テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
これは主が一から作ったストーリーです!
オリジナルなので、興味がある人は読んでいってくれたら嬉しいです…!
第一話 「二つの社会」
『十九歳の女性が殺害された事件から今日で二年が経ちました。未だに事件の犯人は見つかっていません。警察は、情報の提供を求めていますが、情報は全く集まらず、捜査は困難しているようです。また、犯人は”裏社会”に関わっている者の可能性が……』
街にとあるニュースが流れた
二年前に女子大学生が殺害されたと言う悲惨なニュースだった
放送局に設置されている巨大な画面の中で、髭の生えた男性キャスターが事件の説明をしている
キャスターの隣に映し出された写真には、美しい長髪の女性が微笑んでいる姿が映っていた
やがて雨が降り始め、街は灰色に染められた
人々は色とりどりの傘を広げ、道は水玉模様で飾られる
空には分厚い灰色の雲が、太陽の光を拒んだ
静かに降る雨は針のように花々に刺さる
傘や地面に打ち付けられる雨の音が響き、鼓膜をくすぐる
その地下で、事は始まりかけていた_
「…よし、大丈夫だ」
黒ずくめの男は背後にいる男に言う
その声は成人した男性よりかはまだ若い、青年のような声に聞こえる
二人は地下の鉄壁で作られた長い通路を進んでいた
明かりが少なく、所々焦げ付いていたり、何かの液体がついたのか真っ黒な染みのような跡まである
「本当に大丈夫なんだよな?もうここは”奴ら”のアジトなんだぞ…」
もう一人の男は少し怯えるように言う
二人の顔には焦りの色が浮かんでいた
だが構わずに、暗く長い通路を足音を立てぬように静かに進んで行く
まるでこっそり家の中を徘徊するネズミのようだ
「でも、情報を持って帰れたら俺たち凄い大金が手に入るんだぞ?その為ならなんだってやるってお前も言ったろ」
「そりゃそうだけどよぉ…」
二人はゆっくりだが順調に進んで行き、やがて一つの鉄扉の前に辿り着いた
背後にいる男の声が少し大きくなった
「…おい、もしかしてこの部屋…!」
先ほどまでびくびくと怯えていたのが一転し、欲望に燃える『人間』の目だ
「何か情報があるかも知れないな」
前を歩いていた男もつまりかけていた息を吐き、安堵した
緊張が少し解けたのか、二人は目の前の探し物に鼓動が早くなる
先頭を歩いていた俺はドアノブに手をかけた
_せめて少しでも情報が手に入ればいいが…。
しかし、そう思ったのも束の間
「動くな」
銃の構える音と共に低い男の声が通路に響き、鼓膜を震わせた
「っ…!!」
全身に悪寒が走る
見つかった。
体が凍ったように動かない
冷や汗が背筋を流れ、口の中が急激に乾燥した
今自分たちには銃口が向けられている
「…クソ、嘘だろ……」
先ほどまで欲望に満たされていた仲間も顔が真っ青になっていた
「どっからのネズミかは分からねえが、侵入者は排除する」
再度、低い声が空気を震わせる
感情を見せない凍てつくような冷たい声だ
不意に、隣にいた仲間が懐から素早く何かを取り出した
銃だ。
「ここで死ぬくらいなら、一人だけでも殺してやる…!!」
「っ!!やめ」
俺は止めようとした
仲間は振り返ると即座に敵に銃を向けた
引き金を引く_
だが、それよりなお早く、仲間の額に穴が空いた
同時に銃声
#異能力
睡蓮
9,446
金平糖うまうま
17
#オリジナルストーリー
いなり
162
目の前で散る赤黒い花びら
通路の奥まで永遠と響いていく乾いた重低音
仲間は構えていた銃をぽろりと落とし、その場に倒れた
「っ…!」
目の前には、銃を構えた金髪の男
その銃口は、すでにこちらに向いていた
(クソ、”視る”しかねえ…!)
踏み出すと同時に、フードの中から黒い瞳が見えた
俺は両目に全神経を注ぐ
瞳は淡い藍を纏う
俺は男に向かって駆け出しながら見極める
(体格はよく、筋肉質。さらにあの構え方と佇まい……プロだな)
(向かってくるか。判断ミスだな)
男は駆け出した俺に向かって一発撃った
確実に脳天を狙う、即死の一発
だが、今の俺には関係なかった
能力を発動させた俺には、こちらに向かってくる弾はスローモーションで視えた
俺は無駄な動き無くその弾を躱す
「!?」
今まで無表情だった男は少し驚いたような表情になった
_行ける
俺は素早く近づき首筋に手刀をしようと手を伸ばす
(まだ、死ぬわけには行かねえんだ!!)
そう思った
手刀が決まる直前
「ゔっ!?」
銃声がした
先ほどとは少し違う、空気を多く含んだ音だ
俺の首筋に何かが刺さったような感覚と共に、視界が暗くなった
倒れる直前、やっと男の奥にもう一人誰かがいたのに気付いた
(く、そ………)
体が急に動かなくなり、俺はその場に倒れ込んだ
そのまま意識を手放した
「……。」
男は静かに見下ろす
侵入者の首筋には、針のついたカプセル型の弾が刺さっており、中の液体が体内に注入されていた
足音と共に、背後にいたもう一人の人物が近づいてきた
_この街には、 二つの社会がある
「表社会」は、沢山の《人》が普通の生活を送り、会話し、笑い合い、平穏な生活を送る世界
公園に行けば、少年少女の陽気な声が響いてくる
近くの学校からは部活動の掛け声や楽器の演奏する音が聞こえてきて、通りかかる人々をの心を満たす
今夜の夜ご飯はなんだろうか
明日は何をしようか
いつだって待ち焦がれる明日がある
「裏社会」。
いつ、どこから弾丸が飛んでくるか分からないこの世界では、多くの《人間》が沢山のものを賭けて争う
勢力、戦術、武器など。
多く、強いものを持っている者から生き残り、持たないものから朽ち果てて行く世界
飯がいつでも食べられるなんて甘い考えだ
無事に明日が来る保証もない
しかし、そんな「裏社会」では、多く、強いものを持たずとも、恐れられている存在があった
自身の為、欲望の為に奪わず、ただ街の秩序を保とうとする秘密を秘めた者たちの集まった異端な組織
「Night Lily」。_ 夜に咲く百合の花。
彼らの目はどこで光っているか分からない
街の平穏を壊そうとする者は、彼らが即刻排除するだろう
当たり前のように今日も昇った朝日は、そんな彼らを、街を、ただ平等に照らしていた
コメント
1件
読み終えました……冒頭のニュース映像から始まる世界観の導入、すごく好きです。「表社会」と「裏社会」が並立するこの街の空気感が、雨の描写ひとつでぐっと引き締まって。 主人公の“視る”能力を活かした戦闘シーンもスピード感があって、一瞬で引き込まれました。でも一番心に残ったのは、最後の「当たり前のように今日も昇った朝日」という一文です。裏でどんな戦いがあっても、街の上では普通に朝が来る——この対比がとても切なくて、でも美しかったです。続きが気になります!🌷