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四月の午後。
教室の隅にある机の中を探していた
美羽 は、一冊のノートを見つけた。
表紙は無地で、少し黄ばんでいて、角はすり
減っている。
_ 「 見つけた人へ。 よかったら、 自由に
使ってください。 」
たったそれだけの文字がボールペンで書かれていた。
( なんだろう、これ… ? )
面白半分で美羽はシャーペンを取り出し、
ページの隅に小さく書いた。
_『 こんにちは。誰かいますか? 』
くだらない、と自分でも思った。
でもなんとなく胸がくすぐったい。
ノートを机に戻して、その日は帰った。
. . 翌朝
ふと気になって、あの机の中を覗くと、昨日のノートが同じ場所にあった。
『 え っ ? 』
開いた瞬間、美羽の心臓は大きく跳ねた。
_「 いるよ。でも、正体は秘密。 」
知らない誰かが、自分に返事を書いてくれていた。
誰だろう。どんな人なんだろう。
ページの向こうの 名無しの誰か を思うと、
不思議と胸が高鳴った。