手に1本の線が走っているのに気がついた
気づけば気温が下がりきっていて、世間は冬ムードになっていた。乾燥する時期なこともあり、自分の手はよく傷つく方だった
(あれ、出さないといけない時期か。)
できるだけしたくないんだけどな。と心の中で呟く
箱を開けると、仕舞い込んで忘れてしまったハンドクリームが沢山はいっている
「……あ」
その中に一つ、わざとらしいくらいピンクで、中身が殆ど残ったものがあった
「なに急に」
突然押し付けられた箱に困惑しながら聞く
「プレゼントだよ」
「なんで?何の日でもないのに」
「とりあえず、開け」
封を開けると、そこには可愛らしいピンクの容器に入れられたハンドクリームが入っていた。
「お前手ガサガサだから気になるんだよ、ありがたく使って」
確かに自分の指先はカサついていて、あからさまなほど乾燥していた。
「……男が男にするプレゼントじゃねー」
そう言って笑うと、彼は嬉しそうに微笑んだ
(……もう何年前になるんだか)
その隣にある方を取り、手にする
(なんか、使いたくなんだよな。)
使い切ったら、終わってしまう気がして
(当たり前だけど)
アイツは今、俺の棚の上でだけ笑っている
コメント
3件
棚の上…………仏壇ってことですかね……、、😰
400文字超えまくりました。許してください