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鷹槻れん

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鷹槻れん

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ばたっちゅ
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(ノーマン伯の苦悩)
まずいことになった。あれは、あの娘は、決して人前に出してはならない。
もしも、真実が露見すれば、大変なことになる。
はぁ……、母親のいない寂しさを埋める為に、欲しいものはなんでも与えてきた。
甘やかしすぎたのか?
寂しさを感じていたのは私も同じだった。
私は、妻を心から愛していた。
妻は、あの女を憎んでいた。 亡くなるそのときまで……。
最後の願いだと言われて、私は━━。
取り返しのつかない過ちを犯してしまった。
妻が亡くなった事がショックで、どうしようもない怒りの矛先を向けてしまった。
今更、後戻りはできない。だが、まだ知られる訳にはいかない。
***
「ねぇ。ちょっと」
はぁ、と思わずため息がでそうになるのを、ぐっと堪える。 少しでも嫌な顔をすれば義姉の機嫌を損ねるので、平静を装い返答する。
「何か御用でしょうか?お嬢様」
「うふふ。や~ね。他人行儀で。お義姉様でしょ?」
「え??」
いったい、どうしたというのだろうか。義姉のことは、お嬢様と呼ぶように強要されている。義理でも姉妹なのが許せないし、認めたくないから、と。決して人前では呼ばないように、ときつく言われている。
「うふふ。いいのよ。 予想外にお父様がうるさいから、いいこと? 明日、あなたは具合が悪くて、寝込んだことにしなさい。
部屋には、外から鍵をかけておくから。後は侍女のアンの指示に従いなさい。私の言うことは絶対よ!わかったわね?」
「……。」
義姉は、私の返答を聞くことなく去って行った。
どういうことだろう?
嫌な予感がして、胸がざわついた。何か良からぬことを企んでいるとしか思えず……。 その夜は、なかなか寝付けなかった。
次の日、いつも通り朝から仕事をするつもりが、待ち構えていたアンさんに義姉の部屋まで連れて行かれた。
義姉の部屋に入るのは初めてだった。
義姉の部屋は、様々な装飾品や家具が置いてあり、一目で高価なものだと分かる。
室内が珍しくて見回していると、アンさん含め数人の侍女達に囲まれた。
身構えていると、抵抗するまもなく浴室へと連れていかれた。あれよあれよというまに服をぬがされた。
バスタブに促されて、丁寧に洗われていく。 戸惑っていたけれど、石鹸のいい匂いや温かいお湯が心地よい。まるでお嬢様にでもなったようでなんだかくすぐったい。
のんびりするまもなく、洗い終わると急かされるように連れていかれて、タオルで拭かれる。 そして、手際よく夜会用のドレスを着せられた。
「あ、あの、これはいったい……?」
「時間がありませんので、お静かに。 私共の口からは、何も申し上げられません。」
侍女達は、それ以上何も話すことなく淡々と仕事をこなしていく。
義姉の気まぐれだろうが、分からないから不安ばかりが膨らんでいく。
体のあちこちには打ち身の跡や|痣《あざ》がある。
その為、肌の露出のない首元まで覆われた、地味な紺色のドレスを着せられた。
それでも、嬉しいと思ってしまった。
普段は、所々破れたみすぼらしい服を着ているから……。
着替え終わったのを見計らったように、義姉が|颯爽《さっそう》と現れた。
側まで近づいてくると、上から下まで視線を動かしていく。
「ふ~ん、まぁ、見れないことはないわね。化粧はしなくていいわ。」
「ですが、お嬢様。ご一緒に参加されるのであれば、最低限は必要かと思います。お嬢様の顔に泥をぬることになりかねないかと。」
「はぁ……、それもそうね。それなら、適当にね。任せるわ。そろそろ出ないとお父様に見つかるわ。会場に着いてお父様と別行動になった時に合図するから、分かったわね?アン。」
「かしこまりました。お嬢様。」
私は、訳も分からないまま、裏口から連れ出された。そして、馬車に押し込めるように乗せられる。
馬車は、しばらく停車したままだった。
コメント
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第5話、読みました……ノーマン伯の後悔の重さが胸に刺さる。妻の最後の願いって何だったんだろう。そして主人公、義姉に無理やりドレス着せられて連れ出されるとか怖すぎる……。痣を隠すために首元まで覆うドレス……それでも綺麗な服で嬉しいって思うところが切なすぎて。不安で逃げ場がない感じ、すごく伝わってきた。秘密タグが生きてる🤍