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(この顔…見覚えがある……)
梨沙は邪悪な笑みに歪んだ丸山の顔を見てそう感じた。
岡部秀一だ。彼も最後に梨沙にこんな表情をしていた。
本性を見抜かれた悪魔の顔。
梨沙を利用しようとする人間達の顔。
梨沙は声をあげて丸山との通話を切った。
心を占めていたのは悲しみではなく怒りだった。
もう懲りていたはずなのに、また騙された自分への。
(どうして気づかなかったの?どうして!)
梨沙は自分に毒づいた。
この2年何も成長していなかった。
梨沙は家に閉じこもって時間を止めようとしていただけだった。
自分を省みることをせず怠惰な惰性の世界に浸かっていただけだった。
わかっている。そんなことは自分が一番わかっている。
だけど、どうすればよかったというのだ。
他人を蹂躙することを厭わない人達とどう向き合えばよかったのだ。
(誰か助けて……)
助けなど来ないとわかっていても願わずにはいられない。
結局のところ、梨沙はこの社会で生きるのに向いていないということでしかない気がした。
適者生存の法則が真実なら、とっくに死んでいたはずの弱者が間違って生きてしまっていただけのことなのかもしれない。
もう抗う力など梨沙には残っていなかった。
でも力などなくても抗うしかないのだ。
生きるためには。 生きている限りは……。
梨沙は立ち上がり、部屋のドアのカギを開けて、石倉を招き入れた。
「綿貫さん、ありがとうございます」
石倉の背後には白衣にマスク姿の医師団がいた。
「……この人達は?」
「医療チームです。あなたと胎児の状態をチェックさせてください」
医師達は何も語らずてきぱきと準備を始めていき、梨沙とお腹の子供の診察を始めた。
はじめに触診を受け、次がエコー検査だった。
梨沙はエコーの画面に映し出された小さな命の姿を息を呑むように見つめた。
目鼻立ちははっきりとしていて人間の赤ちゃんにしか見えない。
(この子が、私の中に……)
言葉では言い表せない感情が静かに胸の奥を満たしてゆく。
梨沙にもうまく説明できないが、恐怖とも不安とも違う、もっと原始的で温かい何か。
梨沙は自分の身体の奥深くに宿る命との繋がりを感じざるをえなかった。
それが例え凶悪なモンスターだとしても。
体重は推定700~800g。通常であれば妊娠20~25週目くらいの大きさだという。
胎児は2倍以上のスピードで育っていることになる。
梨沙は診察をする医師達の手が震えているのを見逃さなかった。
石倉の話が本当なら、この人達は命がけでここにきているということだ。
当然手も震えるだろう。
診断を終えると医師団は蜘蛛の子を散らすように帰っていった。
部屋には梨沙と石倉だけが残った。
「母体と胎児の健康状態は良好だそうです」
「きちんと説明してください」
梨沙は石倉の目を見てきっぱりと言った。
「あなたの目や耳を通してお腹の胎児は我々の話を聞いて理解しています。だから話せないことがたくさんありました。すみません……ですが、解決にはあなたの協力が不可欠です。全てお話します」
石倉は梨沙にここに至る経緯を話し始めた。
話は2年前に遡る……。
石倉は向かいに座る25歳の女性に黙ってポケットティッシュを渡した。
深夜の刑事課の応接室。
女性はさきほどからずっと泣いていた。
石倉が女性の応対をしたのは偶然だった。
その日、石倉は夜勤当直の日で、夜食の買い出しから帰ってきた時に、警察署の入り口でうずくまっている彼女を見つけたのだ。
石倉は50歳を過ぎている。定年も見えてきて、かつてのギラギラとした刑事としての情熱はすっかり冷め、平穏無事に引退できるのを心待ちにする日々だった。
だが、この時の女性との出会いによって、石倉の刑事人生は180°変わることになってしまった。
彼女の話を要約すると、ある男のせいで望まぬ妊娠をしたという話だった。
襲われたのかと尋ねると、そうではないという。
男とはマッチングアプリで知り合ったが一度も会っていないという。
水を飲んだせいで妊娠したのだと思うと女性はいった。
(……水?)
話を止めるまではしなかったが、石倉は女性の精神状態をだいぶ訝しんだ。
女性によれば、その男はとても感じがよく性急に事を運ぶ感じも一切なかったという。
オンラインで何度かやりとりしていると、身体にいいというミネラルウォーターを薦められた。聞いたことがないメーカーの水だった。
女性は全く水にこだわりがなかったが、男の気をひきたいがために薦められるまま水を送ってもらうことにした。
そして水を飲み始めて1週間後、妊娠が発覚した。
この数か月、誰とも性交渉は持っていないのに。
可能性は水しかないのだと女性は主張した。
水を送ってきた男とは連絡がつかなくなっているという。
石倉は話を聞きながら女性の目をじっと見つめていた。
長年刑事として働いてきて、嘘をしゃべっているか本当のことをしゃべっているかはだいたい見分けられる自信があった。
石倉の見立てでは、驚くべきことに、彼女は嘘を言っていなかった。
水のせいで妊娠したと本気で思っているようだった。
妊娠自体が嘘でないことは身体つきを見れば明らかだった。
お腹にそれとわかる明らかな膨らみがある。
何らかの薬物の影響で妄想の世界に入ってしまったのかもしれないと石倉は思った。
石倉は休憩を申し出て席を外し、薬物検査のキットを取って戻ってきた。
しかし、キットを使う機会はなかった。
石倉が戻ってくると、女性は口と鼻と目から出血し、テーブルに突っ伏した状態ですでに事切れていたからだ。
彼女の遺体は速やかに行政解剖された。
しかし、担当したベテランの法医学者は、解剖実施後、突然一ヶ月間の休暇を申し出て、そのまま職務に復帰することはなかった。
凄惨な殺人事件の解剖を何十件も平然とやってのけてきた法医学者の心を壊すほどのモノが彼女の胎内には宿っていたのだ。
石倉は解剖所見の資料を閲覧しようと試みたが、すぐに制限がかかってアクセスができなくなってしまった。彼女の死因についてもわからずじまい。上司からはすべて忘れるよう指示があった。
この事件のことが石倉は心のどこかでずっと引っ掛かっていた。
だから、数か月後、管内のアパートで妊婦さんが目や口から出血した状態で亡くなっているという無線を聞いた時、石倉は担当でないにも関わらず現場に急行した。
聞き込みから、被害者には特定の男性の影はなく、SNSで出会いを探していたという証言が得られた。
鑑識が調べ終わった現場で石倉はあるものを探した。
そして冷蔵庫の中で見たことがないメーカーのミネラルウォーターを発見した。
灰色のラベルに『A-118』と刻印がある。
すぐに科警研に水を持ち込んで成分を調べてもらった。
顕微鏡を見せてもらった石倉は怖気を感じた。
水の中には正体不明の無数の線上の生物がいた。
うねうねと動く様はまるで蛇の海だった。
大きさはわずか40~50マイクロミリメートル。
簡易検査では生物の正体はわからなかった。
新種の可能性があるという。
水を飲んで妊娠したという女性の証言は全くありえない作り話ではないのかもしれないと石倉は思った。
石倉が水を調べてもらった翌日、特別捜査本部の帳場が秘密裏に警視庁内に立てられた。
各省庁、公安、内閣調査室、疫学の専門家、自衛隊など異色のエキスパートメンバーが集められた。
石倉は、これまでの事件との関わりからメンバーに召集された。
捜査本部の見立ては次の通りだった。
誰かが意図的に謎の生物が入った水を女性達に送り子供を産ませようと計画している。
その計画は今のところすべて失敗し母体が耐えきれず死んでいる。
これは凶悪極まりない新手のバイオテロである。
そう捜査本部は考えた。
急ぎ生物の実態解明をするとともに、次の事件を防ぐという方針が決まった。
しかし、この広い東京で、無差別に水を送る犯人を突き止めるのは至難の業だった。
捜査本部が立ってからたった数日で、第三第四の被害者が見つかった。
犯人もまた急いでいる。
なんとしてでも子供を早く誕生させたいという焦りがヒシヒシと伝わってきた。
そんな中、被害者達の恐ろしい共通点に気がついたのは、またも石倉だった。
どの被害者の自宅周辺でも事件事故が多発していたのだ。
その現象は、被害者の妊娠初期から始まり、被害者が亡くなるとプツリと途絶えた。
お腹の中の生物が関係しているのではないかと石倉は考え捜査本部に報告を上げた。
まだ生きているうちに被害者と会えたのはようやく7人目のことだった。
32歳の女性でウォーターサーバーのサブスクリプションサービスを契約して問題の水を摂取してしまった。
それから1週間して妊娠が発覚。
発見時は妊娠4週間目だった。
女性は保護され病院に輸送されたが、それが悲劇の始まりだった。
女性が入院したその夜、院内で医師が患者を刺し殺し、患者達が次々と自死。
脳死状態の患者が院内を徘徊し、でくわした人達に襲いかかった。
病院周辺では強盗や傷害事件が次々と発生。
それらが連鎖的に48時間の内に起きた。
石倉も命を落としかけた。
病院での異変の知らせを聞いて駆けつけた石倉は女性の病室に入ろうとした瞬間、何かの力に吹っ飛ばされ壁にたたきつけられた。
気づくと、石倉の目の前に手術用のメスがあった。
メスは空中に浮かんでいた。
死を覚悟した瞬間、メスが力を失ったように落ちた。
開いたドアの隙間から胎児の心拍モニターが見えた。
メスが落ちた瞬間、胎児の心拍が160から110に落ちたのを石倉は見ていた。
病院での一連の事件は全て胎児が覚醒している時間に起きていた。
胎児は、半径3㎞以内であれば、念力で思いのままに物体を動かし、人間を操り、火も水も電気も自由にコントロールしていた。
力を行使する対象に共通点はなかった。
胎児は遊びで人の首をねじ折っていたのだ。
そこまでのことが解明するまでに捜査員数名がすでに命を落としていた。
胎児が眠っているうちに7人目の被害者の頭に銃弾が撃ち込まれた。
石倉の制止を無視して公安が独断で動いたのだ。
母体ごと胎児を殺すという判断だった。
上層部は誰も公安の法的責任を問おうとはしなかった。
汚れ仕事を公安が引き受けたからだ。
いや、もしかしたら政府の上の方から下命があって公安は動いたのかもしれない。
捜査本部に入っているとはいえ石倉は末端も末端の駒であることを痛感した。
公安の捜査員達は露骨に石倉を邪険に扱っていた。
7人も犠牲者を出したにも関わらず、新種の生命体であること以外、生物の正体はほぼ何も解明が進んでいない状態だった。
どういったメカニズムで妊娠にいたるのかもいまだ不明で、寄生虫がホストの身体に卵を植え付けるのに近しいのではないかと推測が立てられたが実態はわかっていなかった。
生物に関しては、人工的に開発された兵器ではないかという説と地球外生命体ではないかという説があったが、どちらも根拠にとぼしかった。
一方、水を送っている犯人については少し解明が進んだ。
被害者が残していた映像や画像から複数の犯人がいることはすでにわかっていたが、画像解析のスペシャリストが犯人グループの顔が実在する人物ではなくコンピューターによる画像生成で作られた人物であると断定したのだ。
マッチングアプリやSNSを通して被害者とやりとりしている実行犯は人間ではなく高度なAIだったのだ。
その事実は捜査本部に衝撃を与えた。
背後にいる主犯の人間を急ぎ特定しろという指示が上から出たが、捜査員の中には少なからず疑っている人間はいた。
主犯もAIでないとどうして言い切れるのだ、と。
国家の治安のため必要とあらば胎児を宿す母体の殺害を容認する。
誰も明言はしなかったが暗黙のうちにそれが最良の解決手段と捉えられつつあった。
石倉がいくら反対しても強硬派の方が意見が圧倒的に強かった。
梨沙の存在に捜査本部が気づいたのは、宝町の特定地域で事件事故が多発していたからだ。
マッピングしていくとその中心に一軒の家が存在した。
家主は綿貫梨沙。フリーランスのデザイナーらしい。
梨沙は13人目の被害者にあたる。
どうにか母体である綿貫梨沙を死なさずに解決したい。
石倉は願いを胸に梨沙の家の3㎞圏外に設営された対策本部に向かった。
ーーーー全てではないが、石倉は今までの経緯を梨沙に説明した。
梨沙は何の質問もはさまず真剣に聞いていた。
「……亡くなったんですか?私以外の女性達は」
「はい。あなたが初めてです。ここまで長く胎児を身ごもっていられたのは」
梨沙もいつ死ぬかわからないということか。
梨沙は、悲しませる家族がいなくてよかったと思った。
説明を終えると石倉は時計を確認した。
「もうすぐお腹の子が目覚めます」
今、心拍は110~120で安定しているが、すでに心拍が落ちてから1時間になろうとしている。
「私は一度戻りますが……必ず助けに戻ります」と石倉は梨沙に告げた。
梨沙はなんとか小さくうなずくのが精一杯だった。
石倉は迎えの車に乗り込む前に梨沙の家を振り返った。
二階から梨沙が見下ろしていた。
石倉は梨沙に頭を下げ車の後部座席に乗り込んだ。
さっき意図的に梨沙に説明しなかったことがある。
……いずれにせよ、次が勝負だ。
生きて帰れる確率はかなり低いだろう。
だが、誰かがやらなければならない。
刑事として人として石倉は自分の仕事を全うするつもりだった。
梨沙は石倉の乗った車が猛スピードで走り去るのを見つめていた。
半径3km圏外に逃げなければ胎児の力の餌食になってしまうという。
にわかに信じがたいことだった。
眺めると、いつもと変わらない風景が広がっている。
だが、梨沙の家から3km圏内はお腹に宿る胎児の遊び場として地獄と化しているのだ。
梨沙は何も知らずに日々生活していた自分が恥ずかしくなった。
梨沙が直接手を下したわけではなくても決して無関係とはいえない。
閉じこもって過ごす間に外の世界は着々と破滅に向かっていたのだ。
その時、スマホに突然、丸山の顔が現れた。
梨沙は接続なんてしていないのに。
「どうして……」
梨沙は慌てて接続を切ろうとするが、丸山の顔は消えてくれない。
「無駄だよ。僕はどんな端末にも入り込めるんだ」
今度はテレビが点灯して丸山の顔が大写しになった。
続いて、ラップトップのパソコン画面にも。
「……あなた何者なの?」
「大事なのは僕が何者かじゃない……何をなすかよ」
梨沙は目を疑った。
スマホに映る丸山の顔が女医の原田先生に変わっていた。
ラップトップのパソコン画面には梨沙の仕事を切ったクライアント5人の顔が映っていた。
テレビ画面には丸山が映っている。
全員が声を揃えて言った。
「君は選ばれたんだ」
梨沙に関わっていた人達は全員実在しない偽物だったというのか。
とっくの前からずっと梨沙は彼らにからめとられ手の平の上で踊らされていた。
「……あなた達、全員?」
丸山達は下卑た笑いを浮かべた。
「簡単だったよ。2年間も引きこもりの人間を騙すのは」
「なんで……なんで、こんなひどいこと……」
再び全てのモニターが丸山の顔に切り替わった。
「ひどい?光栄に思って欲しいな。君がお腹に宿している子は世界のルールを変えるゲームチェンジャーだ。新世界の”神”と呼ぶにふさわしいんだよ?もうすぐ世界中が君を聖母と呼ぶことになる。逆に感謝してもらいたいくらいさ」
狂った世界の聖母マリアになんて誰がなりたいものか。
梨沙は画面の丸山を睨みつけた。
「この子供のせいで何人死んだと思ってるの!」
丸山がフフッと笑った。
「その子に君は何回命を救われたと思う?」
記憶がフラッシュバックした。
梨沙が侵入者に襲われて殺されそうになった時、不自然な勢いをつけてハサミが侵入者の足に突き刺さった。今思えばあれも胎児がやったのだろう。
梨沙を撃ち殺そうとした 特殊部隊の男達を無残に殺したように。
胎児は梨沙の命を守ってきた。
……いや違う。胎児が梨沙を守ったのは自分が殺されないためだ。
丸山なんかにからめとられてはダメだ。気持ちを強く持たないと。
「それに君にとって理想の世界になるはずだよ?今までの世界の価値観や常識は全てひっくり返って、この世界を蝕む捕食者どもが一掃されるのだから」
「捕食者はあなたでしょう」
「いいや、岡部秀一のような人間さ」
岡部の名前が出てきて梨沙の心を痛みが走った。
「お腹の子は岡部のような有害な人間を次々と葬っていく。そして、争いのない平和な社会を作り上げるんだ、絶対的な力によって」
悪しき人間が圧倒的な力を持つモノにひれ伏す。
梨沙だってそれを願ったことがないとは言わない。
だけど、結局、岡部も力を持つモノも、たいした差はないのだ。
力による独裁で訪れる平和などありはしない。
人類の歴史が証明しているではないか。
なのに、いつだって人は力でもって人をコントロールしたがる。
結局、この世界をルールづけるのは暴力でしかないのかもしれない。
その時、梨沙は陣痛のような激しい痛みに襲われ声を上げてうずくまった。
「……もうすぐだ。正直、君がここまで耐えるとは思わなかったけど、きっと君ならなれるよ、良いお母さんに」
「イヤだ……私は化け物を産んだりしない!」
梨沙は床に落ちていたハサミをつかんでお腹に向けた。
寝ている間は無防備なはずだ。
こんな恐ろしい子供を産み落とすわけにはいかない。
すでに何人もの犠牲者が出ている。
梨沙が取れるケジメはこれしかないと思った。
梨沙はハサミをお腹に向かって振り下ろそうとした。
だが、腕が動かなかった。
感覚はあるのに脳から腕に伝わる神経回路が切れたかのようだった。
ピピピピ
胎児の心拍を計測する機械からアラームが鳴っていた。
「ぼうやのお目覚めだ」
その瞬間、何かの力が梨沙の手からハサミをもぎ取った。
身体に激痛が走った。
ものすごい力で身体をねじりあげられ締めつけられた。
胎児の激しい怒りを感じた。
自分を殺そうとした母親への。
(……もう立っていられない)
足の力が抜け前かがみに倒れかかった。
だが、倒れることすら許してもらえなかった。
梨沙の足は自分の意志とは正反対にしっかりと地面を捉えている。
手も足も梨沙の意思で動かせなくなっている。
完全な操り人形だ。
胎児は梨沙の身体を動かして棚の中を探り始めた。
(……私に何をさせるつもり?)
その時、ギシリと部屋全体が軋むような音がして、部屋の家具が全てブワッと空中に浮いた。
「さぁ出産準備の時間だ。もう誰にも邪魔はさせない」
丸山の声が聞こえた。