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船から柴犬の三郎が降りてきた。彼は堂々とサル彦に向かって歩み寄り、
「サル彦、武装強盗、誘拐、違法な兵器取引、
そしてこの鬼ヶ島を乗っ取ろうとした詐欺罪で逮捕する」と言い放った。
ヘリからはキジの花子が顔を出し、鋭い目で猿彦を見つめていた。
三郎の部下たちは迅速に動き、サル彦を取り囲んだ。そして、
サル彦の兵士たちも次々に逮捕していった。海岸には緊張と静寂が漂い、ただ波の音だけが響いていた。
サル彦は抵抗することなく、無言で手錠をかけられた。彼の目には憤りと絶望が滲んでいた。
その様子を見ながら、三郎は深い息をついて言葉を続けた。
「この島は、私たちの先祖がかつて制圧した場所だ。しかし、
桃猫太郎はここに神が宿ることを知り、鬼たちの罪を許し、穏やかに暮らす約束をして
この地を去った。この島は世界にとっての宝であり、決して汚してはならない。」
サル彦はその言葉に対して嘲笑を浮かべた。
「お前らは知らないんだ。この島にとんでもないエネルギーが眠っていることを!」
三郎は鋭い目でサル彦を見つめた。「だから、お前はそのエネルギーを手に入れるために
桃次郎を利用したんだな。桃次郎がこの島にいる椿を愛していることを知って、彼の心を巧みに操ったんだ。」
サル彦はその言葉に激怒し、「ちくしょう!」と叫んだが、すぐに部下たちに連れていかれた。
「あなたがジョセフだね」と三郎が尋ねた。
ジョセフは緊張しながらも頷いた。「は、はい。」
三郎は微笑みながら手を差し出した。「あなたのおかげでこの島を守ることができた。君は勇敢な警察官だな。」
ジョセフは戸惑いながらも、その手を握り返した。「は、はぁ。でもどうしてここに来たんですか?」
その瞬間、背後からアイリが現れた。彼女の表情は少し申し訳なさそうだった。
「ジョセフ、ごめんなさい。あなたに盗聴器をつけたわ。
あなたが裏切ったことを知って、慌ててワンダー国際警察に行ったのよ。」
ジョセフは驚いた表情でアイリを見つめた。「そうだったのか。」
アイリは微笑みながら続けた。「汚職スクープは逃したけれど、命の方が大切よ。
それに、あなたのおかげで黒幕を突き止められたの。あなたの情報が決定打だったわ」
ジョセフは少し照れくさそうに笑った。「ありがとう、アイリ。」
三郎はその様子を見守りながら、深く頷いた。「君たちの勇気と機転が、
この島を救ったんだ。これからも共に平和を守っていこう。」
ジョセフとアイリはその言葉に励まされ、互いに頷き合った。
海岸には夜明けと共に希望の光が差し込み、彼らの未来を照らしていた。
海岸では鬼たちが次々とワンダー国際警察によって首輪を外され、自由を取り戻していた。
彼らの表情には安堵と喜びが溢れていた。
一方、桃次郎は足を怪我していたため、病院に搬送されることになった。
ヘリコプターが着陸し、彼を乗せる準備が整えられた。その前に、桃次郎は椿と向き合い、手を取り合った。
「椿、すまなかった。君の一族をこんなにも苦しめてしまって…」
桃次郎の声は痛みと後悔に満ちていた。「この島は君たちに返す。二度とこの島に誰も近づかないよう約束しよう。」
椿の目には涙が溢れていたが、彼女は桃次郎の言葉をじっと聞いていた。「桃次郎様、私は…」
その言葉を遮るように、桃次郎は優しく椿の涙を拭った。「椿、僕のあやまちが、君といる未来を閉ざしてしまった。」
桃次郎は椿の手を握りしめ、名残惜しそうにその手を離した。「さようなら。この島をいつまでも守っていてくれ。」
椿は必死に愛しているという言葉をこらえながら、涙をこぼさないように頷いた。「お元気で桃次郎様…」
ヘリコプターに乗り込む桃次郎を見送る椿の胸には、桃次郎からもらったネックレスが
輝いていた。その光は、二人の絆と決して消えることのない愛を象徴しているかのようだった。
ヘリコプターが空へと舞い上がる中、椿はその姿を見つめ続けた。
彼女の心には、桃次郎との約束と、これからの未来への決意が強く刻まれていた。