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正社員に復帰する!
颯真が成仏する日に、いいニュースが飛び込んだ。
今夜は、ちょっと豪華に〈デパ地下のお惣菜〉だ。
スーパーより高いけど、2種類買って帰宅を急いだ。
香帆が帰ると、いつものソファーに颯真が少し浮いて座っていた。
「報告があるの」
「こっちも、あんねん」
颯真は深刻な表情をしている。
「藤崎さんの写真あるか?」
「美緒の?」
香帆はスマホのアルバムを見た。
親睦会の写真があった。
営業所の女性従業員8人で撮った写真だ。
香帆の左隣で美緒が笑っている。
「これしかないけど。人数が多いね」
「これでエエ。梨那に送ってくれ」
その写真を颯真のスマホに送り、梨那のスマホに転送した。
すぐに梨那から連絡が入った。
『前列の 右から2番目の人』
「やっぱり、そうなんや……」
「ねぇ、何? どういうこと?」
「俺らの情報をアイツに教えたんは、藤崎さんや」
「え……?」
美緒と桜志郎が繋がっている? まさかと思ったが……、
(ぜんぶ納得できる)
桜志郎が、香帆の営業所に来たこと。
梨那が、颯真の〈集配地区〉に引越したこと。
三千万円の保険金のことは、美緒に話していた。
「どうして判ったの?」
「成仏しよ思てんけど、どうしても気になってな」
パワハラ上司が『白』なら、どこかに『黒幕』がいるはずだ。
それを見つけないと香帆が危ない。また狙われるかもしれない。
颯真は、手掛かりを探すために梨那に会いに行った。
新婚旅行の準備で忙しい梨那だが、話を聞いてくれた。
「桜志郎の知り合いで、宅配便に詳しい人おらへん?」
「そういえば……。私が引越すとき場所を相談した人が、宅配便に勤めてるって」
「務めてる?」
「ここなら大丈夫って。意味が解らなかったけど。綺麗な人だったな」
「会うたんや?」
「チラッとね」
「写真見たら判る?」
「たぶん」
『前列の 右から2番目の人』
梨那は8人の女性から、はっきり美緒を指定した。
颯真は「綺麗な人だった」で美緒を予想していた。
「なぁ、香帆。藤崎さんに嫌われてんの?」
「そんなバカな」
「やんなぁ。俺が おったときから仲良かったし」
(でも……、今日の雰囲気、感じ……)
(いや違う。ちょっと機嫌が悪かっただけよ)
と香帆は思ったが……、
嫌われてる、どころではない。
香帆は気付いていないが、美緒は香帆を憎んでいる。恨んでいる。
美緒は香帆のフレネミー〈友達の振りをした敵〉だった。