永遠に幸せになってほしくて書くだけで泣けてくる末期の患者なかんおです。
注意書き、一話はじめに書いてます。必読。
…
不安な夜が続いた。
時折思ってしまうのだ。
これは、この行為は、さても教祖さまのためになっているのだろうか、と。
私はずっと、ずっとずっと教祖さまのご負担を減らせればと、ただその気持ちだけで何人もの人を殺めてきた。
苦痛は感じなかった。
教祖さまのお役に立てているのなら、それだけで何をするのも抵抗はなかった。
だからこそ、この行為を教祖さまに否定されてしまったらどうしようと不安に思ってしまう。
否定されたら私はいったいどうやって生きていけばいいのですか?
そもそも、否定された私に生きていく価値はあるのですか?
・
「最近はゾムくんのおかげでずいぶんと負担が減ったよ。ありがとう」
「…⁈きょっ、教祖さまァ⁈急にど、どうしたんですか⁈」
普段は言わないことを言われて思わずギョッとする。あまりの嬉しさで飛び跳ねそうだ。
「しかしだよ」
その言葉にはまだ続きがあったようで、教祖さまはまた話し出す。
「君は…無理をしていないかい?」
教祖さまいわく、私が力に目覚めたと言った日からだんだんとやつれてきているように見えると言うのだ。
なんと言うことだろう。教祖さまに心配をかけさせてしまった。
私は無理などしていないのです。ただ、眠る時間が少しだけ減っただけ…いや、そもそもあまり寝れる性分ではなかった。むしろ教祖さまは私が無駄に過ごしていた夜に意味を与えてくださったのです。
しかしどうしてだろう。言葉が詰まる。
思考があちこちに飛んでいって、喋る内容がまとまらない。
…そういえば、最後に寝たのはいつだっただろうか。ここ最近、仕事だけでなく野犬の騒ぎなどで忙しくて寝れていない気がする。
それに気付いたものの、時すでに遅く、頭をガンガンと襲う疲労と眠気が平衡感覚を狂わせて足をもつれさせた。ぐらりと視界が傾き、こちらに手を伸ばす教祖さまの姿を最後に、頭に鈍痛が走り意識は暗転した。
「失望したよゾムくん。君がそんなことをする人だとは思わなかった」
冷たく、突き放すように告げられた「失望」のひとこと。
そんなこと言わないでください、私はひとえにあなたのためを思って_
手を伸ばせば、目の前にいるはずの教祖さまのからだを通り抜けて虚空を掴んだ。
ここにいるようで、どこにもいない。
暗闇に溶け込むように、その姿は腕から始まりだんだんと見えなくなっていく。しまいにはそこに残ったのは心臓だけになった。
なんだろう。“これじゃない”。直感的に感じた私は、会話などできるはずもないそれに向かって問いた。
「私の崇拝する教祖さまは、いったいどこにいるのですか?」
心臓は答えた。
「私の隣にいますよ。ああ、かみさまが私を呼んでいる」
心臓は消えなかった。
ふと、自分の指先が薄っすらと消えていることに気がついた。
だんだんとそれは私の身体を侵食し、意識もそれに合わせて薄れていく。
「なんと光栄だろう、私が選ばれたのだ。ああ、私は、」
「私は…」
視界に入ってくる光で意識が覚醒する。
確か、教祖さまと話している時に…。
「ゾムくん!体は大丈夫かい、君はさっき倒れたんだよ」
君はもっと自分の体を労わらなければいけない、と教祖さまのありがたいお説教を聞きつつも考えは上の空だった。
そのことに気づいたのか、教祖さまは「まだ頭が痛むかい」と心配してくださる。
「いえ、なんだか不思議な…恐ろしい夢を見ました」
ふむ、と教祖さまは一瞬考え、思い出したかのように「あ」と言葉をもらす。
「それはもしかしたら凶夢かもしれないね。なにか悪い事が起きるのかもしれない」
「そんなオカルトな…」
「何を言っているんだい、私たちだって側から見ればオカルト集団だろう?」
教祖さまはくすくすと笑いつつ、またひとつ、私に質問をした。
「どんな内容だったか覚えているかい?」
確か、教祖さまが…私に………あれ、どんな夢だったっけ。
「……いえ、すっかり忘れてしまいました」
いつもの日常の昼下がり。なんの変哲もない、他愛のない会話。
これらが当たり前じゃない事に気付いたのは、一週間後の祭りだった。
…
妄想ifストーリー載せていいですか?いいですよね。
今度載せるのはifストーリー。今決めました。
そういえば、自分気付いちゃいました。昨日あげた最新話に見覚えのあるアイコンがありまして…。くおんさんありがとうございます(合ってますよね…⁈)
コメント
4件
作品全部おわせて頂きました‼️ めちゃくちゃ尊いです...... しかもifストーリーも......え、私もしかして命日来るんじゃないか❓