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ぼんやりとしながらも私は目を開けた。するとそこには一人の少女が立っていた。見覚えのある少女だった。髪は後ろにまとめ、水色のキャラクターが描かれているトレーナーにオレンジ色のダボッとしたズボン。うっすらだがその姿が見える。
「私、リンって言うの」
その少女はきっと私に向かって言ったのだろう。リン…その名前も聞いたことがあった。今日も聞いた気がするのだ。不思議に思いながらも私は言った。
「私はね、■■って言うの」
「■■って言うの?」
少女は私に問いかけた。
「うん!」
「そうなんだ奇遇だね」
奇遇…?私はその言葉の意味がわからなかった。名前を言っただけで奇遇とは…?
「そういえばここってどこなの…?」
「ここ?私もわかんない」
「リンもわからない場所?」
「うん…」
辺りは真っ暗できっと私とリンしかいないだろう。ここは一体何なのか。凛にも分からなければ私も当然知らない。
「ここって出れないの?」
「出れるよ」
「出られるの!?」
まさかの言葉に私は驚いた。こういった場合、だいたいは出られないという偏見を持っていたのだ。
「じゃあ出してよ!リンも一緒に」
「ううん。私はね、ずっとここにいないといけないの」
「え?ずっと?」
「うん。でもねきっと■■は出られるよ!絶対」
「…でもリンは?」
「私はもうここに何年もいるし、これからもきっと何十年といると思う」
「また会える?」
「うん。きっとね。大丈夫だよ。安心して。私は■■が成長すればその分成長するの」
「え?」
私は少し、不気味な感覚を覚えた。私が成長すればその分成長する?
「それで、■■は今エドワードのことを調べているんでしょ?」
「エ、エドワード?」
私はその言葉になにか聞き覚えが合った。妙な感覚だった。
「面白いこと教えてあげる。実は彼の奥さん、オリビアはエドワードと結婚する前、不倫してたの。ふふふっ。面白いでしょ?もっと面白いこと教えてあげる。実は、そのオリビアの不倫相手の子孫に彩がいるんだよ!ふふふふっ!面白くない?」
その瞬間、今まで感じていた妙な感覚の正体が分かった。私はこの出来事を忘れようとここへ来たのに……。
そうだ…私の名前は………。
「凛〜?ご飯よ〜?」
一階からの母親の呼びかけに凛は目を覚ました。時計に目をやるとすでに6時半を超えていた。もうこんな時間かと思いながら自室を出て、階段を下り、リビングへ向かった。リビングのダイニングテーブルには白い皿に乗った黄色く輝くオムライスがあった。ケチャップでハートが描かれており凛は嬉しく思った。
夕飯を食べながら凛はエドワード氏のことを考えた。不倫…あってほしくはないがそうでなければ辻褄が合わない気がしたのだ。その時、向かい側に座っていた母親が口を開いた。
「最近彩ちゃんとはどう?」
「う〜ん。まあ普通かな?」
「そう。まあ嫌悪になってなくて良かったわ」
その時、凛の頭に一つの話が浮かんできた。どこで聞いたのか。聞き覚えはあるが思い出せない。
“オリビアの不倫相手の子孫に彩がいるんだよ”
もしそれが本当ならば………。