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キャラメイクなどを行っていた真っ白な部屋から一転して飛ばされた先は自然大都市『ファストル』という街。初心者から玄人までもがここに拠点を構えてる安定した街らしい。メニュー画面開いたら街の説明っていう項目があってそこにそうやって書いてあった。
一応このゲームにはストーリーというものがあり、この世界『ファンタジア』は厄災によってほとんどの文明が滅び生き延びた人々が再び文明を取り戻すため生き抜くという結構重めのストーリーだ。文明を取り戻していく過程でこうなった根源である厄災に対抗するため立ち上がったのが私らプレイヤー、この世界では『渡る者』と言われてるらしい。
現在解放されてるエリアは初期マップのココファストルと次の街セコルトの二種類だけだが大半の人間はその第二の街には到達できていないらしい。その理由が圧倒的やれることの多さと絶妙なゲームバランスがあるとか。ログインして最初に飛ばされるのが大きな噴水の前なんだがそこで立ってると他プレイヤーの会話がよく聞こえるため情報集めに事欠かない。そこで聞いた話をあたかも自分の知識のように披露している訳だが、やれることの多さって具体的にどういう事が気になってメニュー画面を眺めてたら『実績』という項目がありそれをタップして確認すると戦闘職での実績があり、その他にもゲームプレイするにあたっての実績、ストーリー関連の実績、生産職の実績etc……。なるほど、これは確かにやれることが多いという声が上がるわけだ。
で、もう一つの問題は絶妙なゲームバランスという事だが、このゲーム単にレベルが高ければ楽にすすめる仕様ではないみたいで、ボス戦も複数人で討伐を想定しているため硬いモンスターや状態異常をめっちゃ使うモンスター、あとはギミックを使ったモンスターなど結構いるようでレベルで解決がほとんど出来ないらしい。何よりみんなが苦しめられてるのがどのダンジョンにもレベル制限が設けられており、初クリアするまではどんだけレベルが高くても強制的にそのダンジョンのレベルに下げられるためズルができないとか。もちろん一度クリアすればレベル制限は解除されるらしいが、そもそもクリアが厳しいのでこの最初の街ファストルで足止めを食らってる人が多いわけだ。
こういった実力がものを言うゲームを私はやってきてないから不安でしかないが、ミサが推してくる理由はこういうとこなんだろうなとも思う。決してクリア出来ないわけじゃない難易度だから試行錯誤して突破する楽しさにボス討伐時知らない人と同じ目標のために協力する感じとかがたまらないんだろう。まぁ、今の私にはそれらとは無縁なわけでこのゲームの勝手を知りたいからとりあえず待ちの外に出てやれる事を把握しておかないといけないな。
この手のゲームで最初にやることはプライベートの確保ということ言うことで宿屋の把握及び部屋の確保だな。その次に初心者おすすめの狩場を教えてもらうのと武具の調達。初期資金は1000ゴールド。これが多いのか少ないのか分からないが、多分満足いく装備を整えることは出来ないだろうな。一応初期装備として石の剣と木製の盾、で初期アバターよろしくの布の服とかだね。ま、今日は散歩しに来ただけだし武具の調達は後でで体の動きとかの確認で終わらせよう。そしたら宿の場所とかを聞きたいから適当な誰かに声掛けて…。おっ、あの人でいいや。
「すいませーん!」
「ん?俺を呼んだのか?」
「はい!私ついさっきゲーム起動した素人なんですけど宿屋ってどこにあります?」
「初心者さんか!宿屋ならこの大通りをまっすぐ進むとベッドの看板があるからそれが宿屋だな!」
「ありがとうございます!ついでになんですけど、初心者におすすめの狩場とかってあります?」
「そうだなぁ…。いくつかあるがこの時間なら東門をぬけた先の小さな森があるからそこがいい狩場だと思うぞ。」
「何から何までありがとうございます!それでは私はこれで!」
「あっ、ちょっと待っ……。行っちゃったか。あそこまれに高ランクモンスターのクマが出るんだが、まぁ初心者なら見た目に圧倒されて逃げてくるから大丈夫か。」
(それにしてもあの子名前といい見た目といい没落貴族の成り上がり系のロープレでもしてるのか?)
優しいお兄さんに宿屋と狩場を教えて貰って、宿は取ったし装備は初期装備で十分そうだから早速森で色々試してみよう。まず私は剣士を選択したので剣と盾を貰えてるが、剣士に盾は不要ということで剣のみで戦おう。そもそも私防御も体力も少ないし盾なんてあっても焼け石に水だろうからね。で、攻撃モーションだけど固有のものはなくて私の思う通りに動いてくれるわけだ。身体能力は一応ゲームだからそこはシステムで補助されてるのかな?試しに近くの木に登ってそこから飛び降りてみよう。
適当な登りやすそうな木に手をかけてぬるぬると登っていき数メートルの高さから勇気を持って飛び降りるも特にダメージはなく、着地時の足の痺れこそあるもののそれ以外は問題なく動けている。
なるほど…。私リアルではそんなに運動神経良くないけどここではそれは通じなさそうね。て事は勇気さえあればバク転とかも出来るんだ!今は怖いからやらないけど…。さて、自分の身体能力の高さはこれで把握出来た。次はモンスターとの戦闘だけど良さげなモンスターはいるかなぁ?……と、見つけた見つけた!雑魚モンスターといえば真っ先に名前が上がるスライムくん。プルプルしてゼリーみたいで美味しそう…。いやいや、そんなこと思ってないで早速戦闘と行こうか!
私の体力は23で相手は数値不明、か。これ倒し続ければスライムの情報が手に入るとかそういうタイプのシステムかな?なんにせよこっちの攻撃一撃ではやられないだろうから試しに斬ってみますか!
腰に当てた石の剣を鞘から抜き横に勢いよく振るう。スライムに当たると二つに分かれてぐったりしたあとすぐにひとつに戻り反撃の体当たり繰り出す。分かりやすい攻撃モーションだからかスッとかわしてまたこちらが攻撃をする。二発当てるとスライムは動かなくなり光の粒となり消えていった。
石の剣二発でスライムは倒せるみたいだね。ターン制バトルって訳じゃないけどやっぱりずっと私のターンみたいな事はないのね。相手の攻撃を見切るのもこのゲームは大事なのかも。
《新たなスキルを獲得【見切りLv1】を入手》
ふぇ!?突然機械音声が流れたと思ったらウィンドウが出てきた?なになに〜?スキルっていう概念があるのね。この見切りって言うのはどういう効果かな。
『【見切りLv1】ごく稀に相手の攻撃を完全回避します。ただし範囲攻撃などは対象外です。レベルが上がると発生率も上昇します』
ほぉ?相手の攻撃を完全回避することがあるスキルか、確率っぽいけどレベル上げればその発生率も上がるらしいしなんなら自分の意思で使うことが可能になるかもしれないならこれレベル上げようかな!……どうやってあげるのか知らないんだけど。
ま、可能性としてはとにかく相手の攻撃を避け続けることだと思うのでもっかいスライム君に出てきてもらおうかな。他にもいろいろやってみたいことあるし。
〜その後スライム一体に対して避ける練習をし続け見切りのレベルが上がり、それに味をしめたユウナもとい『プリンセス』はスライムの数を増やしていきどんどん回避スキルを獲得して行った〜
良し!スライム五匹相手して見切り以外のスキルも手に入れたしいいんじゃないかな?
《スキル【見切りLv5】【回避Lv3】【危機管理Lv4】【我流武術Lv2】【脚力Lv2】【胆力Lv3】》
大体が自己バフ系なのはまぁ仕方ないよね。とりあえず見切りはレベル5にしたことで自分の意思で使えるようになった代わりにリキャストタイムが付いてそれが10分とかクソ長いけど優秀なことこの上ないから良し!他にも回避と危機管理というスキルだけど、回避は単純に相手が攻撃をスカしてくれることが増えること。危機管理は稀に相手の殺気を感じることが出来る程度の能力。更に避けるときに遊んでスライムを素手で殴ってたら【我流武術】とか言うのを手に入れたけど、これは拳系の攻撃アップとノックバックが付与されるみたい。ま、レベルが低くて使えないけどね。【脚力】は私のすばやさに補正が入るのと【胆力】は精神攻撃耐性が着くらしい。何精神攻撃って?悪口とかに強くなるの?だとしたら全然要らないけどね?
まぁ、とにかくスライムとこうして触れ合えるのも新鮮で超楽しいのは間違いないね。遊び方は十中八九間違ってるけど、なにも決められたルートを遊ぶだけじゃないのがMMOってやつだと思うから私はこのままスライムと戯れてようかな。
(赤の他人ではあるが、彼女が気になり着いてきて木陰に隠れて様子見てるが…あの子なにしてんの?スライム数匹と戦ってるんだよね?なんで剣抜かないで避けてばっかりなの?なんならただ避けるんじゃなくて踊りながら避けてるように見えるんだけど…。名前のプリンセスってそういうこと?某ネズミの国のプリンセスよろしく動物と遊ぶように彼女モンスターと戯れることが出来るの?金髪縦ロール美形のわっかりやすいお嬢様みたいな見た目で遊んでるってもはやそう言うロールプレイなんだろうな。うん。そういう事にしようかな。ちょっと個人的にこの娘に興味湧いたししばらく追ってみようかな。)