テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
皆が茜の暴走に呆れていると「ごめん」
美沙はそう言うと、手にしていたスマホ視線を落とした。
「ちょっとプロデューサーに
呼ばれちゃったから、ちょっと出てくるわね」
「あ、はい。わかりました」
信愛が頷くと、美沙は慌ただしく会場を後にした。
残された一同を見渡し、摩耶がふと思いついたように口を開く。
「今からリハなんだけど
よかったら生歌聞かせてあげよっか?」
「えーーー!?良いんですか!?」
茜が目を見開く。
先ほど抱きついただけでも夢のようだったというのに、今度は目の前で生歌を聴けるというのだ。
「いいよいいよ♬せっかくだし♬
リハーサルも兼ねてね♬」
「やったぁ〜〜♬」
茜は子供のように飛び跳ねて喜んだ。
摩耶はその様子を楽しそうに眺める。
「じゃあ準備してくるからちょっと待っててね」
「はぁ〜い♬」
上機嫌な茜の返事を背に、摩耶はステージの準備へと向かった。
◇ ◇ ◇
その頃、美沙は会場のロビーにいた。
そこで待っていたのは、プロデューサーである哲哉だった。
「タマちゃん・・大丈夫かい?」
「ええ、今のところは」
美沙の返事を聞き、哲哉は少し安心したように息を吐いた。
しかし、その視線はすぐに会場の方へと向けられる。
「それにあの子たちって 美沙ちゃんが
この前言ってた子たちだろ?
霊視や除霊ができるって言う・・・」
「ええ・・大学時代の先輩の教え子で」
哲哉は腕を組み、しばらく考え込んだ。
「でもさ、僕は考えすぎだと思うんだよね
人縛霊だっけ?タマちゃんに執着する霊なんてさ」
「私もそう思います」
美沙も静かに頷く。
「でも、もうそれ以外説明がつかないんです」
その言葉に、哲哉は難しい表情を浮かべた。
「まあ、確かにそう言われれば
そうかもしれないけどさ」
「何もなければ、それはそれで構わないんです
私の取り越し苦労で済むんだったらそれで」
「まぁね・・・」
哲哉はそれ以上何も言わず、会場へ続く扉を見つめた。
◇ ◇ ◇
その頃、会場ではスタッフ達がリハーサルのセッティングを進めていた。
信愛達は用意された椅子に座り、TAMAYAの登場を今か今かと待っている。
茜は落ち着かない様子でステージを見つめていた。
「なんか私たちの為だけのライブって感じ♬」
「ほんとそれ♬」
さくらも嬉しそうに頷く。
「こんなご褒美、罰が当たりそう♬」
信愛が冗談めかして笑った。
その隣では、朝陽もどこか楽しそうにステージを見つめている。
その様子に気づいた焔垂が、意外そうに声をかけた。
「なんだ? 朝陽。お前も
TAMAYAのファンなのか?」
「あら?言ってなかった?」
茜が振り返る。
「最初にTAMAYAの事
教えてくれたの朝陽くんなんだよ?」
「え?そうだったの?」
美月が驚いたように朝陽を見る。
信愛も初耳だったらしく、目を瞬かせた。
「あ、それ知らなかった」
思いがけず注目を集めた朝陽は、少し照れくさそうに呟く。
「お母さんとか叔母の事で悩んでた時期に
TAMAYAさんの歌に元気もらったんですよ」
「ああ、なるほど」
信愛は納得したように手を叩く。
その頃ステージでは、着々とリハーサルの準備が整いつつある。
誰もがこれから始まる特別な時間を楽しみにしていた。
ただ、美沙だけは違った。
この先、TAMAYAの身に起こるかもしれない何かを警戒しながら、静かにその時を待っていた。
コメント
1件
読み終わりました!今回はTAMAYAのリハーサルを間近で見られるという贅沢な展開で、茜の子供みたいなはしゃぎっぷりが可愛かったです。一方で美沙の「人縛霊」の話題が不穏で、日常の楽しさと影の対比がしっかり効いてましたね。朝陽がTAMAYAに救われた過去を持っていたのが意外で、キャラの掘り下げが自然にできていて嬉しい発見でした。次が気になります!