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靜子は、高樹とのセックスに満足していた。相性も良く、強制や義務感に囚われることもない。
本能のまま絡み合う身体の熱は、冷めることなく長い時間続いて、絶頂を迎えた後も互いの肉体を貪り合い、そして弄んだ。
形式的なセックスに嫌気がさしていた頃、靜子は高樹の全てを知った。
夫の孝次郎をはじめ、これまでの男達は、ことが終わると天を仰いで満足気な顔をする。
その度に、靜子は取り残された気分になって、虚な目で男を眺めては、冷めた身体を慰めた。
結婚をしても、淋しさを紛らわす行為が減る訳ではなく、むしろ回数は増えていった。
セックスに愛はない。
靜子の空虚な心の叫びを、専属マネージャーの高樹が変えた。
サディスティックなセックスに靜子は溺れた。
欲望を満たしてくれる高樹の前では、自分を曝け出せたのだ。
思えば、常に誰かを演じていたこれまでの人生。
両親の前では聞き分けの良い娘であったり、学校では目立たないおとなしい子供だったりと、俳優を生業にしてからは、過去の自分に疑問符をつけながら生きてきた。
絶えず、自己否定を続ける中、ありのままの姿でいられる存在の高樹を、靜子は心底愛おしく、それだけに、セックスに愛を求める愚かな真似はしたくないと考えていたのだった。
快楽に溺れ、乱れる狂う。
鏡に映る、互いの姿を時折眺めながら、オーガズムに達するまでのひと時を、靜子は本能のままに喘ぎ、楽しんだ。
高樹は、靜子の唇をそっと噛んだ。
その美しい肢体に覆い被さり、体重をかけて身体の自由を奪い、激しくやさしく、時間をかけて愛撫を続ける。
白い喉をヒクヒクさせて、小刻みに震える身体。
高樹もまた、靜子の顔や髪や胸に爪を立て、狂おしく続く世界を楽しんでいた。