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古流斬
2,542
87
チタコロ
323
短編「英雄の重さ」
古流斬は英雄だった。
大罪との戦い。
酒呑童子との決戦。
世界を救った功績は誰もが知っている。
だが――。
その英雄には、誰にも話せない秘密が多すぎた。
寿命がないこと。
世界の理を壊したこと。
ルールの外側に存在すること。
そのすべてを隠し、今日も笑っている。
嘘だらけ。
隠し事だらけ。
「……俺は、本当の英雄じゃない。」
そう呟くこともあった。
⸻
ある日。
地獄で閻魔との仕事を終えた帰り道。
古流斬は大きくため息をついた。
「はぁ……。」
「英雄って、めんどくせぇ。」
「この肩書き、ケイトに押し付けられねぇかなぁ。」
苦笑しながら現世へ戻る。
そのまま防衛軍本部へ向かい、ケイトの部屋を訪れた。
「ケイト、ちょっと相談いいか。」
「もちろん。」
古流斬は椅子に座ると、ぽつりと本音をこぼした。
「英雄って疲れる。」
「秘密ばっか抱えて。」
「皆には笑ってなきゃいけなくて。」
「正直、しんどい。」
ケイトは黙って最後まで聞いていた。
そして静かに笑う。
「古流斬。」
「俺は、自分を英雄だなんて思ったことはない。」
「ただ守りたいから戦っているだけだ。」
古流斬は黙って聞く。
ケイトは続ける。
「でもな。」
「お前一人に背負わせるつもりはない。」
「俺がいる間は、一緒に背負ってやる。」
「だから。」
「気兼ねなく生きろ。」
その言葉を聞いた古流斬は、少し目を見開いた。
そして照れくさそうに笑う。
「……ありがとう。」
「親友。」
ケイトも笑って答える。
「ああ。」
「一人で抱え込むな。」
「英雄だって、人に頼っていいんだからな。」
古流斬は立ち上がる。
心は少しだけ軽くなっていた。
どれだけ秘密を抱えていても。
どれだけ重い運命を背負っていても。
隣には、支えてくれる親友がいる。
それだけで、また前を向いて歩いていける気がした。
コメント
1件
ああ〜もう、この第122話、めっちゃエモくない!?😭💕 古流斬が「英雄って疲れる」ってポロッと本音こぼすシーン、胸がギュッてなったよ…。秘密抱えて笑ってるところとか、めっちゃ人間らしくて逆にカッコよかった。 で、ケイトの「一緒に背負ってやる」はズルいでしょ〜!親友の良さが詰まりすぎてて泣ける🥺💖 重たい背負いモノも、隣に誰かがいるだけでちょっと軽くなるよね。今回のやり取り、本当に温かかったです…!