テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「おぉよかったな!彼氏、喜んでくれるといいな」
「……うん!」
俺は曖昧に微笑み返して視線を逸らした。
尊さん……喜んでくれるといいけど……
◆◇◆◇
その日の昼休み
尊さんの周りにはチョコレートを手に持った女性社員たちが集まってきていた。
「主任!これ受け取ってください!」
「私も!」
「私のも!!」
……モテモテだなぁ。やっぱり……
俺はそれを遠巻きに見て、一緒にお昼は無理そうかな、と思って一人ランチに向かった。
数時間後……
定時を過ぎて、書類をまとめながら頭の中で何度もチョコを渡すシュミレーションをしていると
「雪白」
突然名前を呼ばれて振り返ると尊さんが立っていて、俺は驚いて椅子から飛び上がりそうになった。
「しゅ、主任……!」
「帰れそうか?」
「は、はい!」
俺は慌てて資料を片付けて鞄片手に立ち上がり
「か、帰れますよ!」
「じゃあ行くか」
「はい!」
尊さんと一緒に会社を出て帰路に着いた。
「雪白、チョコ持ってきたんだろ?」
「え?」
不意に尊さんが聞いてきて俺は目をぱちくりさせる。
「チョコ……あっはい、ちゃんと持ってきてますけど…」
「ならお前の好きなスムージー作ってやるから家来い」
「えっほんとですか?飲みたいです!」
俺は嬉しさのあまり笑顔になった。
尊さん宅に着くとすぐに尊さんはキッチンに立ち
「雪白、何飲む?苺にするか?」
と聞いてくれる。
「はい!苺がいいです!」
「分かった。出来たら呼ぶから寛いどけ」
尊さんは冷蔵庫から苺を取り出して器用に切ったりして飲み物を作り始めた。
その後ろ姿はどこか楽しげで自然と笑みが溢れる。
「あ……俺もケーキ出さないと」
そう呟くと保冷バッグから大事に保管していた箱を取り出しリビングのテーブルの上に置く。
すると丁度尊さんがピンク色の液体が入ったガラスコップを持って俺の方にやってきて
「ほら」と差し出してくれる。
「ありがとうございます!」
受け取ると口をつけてみると甘酸っぱい苺の風味が口の中いっぱいに広がり
「うま!」と自然と感想が零れた。
「そりゃあな」
尊さんは嬉しそうに笑いながら自身が作ったスムージーを飲んでいる。
「それで、ケーキは?」
「あっそうでしたね……あのこれ、尊さんがビターが良いって言ってたので、エスプレッソショコラケーキ作ってみたんです」
俺はおずおずと尊さんにチョコの入った箱を差し出すと尊さんは
「…開けていいか?」
と言ってきたので俺は黙って頷いた。
尊さんが丁寧に箱を開けて中身を確認すると驚いたように目を見開いて
「これ……本当に雪白が作ったのか?」
なんて聞いてきたので俺は恥ずかしくなりながらも頷き
「へへっ、はい!たくさん練習したんですよ、一口食べてみてくれますか?」
尊さんに促すと尊さんは1切れのケーキの先を半分ほど頬張ると
ゆっくり咀嚼してから飲み込んだあと
「美味い……。いいな、これ。結構難しかったろ?練習したんだな」
と頭を撫でて褒めてくれた。
「ほんとですか?!」
「ああ。作ってくれてありがとな」
「えへへ、良かったです!」
それから二人で少しずつケーキを食べて
「あっそうそう、これ実は田中に教えて貰って作ったんですよ」
俺が尊さんに告げると尊さんは一瞬真顔になってから優しく微笑んで
「だから最近お前と田中一緒にいることが多かったんだな」
と言われてギクリとする。
「は、はい、そうですね」
内心ビクビクしながらも俺は平静を装って尊さんに笑いかけた。
「あいつとはよく連むのか?」
「はい…田中はお菓子作り得意みたいで!この前お菓子もらったんですけどそれが美味しくて…」
「つい教えて欲しいってお願いしたら快くOKしてくれたんです。だから田中の家で教えて貰って…」
そこまで言ったところで言葉を遮られるように唇に柔らかい感触が重なって、目を見開く。
(……っ、え?)
至近距離にある尊さんの瞳を見つめて呆然としていると、尊さんはそのまま唇を離し
「雪白…それはわざと言ってるのか」
「え?何のことですか?」
「ちょっと無防備すぎやしないか」
「?」
俺は意味がわからないと言うように首を傾げる。
すると
「お前は鈍すぎるから困る」
尊さんが呆れたようにため息を吐いたあと
不意打ちのように再びキスされた。
「……?!」
びっくりして固まっていると舌をねじ込まれて舌を絡め取られる。
ゾワッとして背筋が震えた瞬間腰に腕が回されて逃げられないようにされてしまい
「ふぁ……んんぅ……」
必死に離れようと胸板を押すけどびくともしないどころかどんどん体重をかけられていく。
息継ぎの隙もないぐらい激しい口づけに戸惑っていると
ようやく解放されてぷはっと息を吸い込むと尊さんは耳元に顔を寄せてきて
「…躾が足りなかったみたいだな」
「ぇ……」
低く囁かれぞくりとしたものを感じて身体が硬直してしまう。
そのままゆっくり押し倒されると覆い被さるようにして見下ろされる。
「た…たけるさん…?」
心臓がバクバク鳴って顔が赤くなってるのがわかる。
緊張しすぎて頭が働かなくなって目が潤んでくるのが分かるけど止められない。
羞恥と興奮から来る涙なのかもしれないと思うと
余計恥ずかしくてどうしようもない気持ちになるのに抗えない自分がいる。
「…俺というものがありながら他の男の家に行くのはどうなんだ?」
「そ、それは…田中だし、いいかなと…」
「それにしたってノコノコと男の家着いてって料理教えもらうとか……危機感ないのかお前」
(た……たけるさん、もしかしなくてもすごく怒ってる…?)
よくよく考えたら俺は浮気みたいな行動をしてたんじゃないか
尊さんの気持ちも考えずに田中のことを話してたんじゃないかと
これはヤバイと思い青ざめる。
「あ…あの…これって、浮気になっちゃいますか…?」
恐る恐る尋ねると尊さんは眉間にシワを寄せたまま俺を見つめて
「なるだろうな、雪白が他の男の家に行ってる時点で嫌だし俺は嫉妬してる」
ズキン……と心臓が痛んで
「ち、違うんです…!!俺浮気してたつもりはなくて…尊さんにどうしても完璧なチョコケーキ作ってあげたくて…っ、あっいや……その、言い訳、ですよね……」
素直に謝ると尊さんは優しく微笑んで俺の額に口付けてくれる。
それが心地良くて擦り寄るとぎゅっと抱きしめてくれて安心する。
「冗談だ。ただ……」
「……?」
「……雪白は誰の恋人なんだ?」
「え……た…尊さんです」
俺は戸惑いながら答えると尊さんは満足そうに笑って
「そうだよな。それでもお前は危機感が足りてないみたいだからな、たまにはお仕置が必要だよな」
「え?」
次の瞬間には組み敷かれていて服を脱がされ始めていることに気づいて慌てるが時すでに遅しだった。
「た、尊さん……っ、ま、まだ怒って…?」
「だったら何だ。お前は俺のものだってことを自覚させてやろうって思っただけだが?」
尊さんはニヤリと意地悪そうに笑うと首筋を舐め上げてきたのでビクッと反応してしまう。
そのまま首筋辺りを強く吸われて痕をつけられる。
「っ……」
ピリッとした痛みを感じるのと同時に鎖骨や胸元にも赤い花が咲く。
「ここなら跡がちゃんと見えて、分かりやすいだろ」
そう言われてホッとしてると今度は乳首を摘まれて身体が跳ね上がってしまう。
「ひゃっ……んぁ……」
思わず変な声が出てしまって口元を抑えているとその手を掴まれて指先を絡め取られて
「我慢するなよ」
と言われてしまったため諦めて力を抜く。
するとそれを合図にするように両方の突起を弄ばれるようになって身体が熱くなっていく。
先っぽを舌で舐められては口で吸われて刺激を与えられて
全身に快感が走り抜ける感覚がして堪らず甘い吐息が漏れた。
「んっ……ふぅ……はっ……んんっ♡」
最初はくすぐったいような感じだったのに段々気持ちよくなってきてしまって
頭がぼーっとしてくる。
「雪白……可愛い声出すな」
「え、そ、そんな声だしてなぃ……んんっ♡」
否定しても尊さんは容赦してくれなくて
執拗にそこばかり攻め続けるものだからおかしくなってしまいそうになるくらい気持ちよかった。
「ふぅ……んんっ……あっ……」
必死に声を抑えようとすればするほど逆効果になっているようで次第に抑えきれなくなっていく。
それが恥ずかしくて仕方ないのだけどどうしようもない。
「そろそろいいか」
尊さんが呟いたかと思うとズボンに手をかけられて脱がされかける。
パンツ一枚になったところで動きが止まる。
「た、たけるさん……?」
不安になって呼びかけると尊さんは妖艶な笑みを浮かべながら
「……自分で脱いでみろ」
と言ってきた。