俺の手を握っていた。俺は、その手を自然と握り返していた。
案の定授業には間に合わず、先生に少し叱られた。生徒会の仕事です、と嘘をついて、目黒くんもたまたま会って荷物を持ってもらった事にして、授業は出席扱いになった。これで少しは階段で助けてくれた事への恩返しになるかな?
…
授業が終わって、目黒くんと帰って来た事に不信感を覚えたのか、佐久間達が俺の周りに集まる。
佐「阿部ちゃん!蓮と何してたの!」
ラ「目黒くんって校内にファンクラブがある人だよね!阿部ちゃん何か関わりあったの!?」
向「目黒ってやっぱイケメンやな!」
阿「あ、えっと…、」
思っている事を口々に言われ、戸惑っていた。
宮「こら、阿部困ってるでしょ?」
渡「阿部ちゃん、で?何があったんだよ。」
阿「えっ…と…、本当にたまたま会って少し手伝って貰っただけ!」
渡「本当か?」
宮「翔太ッ…!」
阿「うん、本当に。ごめんね、授業遅れて。」
佐「それだけかい笑!」
ラ「阿部ちゃん、次仕事頼まれたら俺を連れて行きなよ!」
阿「うん、ありがとう。」
向「目黒ってずっと音楽聴いとって何考えとるか分からんよな!」
渡「あんま、関わんなよ。」
阿「…う、ん、」
目黒くんはやっぱり寡黙で無愛想だと思われてるみたい。実は目黒くんと部活が一緒の翔太も言うくらいなんだから、部活でもそうなのかな…?
チラッ、と目黒くんの席の方を見たけど、目黒くんは居なかった。
宮「ほら、次の授業始まるよ!」
舘さんの呼び掛けのお陰で、その場は収まり、皆は自分の席に戻っていった。
…
放課後、俺以外の皆は最後の引退試合に向けて部活に行った。翔太と、後舘さんもサッカー部。佐久間はダンス部。康二とラウールはバスケ部。俺は勉強に集中したいので部活には入っていない。
特に今日はする事も無いので、昇降口で靴を履き替えて、外に出ようとする。
ザー
まさかの雨。昼はあんなに澄んだ青だったのに。今の空は俺の気持ちのようにどんよりとしていた。傘を持ってきていないので、雨が止むまで待ってみよう、と思い、昇降口の壁によりかかって読書をしてみる。雨は、止む気配がなかった。
目「…会長?」
阿「あっ、目黒くん。」
目「誰か待ってるの?」
阿「ううん、傘、持ってなくて。」
俺は空を指さしながら言う。
目「…会長、家の方向どっち?」
阿「え…、あっち、だけど…、」
俺はまた指をさしながら方向を示す。
目「入る?傘。多分家の方向一緒だわ。」
阿「…いやいや!申し訳ないよ!」
目「でも会長帰れないよね?」
阿「まぁそうだけど…、」
目「良いよ、俺の傘大きいから。入りなよ。」
阿「分か、った。ごめんね?」
目「ごめんより、ありがとうが良いかな。」
阿「ありがとう、」
…
目黒くんと肩が触れるか触れないかの瀬戸際くらいの近さで、1つの傘で、一緒に帰っている。 何で俺の心臓はドキドキしているんだろう。
何も喋れずに、沈黙が続く。でも別にその時間が不思議と不快ではなくて、寧ろ暖かかった。
目「あの、さ…、」
沈黙を破ったのは、目黒くんだった。
目「学校、楽しいの?」
阿「えっ?」
意外な質問だった。学校が楽しいか?そりゃ、俺には仲良くしてくれてる友達も居るし、勉強も十分に出来てる。
勿論、って答えたかった。でも何故か口は動かなかった。
目「俺は、楽しくないよ。」
目黒くんのはっきりとした答えに、驚きつつ、
阿「俺も、」
勝手に口が動いていた。
本当はずっと孤独だった。友達に秘密を隠してる自分が嫌いで、かといってバレたくはなくて、そんな我儘で自分勝手な自分が大嫌い。
目「生徒会長が学校嫌いって笑、」
目黒くんは、重く受け止めて否定なんかせずに笑いに消化してくれる。
阿「良いでしょ、生徒会長だって、先生からの押し付けなんだから。」
目「え、そうなの?」
阿「誰も立候補しなくて、成績が良いから選ばれただけ。本当はやりたくもないよ。」
目「何で、否定しなかったの?」
阿「…、」
嫌われるのが怖かった。孤独になんてなりたくなかった。人の温もりが欲しかった。誰かに必要とされたかった。誰かに愛されたかった。俺の心にはそんな感情達が錯綜している。
阿「えっと…、」
目「言わなくて良いよ、ごめんね、こんな事聞いて。」
阿「えっと…、」
目「分かってるから。俺も同じだよ。きっと、」
目黒くんにも、こんな感情があるの?
目「でも、会長は、もっと自分の気持ち、大切にした方が良いよ。さっきも、苦しそうだった。」
見てたんだ…。目黒くんの事を否定された時、確かに苦しかった。頑張って隠してたのに。いとも簡単に目黒くんは俺の気持ちに気付く。
この人と居ると、暖かい。
コメント
2件

分かり合える2人🖤💚 続き気になります。

続き気になります🥺