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ふう、やっと星天帝国に着いた。
足が疲れちゃったな。
「なぁ。休憩しない?」
「ダメじゃ。今は9時半、10時から任務じゃよ。急がんとエルの名が恥じるではないか」
「そうだがー…」
早歩きで30分。しかも未鈴はすごく早く歩くので着いていくのが大変だ。
「じゃあわしの能力で癒してやろう。」
「え、できるのか」
「舐めるなよ、わしは森羅万象を司る偉い守護神じゃ、回復なんて赤子の時にもうできるようになってたわい。」
「すごい」
ドヤ顔の未鈴。けど赤ちゃんでできるのは本当に凄いと思う。
「ま、朝飯前じゃ!エルのためにやってやろう、感謝せい。では行くぞ。「癒し」」
未鈴がそう言うと、たった三文字の言葉で、私の足はみるみると良くなる。
とてもシンプルかつわかりやすい言葉で、こんなに良くなっていくんだ。本当に凄いよ。
「へへん。では急いで向かおう」
「あぁ、そうだな。ありがとう」
「ふ、ふん、ほ、褒められるのはな、慣れとるからな。」
あれだ、ツンデレだね。可愛いとこあるじゃん。
「素直になりな。わかってるから。」
「わ、わかってるぞ…」
「そうそう、じゃ急ごうか」
「おーすごい、お城だ。」
私の任務は子供の世話。それがこの帝国の皇子様の世話ということか…
「わしはこっからは入れんからのぉ、守護神として透明化して見守るぞ」
「うん、それでよろしく頼む。よし、冷徹になるか…」
「行こう。」
警備員がいて、止められた。
「誰だ、ってエル様ですか、何のご用で。」
「任務だ」
警備員に説明し、中に入れさせてもらった。
「小さな神様というのは、皇子か」
「そうですね、その任務の内容ではそうでしょう」
だとすると、名前は「レーデント・アストルム」様だろう。
「では、失礼致す」
城の名は「星天白城(せいてんはくじょう)」といって、真っ白なお城だ。
だから、お城の中はとても真っ白でしっかりと掃除がされていた。
「あ!エル様ですよ」
「え、エル様!?」
「何をしにやってきたのでしょうか」
「わかりませんが、おもてなしをしたほうが良いですよね!?」
メイドと思われる者達はザワザワと話し始めた。
「今から話す。私は任務でやってきたのだが…」
「…ということだ。理解して頂けたかな」
「なるほど、レーデント様のお部屋はこちらになります。」
さっきのザワザワとしたのは収まり、一人のメイドが案内してもらうことになった。
やっぱり優秀なメイドが集まっているのだろう。すぐに話を聞いて、すぐに対応してくれた。
アポくらい取った方が良かったのか…?
今更そんなことを考えてしまった。
「ここですね、普段、お部屋にはレーデント様直属の侍女「カルディア・アエテルニターティス」様がおられるのですが、今日は急な体調不良のため不在でございます。」
なるほど、だからこんな任務がね…
「3時までレーデント様のお世話をお願い致します。私も一緒にお手伝いしますので、頑張りましょう。」
「名前はなんという?」
「私は「メルギーライト・モルス・ディール」と申します。私の名前は少々長いですので、メルギーと呼んでくださいませ」
メルギーか、良い名前だね。
「わかった、メルギー。では、敬語ではなく、普通に話してくれるかな」
「え、何故でしょうか。エル様はとてもお強い方。私の様な弱いメイドがエル様に敬語を使わないなど、他のメイドに説教されてしまいます。」
とても信じられないと言う表情で拒否する。
これは私の我儘。友達がいない私に少し夢を見せてほしいのだ。
「ではその時は私を呼べ。すぐに向かおう。」
「何故そんなことするのですか」
「私はまだ弱いのだ。そんな私に敬語はもったいない。せめて今日だけ、友達の様な感覚で接してくれないかな。」
私の本心である。
「(全然冷徹じゃありません。どなたなのでしょうか。冷徹なんて全然違う二つ名を与えたのは…)」
「わかりました。では…エル、今日はお互いに頑張るわよ」
「そうだね、皇子のために頑張るとしよう」
と言って、ドアを開けた。
「…誰ですか?」
「私はエルと申します。一日だけ私とメルギーが侍女となります。皇子、よろしくお願いします」
「そうですか、よろしくね。あれ?エルってどこかで聞いたことがあるような…」
「エルはとてもお強い方なのですよ」
「へえ!強いんですね!ぜひお相手したい…」
「レーデント様のお願いでも危ないことはさせることはできません」
「そうですか〜残念…」
今はちょっとまだ弱いから私も嫌かな…
少しばかり助けられた。
「では、どのようなことをすれば良いのだ?」
私が問う。
「そうね、まずはお勉強をしましょう」
「お勉強ですか〜うう…あまり得意ではありませんが、頑張ります」
「ええ、では数学の準備をしてきますね」
と言ってメルギーは去っていく。
「えっと…」
「何だ」
「お、お話しない?」