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先輩はガスを強火にして、フライパンでドングリを炒り始めた。
「まずは基本、煎っておく。こうすると殻が剥きやすくなるから。はぜる場合があるから、余り近づいて見るなよ」
2分位すると、パチパチ音を出して殻が割れ始めた。
3分位した後に先輩は火を止めて、新聞紙の上に煎ったドングリを移す。
「これで触れるくらいになったら、手で殻を剥く。焦ると火傷するから、まあ1分程度時間を見てからやればいい」
「割れていない奴もあるんですけれど」
「それはキッチンハサミを使う」
という事なので、まずは割れている奴から挑戦。
指先にちょっと力を入れると、黒い殻は簡単に割れる。
中からは小さいけれど、いかにもナッツですという感じの物が出てきた。
「そんな訳で、まずは試食してみてくれ。スダジイとマテバシイ、両方とも」
両方を食べてみる。
スダジイの方は、割とホクッとした感じ。ちょっと甘さも感じる。塩を軽く振るだけで、結構ナッツとしてもいけるかな、という感じ。
マテバシイの方は、大きくて割りやすく食べやすいけれど、味は野生のデンプン。
ナッツっぽい歯触りもあるけれど、若干遠くに渋さが見えるような感じだ。
そして「これだ」という美味しさのポイントが、今ひとつ見つからない。
「そんな訳で、どっちもある程度加工してやった方が美味しい。特にマテバシイの方だな。ただマテバシイは味の癖が少ない分、粉にしたりして使うと普通に美味しかったりする。
そんな訳で、夕食まで全員でこれを剥く作業だ。6人でやれば結構出来る。剥いた分はそのまま明日のおやつになると思えば、少しは頑張れるだろう」
そんな訳で、作業を開始。
「うーん、ちまちました作業なのですよ」
「無心にやれば、精神統一できるような気がします」
「剥いた分、量が減ってしまうのが悲しいです」
という感じで、それぞれ作業。
「つまみ食いは有りなのか?」
「その為の塩、砂糖、バターだ」
「では、遠慮なく食べるのだ」
という人もいる。
それでも、皆でやれば結構出来るものだ。
30分もやるとカゴ山盛りだったドングリも姿を消して、丼2個分のナッツになる。
「あれだけ剥いて、この程度ですか」
「そう。でもまあ、水に浸けた後、2週間も乾かせば、もっと剥きやすくなるからさ。それに、慣れれば結構早く出来るし。それじゃ、ちょっとばかり試食用を」
先輩は剥いたスダジイをフライパンの中に一握り入れ、バターでささっと炒めて、砂糖を振りかける。
砂糖が溶けたところで、火を止めた。
「とりあえず簡単なおやつだ。先生は塩の方が好きらしいけれど、私は甘い方が好きでさ。まあ、その辺は好みという事で。砂糖が冷えて硬くなったら完成だ。それぞれ食べてみてくれ」
食べてみると、確かにこれなら立派におやつになる味だ。
甘さとバターの油と塩分、そしてスダジイのホクホク感あるナッツというのが、いいバランスになっている。