他ごとをしていた菊は、イヴァンたちの話が聞こえた瞬間、声をあげた。
「あ、菊くん聞こえちゃった?」
「しまったあるね………」
イヴァンと王耀が言う。
「…ど、どういうことでしょうか……??」
「はぁー………しょうがないから説明するわ…」
フランシスが菊にしかしない丁寧な説明をした。
「まあ、説明って言ってもそのままだけど……いつも通りフェシリアーノをルートヴィッヒが迎えに行ったら、いつもは返事くらいはあるのに返事もなく、もちろんいつまで経っても来ることもなかったらしいのよ」
「ほう………」
「まあ、そんな日もあるだろうしそのうち来るだろうと思ってたんだがな……」
「〝だがな〟………?」
「何回連絡しても応答なし、しまいには戸が空いてたから入ったけど家にもいなかったらしいんだよー………もちろんこっちにも来てなかったよ?」
「なるほど……」
「で、メモ書きがフェシリアーノの家の机の上にあったらしいんだけど、それに────」
〝チャオチャオ〜!これ読んでるのたぶんルートヴィッヒだよね?迷惑かけてごめん!!でもきっと怒ってないよね!あんな感じだけど優しいし!そういえば、俺、家出することにしたんだよね、何でって言われても〜、う〜んって感じだけど、まあ、納得してほしいって感じかな!みんなにもし戻ってきて〜って言われても戻るつもりはないよ!これは絶対!あ、でもね、菊ににゃんにゃんわんわんして帰ってきてって言われたら戻るかな〜!じゃあね!〟
「………………」
「ま、そういう反応になるよね」
「そんなのほっとけよ………構うのは俺だけにしろ」
むす、とアーサーが独り言を言っているのを尻目に、アルフレッドが、
「こういうのは絶対菊にアピールする目的なんだぞ!!」
と主張した。
「あいやぁ、そう思って菊に黙ってたあるよ……」
「結局バレちゃったけどね〜」
アルフレッドに同意の意を見せながら王耀とイヴァンが言った。
「その……にゃんにゃんわんわん、というのが何を指しているのかは分からないのですが……………………心配なのでむか─────」
「「「「「「それはダメ!!!!!」ある!!!!!」だよ!!!!!」」」」
「あ………え、そ、そうですか……??」
「さっきアルフレッドが言ってたろ………〝菊目的〟だって………」
「で、ですから、フェシリアーノくんは私目的なのならば嬉しいですし、私がフェシリアーノくんを迎えに行って帰ってきていただけるのならそれが本望ですし……」
「爆弾発言だな………」
「そ、それほど酷いこと言いましたか……!?」
「僕だったら襲っちゃってるかも♡」
「え……………………」
イヴァンの言葉に菊が絶望した顔で身を縮こまらせた。
「いや……多分拳のほう、というかステッキの方ではないと思うけど」
「…………???」
「まあいいや……
とにかく、それは一番まずいから、違う方法でいこうか」
フランシスがあっさり諦め、話を戻した。
「違う方法………と申しますと…?」
「うーん、そうだなぁ〜〜……………」
「あ、これはどうだ?」
全員が悩んでいる中、アーサーが声をあげる。
「何だい?」
「まず───────」
「はぁー………勢いで家出しちゃったけどお金忘れた………今戻ってももしかしたら誰かいるかもしれないし、そうなったら気まずいし………」
少し後悔したような口調で、街の歩道を歩きながらフェシリアーノは呟いた。
するとピロン、とフェシリアーノの携帯から通知が鳴った。
「またどうせルートヴィッヒでしょ……………
………ん?」
フェシリアーノが目を瞬かせた。
見ている画面には、ルートヴィッヒからの〝これ以上見たければ帰ってこい〟の一言と、トマトに埋もれ、その隙間からチラチラとオネイサンが着ていそうな服が覗く姿の画像が添えられていた。
「こ、こんな菊、見たことないんだけど………!?え、えろい………
お金ないし、お腹減ったし、菊見たいし………でも気まずいし、………う〜〜〜〜〜〜〜〜、、、、…………
俺行く!!!!待っててよ菊!!!!」
フェシリアーノは来た道を急いで戻っていった。
………ってあれ?」
フェシリアーノが見た光景は、重苦しい空気の中各自の席に座っている面々と、誕生日席に入口を向いて座っている、トマトの隙間から見えた服と同じような服を着た、キレたアーサーの姿だった。
「遅かったなクソ野郎」
アーサーが口を開いた一言目は、暴言であった。
「え、え……?き、菊はどこ───」
「菊はここにはいないある」
「そ、それにその服菊着てタヨネ……」
「あ?俺しか着てねえよ」
「え………???な、なんで……?」
「俺は〝菊の写真〟なんて一言も言っていないのだが」
「…………………」
「終わり、だね?♡」
「………お疲れ様」
「ごめんなさ〜〜い!!!!(泣」
フェシリアーノは果たして…………。
菊は和室で茶をすすっていたが、すするのをやめて問う。
「ふう………じゃんけんで負けて、フェシリアーノくんを帰らせた代わりに頼みを聞いてくれ、と言われましたが………何が始まるのです…?」
すると、アーサーが独り言のように
「俺は頑張ったんだ………頑張ったんだから報われるはずだ………だから、……
おなじ目に遭ってもらうぞ……♡」
「……?どういう意味で────」
その後は分かるであろう(n回目)。
コメント
1件
最高の極み過ぎる