テラーノベル
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「…………えっ?」
唐突に、彼に手を取られた優子が、一瞬目を見張る。
「今日は同伴ではあるが……こういうシチュエーションも…………たまにはいいだろ?」
彼はいたずらっぽく唇を緩ませ、彼女を見下ろしながら歩いているうちに、ニシムラのショップに辿り着いた。
二人は、手を繋いだまま、ショップ内のバッグや革小物を眺めている。
猫の型押しや、Nマークのロゴで有名なニシムラのバッグは、流行を取り入れつつ、上品な雰囲気のデザインが多い。
カジュアルバッグも豊富だけど、優子はレザーのバッグに心が惹かれてしまう。
「あ……これ、今の時期にピッタリ!」
廉から離れ、優子が手にしたのは、白いレザーにクロワッサンのような形をしたワンハンドショルダー。
バッグの右下には、ニシムラのブランドアイコンとも言える、Nのロゴマークが型押しされ、裏面にはファスナーポケット。
大きすぎず、小さすぎないサイズ感と、手に持っても、肩に掛けても絶妙なバランスで、彼女は、店内の全身鏡で合わせている。
「そのバッグ…………気に入ったみたいだな」
廉が背後から近付き、鏡の前から離れない優子に、笑みを滲ませる。
「はい。今着ているセットアップにも、合うかなぁって思って」
「分かった。これにしよう」
彼は、彼女が気に入ったバッグに手を伸ばすと、レジに向かう。
「え? れっ…………廉さん?」
「いいから。これは…………俺と岡崎の再会祝いって事で」
「そっ……そんな……! 再会祝いって……」
廉が、会計を済ませている間、ショップの店員が、新しいバッグを店の奥から出して、レジカウンターの上に置く。
「商品の在庫がありましたので、今一度、確認して頂いてもよろしいでしょうか?」
「…………」
ニコリと微笑む店員を前に、優子は、本当にいいんですか、と言いたげに廉を見上げると、彼はコクリと首肯する。
彼女がバッグを改めた後、店員は、廉の依頼なのかギフト用に包装すると、二人は商品を受け取り、ショップを後にした。
「廉さん……」
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