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???「とうとう塔の中に入ることが出来たな」???「えっ何その寒いダジャレ」

???「いや兎白さんそんなつもりで言ったんじゃないだろ」


「紫雲雨花」、「兎白」、「瑠璃人」は、瞬間移動で塔の中に入るところまで成功した。


兎白「じゃあ瑠璃人最後の仕上げだ……任せたぞ?」

瑠璃人「はい」


そして、瑠璃人は塔の外へと部下たちを連れて走っていった。


兎白「俺たちも行くぞ」

雨花「はいはい〜」


兎白と雨花、そして組員は塔の中へ走っていった。


兎白「塔の中少し寒いね」

兎白「少しどころかすごい寒いぞ……」


塔の中はやたら寒かった。


雨花「おかしいな。前空気口からみたときはもっと妖怪がいたはず……」


とても寒い以外は、特に何の変哲もない塔の中。しかし、今回はその変哲の無さが逆に不気味だった。


兎白「何か罠かもしれないな……」

雨花「……っ!兎白くん危ない!!」

兎白「何!」


雨花が兎白を庇い、何とか攻撃から逃れられた。


「ここから先は通さない。姐様が今は食事中なのでね」

兎白「食事中……?」

「わぁぁぁぁ!!!!」

兎白「!」

雨花「……」.


兎白が気づくと、部下たちがどんどん凍っていった。


「凍らせたこいつらの小指を折って、そこを炙って血を出す。そうすれば血がどんどん飲めるようになる……姐様の献上品になれるんだ。感謝しろよ」

兎白「ふざk……」

雨花「兎白くん。兎白くんは町長室に行って。こいつはかなり強い。二人がかりでやっても良いけど、どっちかが力を温存した方が町長を倒せる可能性が高まる。二人でやったらどっちも消耗してしまう。絶対一人は生き残らないといけない。だから兎白くん。先行って。」


「それに、」


「「例のあれ」を使えるのは兎白くんだけなんだから」」


兎白「…………分かった。でもお前、絶対橙との約束守れよ?」

雨花「…………もちろん。」


「何をべちゃくちゃ話している!?私は待たないぞ!」


その妖怪は、雪女のような姿をしており、とても巨大だった。片手に氷で作った槍を持って、雨花たちに襲いかかる。


雨花「良い?兎白くん。わたしが「今だよ」って言ったら、あそこにある階段まで行くんだよ?階段から先は行かせないようにするから。絶対に。」

兎白「あぁ、任せたぞ」

「だから何を話しているんだ!!!!」

雨花「よっと……」


雨花は妖怪の頭に乗る。


雨花「橙ちゃん直伝妖術!【焦熱地獄】」


雨花は妖怪の目に手を当てる。


「あ、あ、あ、あ、熱い熱い熱い熱い!!!!あぁぁぁぁ!!!!」

雨花「今だよ!兎白くん!」

兎白「了解!」


そして、兎白は階段へ走った。


「あ、姐様!行かせんぞ!」

雨花「何言ってんの?あなたの相手はわたしだよ?今目の前にいる相手を差し置いて他の人のこと考えるのは……あなたの安全性がなくなるよ?良いの?」

「小賢しい娘め……!」


妖怪は、口から吹雪を出した。


雨花「(あれは、無数の氷の欠片が含まれてる。あれに当たったら怪我しちゃうなぁ)」


雨花は吹雪を避けた。


「(ふん、お前は私を舐めすぎている、私の吹雪は同じ方角に行くとは限らない!!!!)」


しかし……


雨花「傘メンテナンスに出したばっかなのに〜」


雨花は、自分の死角あった場所の吹雪を傘を開いて防いだ。


「な、何故分かったんだ……!?」

雨花「えぇ〜勘かな?」

「この小童が!!!!」


それからも次々と攻撃をしていったが、雨花には掠りもしなかった。

氷柱が降っても降らない場所に高速移動し、凍らせようとしてもそもそも氷が雨花にはくっつかない。そんなことをずっと繰り返している。


雨花「(そろそろかな……)」


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兎白「ふぅ……町長室に行くまでに誰も邪魔するどころか人っ子一人としていなかった……町長室はどうなっているのだろう……」


そして、とうとう兎白は町長室の前まで来ることができた。それを開けると……


「ん〜実に美味だな。特に美しいものの血は」

兎白「!」


兎白の目の前に広がっているのは、氷で壁からぶら下げられ、恐怖の顔で凍らせらた他の妖怪たちや組員たちがいた。それぞれ小指をおられ、それを焼き、血を出されており、そこにグラスで妖怪が注いでいる。その妖怪は先程の妖怪同様、雪女の妖怪である。しかし、とても華奢で美しい見た目の妖怪だった。


「お主のことも飲んでみたいの。とても美しい顔をした男じゃ。わらわの美しさは清らかな血で構成されている。わらわに食されるのじゃ。光栄なことだろ?」

兎白「全く光栄じゃない。お前がしていることは立派な協定違反だ。今からお前を捕まえる」

「あんな協定。誰が守るというのだ?わらわたち妖怪は唯我独尊。自分が一番尊きもの。それなのに協定なんぞに縛られるわけなかろう?」

兎白「お前たちだけじゃない。尊いものとは人によって違う。命かもしれないし、物かもしれない。もしかしたら意志かもしれない。お前たちだけが尊いとは俺は想えない」


「それから、」


兎白「お前はそれほど美しくない。俺の恋人の方が心も美しくて可愛い」

「…………」


しばらくの間、沈黙が続くと……


「……てやる」

兎白「?」

「…………してやる」


「「殺してやる!!!!わらわの美しさを侮辱する奴は何人たりとも許さぬぞ!!!!」」


そういうと、妖怪はどんどん体を大きくして、巨人になり、巨大な氷柱を兎白に刺そうとした。


兎白「はっ!」

「ちょこまかと逃げるでない!!大人しく刺されろ!!!!」

兎白「そうは行くか。刺されば身動きが取れなくなる。そうなったらこっち負けだ」

「ふっ……ははは!お前はやはり馬鹿だなぁ?」

兎白「な、何?うっ……こ、これは」


氷柱から逃げるので夢中で兎白は気が付かなかった。妖怪は、空中に細かい氷の欠片を蒔き、肺を傷つけるように仕向けたのだ。


兎白「ごっごぶ……うっ……」


兎白は吐血する。


「わらわはとても美しい。お前の中身は腐りきっている。だから顔だけはいて血を搾り取り、飲んでやろうじゃないか」


「さぁトドメを……」と、兎白がやられる瞬間、伝令が入った。


『兎白さん!準備整いました!』

「な、何だと」


妖怪は兎白と距離をとる。


兎白「何で俺たちがここにいると想う?どうして「俺たちと第一部隊だけ」という構成で来たと想う?本来なら町長相手ならもっと大人数で来てもおかしくないだろ?俺たちの大元の作戦はこれからなんだよ!!」


そう言うと、兎白は懐からスイッチを出した。そして……


「や、やめ……」


兎白はスイッチを押した。


バッゴォォォォン!!!!バッゴォォォォン!!!!バッゴォォォォン!!!!バッゴォォォォン!!!!


そこら中から爆発音がする。爆発したのは……


「な……何故……」


兎白の目の前にいるのは、爆発した町長……つまり、兎白と闘っていた妖怪がいた。


「何……が…………起こっ……て……いるの……じゃ」


妖怪は、爆発してとても弱っている。


兎白「気づかなかったか?お前を倒すなら後衛にいる瑠璃人を連れていって、怪我人の雨花を後衛にするのが道理。でも、ここで一番大切なのは一番強い奴でも一番弱い奴でもなんでもない。以下に相手に本筋を悟られないかが重要なんだ。後衛を瑠璃人に任せた時点で気づかなかったのが良くなかったな。」


兎白たちの作戦とは、まず兎白と雨花が町長を倒しに行く。そして、最後の町長は今まで捕まえてきた町長たちの中で最も強い可能性があった。そのため、兎白たちは「ある物」を町中に設置した。


???「兎白くん大丈夫?……って!兎白くん吐血してるじゃん!?」

兎白「雨花……俺は大丈夫だ。お前こそ大丈夫か?」


雨花も闘い相手が爆発したため、階段を登って兎白の元にやってきた。


雨花「わたしなんかより兎白くん自身の心配しなよ!今から治癒するから!」


雨花は、兎白に神通力をかける。


「さてと、」


その後、雨花は倒れた妖怪に向き直る。


雨花「あなたたちが爆発した原因はこれ」


雨花は、桃の花が書かれた小さな木箱だった。


「そ、それは……?」

雨花「まぁ知らないよね。わたしたちのこと買い被りすぎなんだもん。これは、わたしの知り合いの時に関してはチート級神様が作った、例えば過去、未来、そして今などあらゆる「時間」の操作力を具現化して固めた概念の塊。名付けて「時限根」(じげんこん)」

「時限根……?」

雨花「あなたたちは妖術がとても強い。本来なら妖術に神通力は効かない。でも、お互いの力同士がぶつかり合うと齟齬が生まれて大爆発が起こる。この「時限根」はたんまりと神通力を込められてる。それが何百個も『無法地帯』中に設置すると、『無法地帯』全体を覆う時空の膜が生まれる。そして、妖術の強い者が爆発するって訳。だから町の人たちは無事だし、そもそももう妖術の気が薄いしね。妖術の力が強い妖怪のみが爆発するようちゃんと計算してくれたし。ね?兎白くん?」

兎白「あぁ、やっぱりあいつにはちゃんと修行をして欲しいものだな」

雨花「それ桃時ちゃんの前で言っちゃダメだよ?うわぁみたいな顔するから……あはは」


雨花と兎白は喋っている。そして、雨花は言った。


「言ったでしょ?」


「「天災になるって!」」


「く、くそ……」

雨花「…………」

兎白「あ、おい……」

「わらわたち……は……絶対……生き残る……」


妖怪はそれでも這いつくばって逃げようとしている。


雨花「ダメダメダメ。あなたたちにはしばらく刑務所暮らししてもらうよ?」

「ふん。そんな……ところ……逃げ切ってやる」

兎白「すごい執念だ」

雨花「何か勘違いしてるみたいだけど、刑務所と言ってもあなたが想像しているような刑務所じゃない」

「え?」


雨花は、破壊された町長室の椅子に座る。そして、椅子ごとくるりと回転して滑って妖怪に近づく。


雨花「良い?わたしたちは神なの。この世の刑務所とは全然違う。そもそもわたしたちの本当の狙いは妖怪と人間や神を共存させて生活すること。そのためにはあなたたち妖怪ばかりに利のある協定を改定しないといけない。そのために刑務所の外に出ることはできないけど、頼めばゲームや漫画、スマホ、お菓子だって手に入れられる。そして、刑務所の時ルームメイトとして同じように罪を犯した人間や神と生活してもらう。」

「!」

雨花「普通が手に入れられなかった人間や神の罪人とその人間や神を襲う妖怪の罪人。もちろん、力は制限されるし、人間や神に手出ししたらカウンセリングを一ヶ月受けてもらう。その間は一人部屋になるけど。」

「でも、その人間たちは無理やりわらわたちと生活させられているのだろう?」

兎白「それは違う」


兎白が話し出す。


兎白「これは決して強制じゃない。だからといって何か利益がある訳でもない。その人間や神たちは自分の意志で行っている。自分たちと同じように何かを傷つけた経験のある妖怪たちと一緒にいたなら……」


「「自分が救われる道があるのではないかと想って」」


「…………」


しばらくの間、沈黙が続く。


雨花「協定改定のために、少しでも妖怪が人間や神と同じように「心」を持っていることをお互い理解しないといけない。これは綺麗事じゃなくて、我々神たちのエゴだよ。まぁ……今のこの刑務所の実態が正しいなんて想ってないけど。」

「わらわたちは……」

???「話をきいていたが……」

雨花・兎白「!」


現れたのは、果たして誰なのか────


                                                                   【続く】

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