神の傀儡

タクトは悪魔退治を続けていたが、次に挑むべき相手は中級を超えた「高級悪魔」。その名はドメスティック。これまでとは異なり、非常に強力で危険な相手だと聞いていた。

アプリが突然また光り、画面に「新たな敵出現：高級悪魔『ドメスティック』」と表示された。

ドメスティック

分類: 高級悪魔

特性: 家庭内の対立や暴力を引き起こし、家族間の絆を断ち切る力を持つ。精神的にも物理的にも相手を破壊する。

弱点: 愛情と信頼の強さ。支配下にある者が互いに真実を見つめ合うことで力を失う。

「今度は家庭崩壊を狙う悪魔か。ますます厄介だな。」タクトはスマホを閉じ、思案した。

「家庭内の争いを煽るなんて、えげつないやつだな。」タクトはすぐに次の一手を考え始めたが、横でミカエルがまた鏡を見つめている。

「おい、ミカエル。また鏡かよ。お前のその美しさ自慢は、今度の相手には通用しないぞ。」

「ふん、家庭の絆がどうだとか、そんなもの俺には関係ない。」ミカエルは鏡越しにタクトを見て微笑んだ。「俺には俺の美がある。それがあれば全てが解決する。」

「まったく…」タクトは呆れつつも、アプリに指示された場所に向かうことにした。

今回の舞台は、とある高級住宅地にある巨大な邸宅だった。ドメスティックは、家族間の対立を巧みに操り、その家を崩壊寸前に追い込んでいるという。

タクトとミカエルが邸宅に到着すると、中からは叫び声と物が割れる音が響いていた。まるで家庭内戦争が繰り広げられているかのような光景に、タクトは一瞬身を引いた。

「さ、行くぞ。ここにドメスティックがいる。」タクトはドアを押し開けて中に入った。

豪華なリビングルームはすでに荒れ果て、家族はそれぞれが怒りに満ちた表情で口論していた。その中心に立っていたのは、高級なスーツを着た男――ドメスティックだった。彼の周囲には暗いオーラが漂い、その目は冷酷に家族を見下ろしていた。

「お前がドメスティックか。」タクトは冷ややかな目で相手を見据えた。

「俺か？そうだ、俺は家族の絆を断ち切ることに喜びを感じる者だ。」ドメスティックは軽く笑いながら、指を鳴らす。すると、家族の争いがさらに激化し、彼らの目には絶望が映っていた。

「ふん、小細工で俺を止められると思ってるのか？」タクトはニヤリと笑い、戦闘の構えを取った。「お前の幻術なんて、俺には通じない。」

ドメスティックは目を細め、「家庭というものは、誰もが弱い部分を持っているものだ。お前にだって、その弱点はあるんじゃないか？」と挑発した。

タクトは鼻で笑いながら、「家庭だろうが関係ない。俺にとって重要なのは、倒すべき相手を倒すことだけだ。」と冷酷に答えた。

「ミカエル、お前の鏡はここでは役に立たないかもしれないが、何かしら利用できるだろう。早くしろ。」

ミカエルは鏡をちらっと見ながら、「ふん、俺の美を無視して進めるとはな。だが、お前が言うなら仕方ない。」と言いながら、ゆっくりと鏡を取り出した。

「これでお前の幻術も終わりだ。」ミカエルが鏡をドメスティックに向けた瞬間、家族の一人が鏡の中に映り込み、真実の姿を見た。

その瞬間、ドメスティックの力が一気に弱まり、家族たちはお互いの存在を見つめ直し始めた。

「こんなもの…ありえん！かぞくというものは脆い！」ドメスティックは怒り狂い、タクトに向かって攻撃を仕掛けた。

「お前の時代は終わりだ、ドメスティック。」タクトは冷ややかな目で見つめ、最後の一撃を放った。

ドメスティックは力を失い、消え去っていった。

「また片付いたな。」タクトは勝ち誇った笑みを浮かべ、アプリの通知を確認する。「さて、次はどんな奴が出てくるか…」