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翌日も、ノートは机の中にあった。
放課後、美羽は少しドキドキしながらページをめくる。
_「 昨日の書き込み、読んだよ。よろし
くね。 」
一言だけ。けれど、どこか優しさを感じる文字だった。
美羽は自然と笑みがこぼれる。
( 誰だろう… )
面白半分で始まったはずなのに、すでに少し緊
張していた。
彼に自分のことを話す___
そんな小さな勇気が芽生えているのを、美羽は自覚した。
放課後の教室、友達と笑いながら話す自分と、
1人になったときにノートに向かう自分。
そのギャップが、心地よくてたまらなかった。
_『 今日ちょっと嫌なことがあったんだ 』
美羽は小さな愚痴を書き込む。
すると翌日、ノートに返事があった。
_「 わかるよ。そういう日は誰にでもある。
無理しなくていいと思う。 」
文字の向こうの人は、少し照れたように、でもちゃんと自分を見てくれている__
そんな気がした。
美羽は胸の奥がじんわり温かくなるのを感じながら、次のページに思わず書き込んだ。
_『 ありがとう。あなたと話すと少し気持ち
が楽になる。 』
ページの向こうの誰かは、まだ顔も名前も知らない。
でも少しずつ、特別な友達になっていく予感がした。
美羽はふと笑った。
( もしかしたら、このノートは私にとって、
大切な宝物になるかもしれない__! )