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「ちょっ、君はいったい、何をしてるんだっ!?」
同性に口移しや顔を舐めるなんて、信じられない行為としか言えない。
「んもぅ、そんなに怒らないでよ。具合が悪そうだから、介抱してあげてるのにさ」
「だからって、君は――」
「君じゃなく、稜って呼んでよ。克巳さん♪」
長い黒髪をふわりと揺らして小首を傾げると、今度は俺のネクタイを、いそいそと外し始めた。
「なな、何しているんだ?」
「顔がそんだけ赤いなら、躰が相当熱いんだろうなぁと思って。ささ、次は背広を脱いじゃいましょうか」
しれっとした態度で、外したネクタイを腕にかけつつ、手際よく背広もさっさと脱がし、ハンガーにかける。まるで、世話焼き女房みたいだった。
さっきよりも躰が辛くて、抵抗する気にもなれず、されるがままの俺。話し合いをするつもりが、彼に介抱をされる羽目になんてな。
「さっきよりも辛そうだね。大丈夫、克巳さん?」
「み、水が……欲しい――」
俺が取ってほしいと言う前に、彼は自分の口に水を含んで、さっきと同じように口移しで飲ませてくれる。冷たい水が喉を潤し、それがすごく気持ちよくて、彼の首に腕を絡めてしまった。
「ふふ、積極的だね。もっと欲しい?」
「っ、ああ……」
掠れた声で強請ると、彼は魅力的な瞳を細め、わかったと頷いてから、水の入ったペットボトルを口に含み、また口移しをしたのだが――
「ふ……んっ、ンンッ!?」
水が入ってきたのは一瞬で終わり、いきなり舌を絡め取られ、深く口づけられていく。与えられた冷たい水とは真逆の、躰がどんどん熱くなる行為に、どうにもなす術がなくて、されるがままだった。
俺を貪るように舌を吸い込んで、くちゅくちゅと音を立て、自身の舌にねっとりと絡めていく。
(このまま、感じてる場合じゃない!)
焦りながらもこの行為から逃れるべく、両腕を使って必死に躰を押したが、全然ビクともしなかった。その内彼にやわやわと上唇を甘噛みされて、背筋にぞくぞくとしたものが走る始末。
「克巳さんってば、すごく感じやすいんだね。もうココ、かちかちになってるじゃん」
ギョッとしたのは、自分のモノが形を変えていたこともだが、いつの間にかスラックスが下着ごと下ろされていて、下半身が露となっていたなんて。
(――何かおかしい。普通ならこんなことをされたら、すぐに気付くことができる。しかも自分より細身の彼に、易々と押さえつけられているのも変だ)
「稜、君はもしかして、何か薬を盛ったんじゃ……」
同性の稜にキスをされ、下半身がこんな状態になるのは、絶対におかしい!
「薬じゃなく、ドリンクだよ。滋養強壮的な感じの」
「だから、それが薬だって言ってるだろう!!」
「え~、何か疲れてるっぽい顔してたから、元気になって欲しいなぁと思って、気を利かせてあげたのにぃ」
相変わらず悪びれた様子を見せず、瞳を細めて笑いながら、自由があまりきかない俺の躰の上から見下ろす視線が、何気に怖かった。
「ま、俺も疲れてたから、一緒に飲んだんだ。いい感じになってきているよ」
さらさらの長い黒髪を耳にかけて、口元に艶っぽい笑みを浮かべたと思ったら、俺の下半身に手を伸ばし、いきなり口に含みながら、片手で根元を扱いていく。
「ちょっ、まっ、なな何して、んんっ!」
「何って介抱だよ。だってこのままじゃ辛いでしょ? 男同士だからわかるんだよね」
根元を適度に扱いて、カリ首を指先で引っ掛けるように弄りつつ、舌先を使って、先端をしつこく責められる。
(男同士だからって、こんなこと――)
「はっ、あぁあっ……イヤ、だっ、くぅっ!」
薬のせいか、いつもより感じている自分がいた。止めて欲しいのに、時おり腰を浮かしてしまい、どうにもできない状態になった。
(何をやっているんだ、俺は――。理子さんを奪いに来た彼に、こんなことをされて、否応なしに感じてしまうなんて……)
「スゴイね、克巳さんの。どんどん大きくなってる」
「くっ……、もうイきそ、ッ」
――こんなの、屈辱以外の何物でもない!!
俺の発した言葉を聴いて、彼の手と口が激しく上下し、どんどん追いつめていく。
「克巳さん、もっと感じてっ。ンッ……あァ、っ、はむっ……ンンンッ」
髪を乱しながらも、必死に責める彼を見ているだけで、こみ上げるものが倍増されていった。
「っ、うっ……も………ッ、イくぅ…」
その瞬間、掴んでた手に一層力がこもる。
「あぁっ!! っあ……ッッ」
「ンンンンンッ!!」
ガマンできず、彼の口の中で思いっきりイってしまった。
彼は涙目になりながら、俺の出したモノをすべて飲み干したと思ったら……
「ぷはぁっ、美味しかった! ご馳走様、克巳さん♪」
肩まで伸ばした髪を耳にかけながら、小首を傾げて柔らかく微笑む姿に、一気に脱力してしまった。こっちは罪悪感とか、いろんな感情でいっぱいなのに、コイツときたら――
イった後の気だるさとか、能天気な彼の姿を見てると、何も言う気になれず、ぼんやりしてしまう。
そんな俺を、怜悧な瞳をした彼に見つめられていたなんて、知る由もなかった。