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🐟「お兄さんにもう一度、話して見たらどうかしら」

ルカさんにそう言われて、アタシはお兄ちゃんの帰りを待った

5時半ごろ、お兄ちゃんはコンビニのケーキを持って帰ってきた

🌟「ただいま。咲希、さっきはすまなかった。お詫びとしてこれを…」

アタシは拳を握ってお兄ちゃんに言った

🎹「お兄ちゃん、お話があるんだ。ケーキ、ありがとう。あとで一緒に食べよう。でも、その前に聞いてほしいな」

一瞬お兄ちゃんは顔をしかめた

🌟「…わかった」


アタシたちは並ぶようにソファーに腰掛けた

🎹「あのね、お兄ちゃん。お兄ちゃんは、アタシが心配でああ言ってくれたんだよね」

🌟「…すまなかった。咲希がまた、傷つくんじゃないかって」

🎹「あの時は確かに、すごく傷ついたよ。アタシに酷いこと言った子達、みんなみんな信じてたのに」

お兄ちゃんはずっと、顔を顰めたままだ

🎹「でもね、お兄ちゃん。冬弥くんは、ずっとアタシの味方でいてくれたんだよ」

🌟「…え」

🎹「あのこと、いっちゃんたちと、お兄ちゃんと、それから冬弥くんに話したの」

お兄ちゃんは少し驚いた顔をした

🎹「お兄ちゃんが守ってやるって言ってくれたの、嬉しかった。いっちゃんたちが、アタシは悪くないって言ってくれて嬉しかった」

冬弥くんは、とアタシは続ける

🎹「ずーっと黙って、アタシの話を聞いてくれた。相槌を打ちながら、ずっと。…アタシが話し終わった時も、特に何にも言わなかった。だけどね、冬弥くんはずっと、アタシの背中を摩ってくれた。冬弥くんの前だったら、なんでも言える気がした」

🌟「冬弥が…」

だからね、とアタシはお兄ちゃんの顔を見た

🎹「アタシは、冬弥くんのそういうところが好きなの」

🌟「咲希…」

🎹「もしかしたら、傷ついちゃうかもしれない。また泣いちゃうかもしれない。だけど、それでも、アタシは冬弥くんの隣にいたいの。…お兄ちゃん、いい?」

気づいた頃には、アタシは泣いていた

🌟「…もちろんだ。すまなかったな。咲希を守ると言ったのに、逆に傷つけてしまった」

お兄ちゃんはアタシを抱きしめた

🌟「幸せにな」


夜7時半、アタシは冬弥くんに電話をかけた

☕️『はい』

🎹「あ、冬弥くん。今日はごめんね」

☕️『いえ、そちらにも、事情があったのでしょう』

🎹「あのあと、ちゃんと話したの、お兄ちゃんと」

☕️『そうなんですか。…どうでしたか?』

🎹「アタシたち、付き合ってもいいって。幸せになれって、言ってくれたよ」

☕️『…!そう、ですか」

🎹「冬弥くん」

声が少し震えた

アタシ、知らなかったな

こんなに好きだったんだ

🎹「すきだよ」

☕️『はい。俺も、咲希さんが好きです』

🎹「冬弥くん!」


次は、どこ行こっか

2人一緒なら、どこでも楽しいよね!


数日後

🎹「あ!冬弥くん!」

駅前に立っている咲希さんが、こちらに手を振っている

☕️「咲希さん、すみません、待たせてしまいましたか?」

🎹「ううん、全然!行こう!」

咲希さんは小走りで先をいく

いつもなら、そんな咲希さんを少し遠くから見つめていただろう

☕️「咲希さん、待ってください」

🎹「…?冬弥くん?」

俺は咲希さんの右手を握った

こんなにも違うのか

小さくて、暖かくて、優しい手

🎹「とっ、冬弥くん、」

☕️「…行きましょうか」

少し顔が熱い気がしたが、

…きっと気のせいだろう


『貴方の右手に触れるまで』

完結


最後まで読んでいただき、ありがとうございました

また次の作品でお会いしましょう


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