テラーノベル
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新幹線のドアが開く。
「行くぞーーー!!」
あっきぃが真っ先に乗り込んだ。
「走るなって。」
あっちゃんが後ろから声をかける。
ぼくたちも続いて車内へ入る。
すると。
「あ。」
あっきぃが立ち止まった。
「どうした?」
まぜちが聞く。
「窓側、一個しか空いてない。」
「「あ。」」
なぜか数人の声が重なった。
次の瞬間。
「そこぼく!」
「俺や!」
「走っちゃダメ!」
大混乱が始まった。
「待って待って待って!」
ぼくは慌てて止める。
でももう遅い。
あっきぃとぷりちゃんが同時に窓側へ向かっていた。
「俺が先や!」
「俺だって座りたい!」
「いやいや俺やろ!」
「なんで!?」
二人とも譲る気がない。
その様子を見ていたまぜちがため息をついた。
「小学生か。」
「まぜた黙ってて!」
「なんでだよ。」
「今大事な戦いをしてるんや!」
「なおさら意味分からん。」
まぜちのツッコミが炸裂する。
その横ではちぐが困った顔をしていた。
「ケンカはだめにょ~。」
「あ。」
すると突然、あっちゃんが口を開く。
全員の視線が集まる。
「じゃんけん。」
「「「あ。」」」
その手があった。
「よし!」
「負けへん!」
あっきぃとぷりちゃんが向かい合う。
ぼくたちは見守ることにした。
「最初はグー!」
「じゃんけんぽん!」
結果は……
ぷりちゃん、グー。
あっきぃ、チョキ。
「ああああああああ!!」
車内に悲鳴が響いた。
「勝ったぁーーー!!」
ぷりちゃんがガッツポーズをする。
「うそやろぉぉぉ……」
あっきぃはその場に崩れ落ちた。
「大げさだろ。」
まぜちが笑う。
「そんなに窓側がよかったの?」
ぼくが聞くと、
「景色見たかった……。」
あっきぃがしょんぼりしながら答えた。
ちぐが少し考え込む。
そして、
「途中で交代したらいいにょ。」
と言った。
一瞬静かになる。
「あ。」
また全員の声が揃った。
「それでよくね?」
まぜちが言う。
「確かに。」
あっちゃんも頷く。
「ちぐちゃん天才ーーー!!」
あっきぃは一瞬で復活した。
「現金すぎるやろ。」
ぷりちゃんが笑う。
こうして席争いは無事終了。
みんな席に座る。
新幹線がゆっくり動き始めた。
窓の外の景色が流れていく。
海まで、あと少し。
ぼくたちの夏は、まだ始まったばかりだった。
コメント
1件
わあ、新幹線の席取り合戦、めっちゃ面白かったです!あっきぃとぷりちゃんの真剣勝負にまぜちの冷めたツッコミが絶妙で、思わず笑っちゃいました。でもちぐちゃんの「交代したらいいにょ」で一気にほっこり。仲間同士の距離感がすごく自然で、読んでて温かい気持ちになりました。続き、楽しみにしてますね!
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