🇩🇪「お疲れ様です。オーストリアさん」
オーストリアの下に住み込みしている青年 ドイツは、学園生活と共にオーストリアの仕事も手伝っていた。今日も仕事が終わり、汗をタオルで拭く
🇦🇹「やっぱお前の宣伝術はすげぇなー。お前がいなきゃここまで繁盛しなかったと思う」
🇩🇪「いえいえ、オーストリアさんの美味しい
お菓子のおかげもありますよ!」
🇦🇹「そういやもうすぐ進路の季節だよな。お前、なんか夢はあるか?」
🇩🇪「いえ…特にありませんが」
🇦🇹「ならお前、人の前に立つ仕事を目指したらどうだ?」
ドイツの優秀な会話術。そして頭の回転力
オーストリアは彼が市のために役立てる仕事が
できるであろうと判断した
人の…前に…立つ…
その言葉を聞いたドイツは少し震える
🇦🇹「おい?どうした。嫌だったか?」
🇩🇪「あ…いえ…すこし寒かったので震えてしまいました!体あっためてきます!」
ドイツは急いで自室に戻り、鏡を見る
未だに体が震えている
🇩🇪「はっ…はっ…だめだ…」
深呼吸して激しく呼吸し、心拍数を増やす
自分の心臓に手を合わす
やっぱりダメだ…その言葉を聞くと
トラウマが蘇ってくる…
ドイツの朝は早い。毎朝午前5時に起床し、商品の品出し、陳列の準備をしてから学園に向かう
学園に向かう途中、彼はいつも2人の親友と出会ってから向かっている
まず1人目はーー
🇮🇹「Buongiorno!今日もいい朝だね!」
🇩🇪「お前はいつも能天気だよな…」
彼女の名はイタリア。イタリア王国の子供であるが彼女はそのことを知らない
授業中はいつも寝るくせに、成績はよい
文武両道で男女構わず人気がある
2人目はーー
🇯🇵「ドイツさん…おはようございます」
彼の名は日本。ある建物に1人でいたところ、
アメリカに保護され、育てられた。本人は親の記憶がなく、捨てられたと解釈している
彼とドイツは幼馴染である
🇮🇹「Giappone!隈なおしなよ!またオールしたの!?」
彼は勉強と読書が好きであり、それらのせいで夜明けまで寝ずに過ごしてしまうことがある
🇯🇵「すみませんイタリアさん…つい面白くて…イタリアさんも読みませんか?」
🇮🇹「今度読むんね!」
と、日本から度々本を借りるイタリアだが
全く読まないまま返すことで有名である
いつもこの3人で学園に向かう
彼らが通うカンヒュ学園は市内で一つしかない高大一貫校であり、多種多様な人々がいる
そして今日も彼らは学園で学ぶ
教師「はい皆さん。おはようございます」
一同「おはようございます!」
ガララ…
教室のドアが開く
教師「おやスペインさん?遅刻ですよ?」
🇪🇸「すみません。モデルの撮影があって遅れまして…」
彼女は若いながらも街を飾るモデルとして市内全体から人気を集めている。もちろん男子生徒の人気も高い
スペインとイタリア。そしてーーー
教師「今日は生徒会から放送があるみたいでよ。よく聞いてください」
🇫🇷「皆さんおはようございます。生徒会長の
フランスです。今日お話しするのは…」
かつてナチスに酷い目に遭わされたフランスの
娘。彼女は現生徒会長を務めていて、頭脳明晰であり、いつもテストで学年トップを務めている
陽気なイタリア。クールなスペイン。清楚なフランス。一部の間では彼女らのことを
「学園美人三銃士」
と呼んでいるのだとかいないのだとか
教師「そして午後から進路面談があるのでお忘れ無く」
🇯🇵「面談ですか…2人ともなにに夢はありますか?」
🇮🇹「ioは学校の先生になってみんなを導くんね!」
🇩🇪「いいじゃん。でもピザとパスタについて厳しいルール言いそうww」
🇮🇹「うるさいんね!日本は?」
🇯🇵「私は会社員について沢山金稼げればそれでいいです…」
🇮🇹「なんかやりずらいな。ドイツは?」
🇩🇪「俺はまだ決まってないんだわ」
友達の前ではこう軽々しく言えてるが…悩みすぎて心労になってることなんて言えない
やっぱり進路の話になると頭がモヤモヤする
午前中はいっつもそうして過ごしていた
🇩🇪「手…洗うか」
モヤモヤしながら歩いていると
ドンッ
🇩🇪「うわっ!」
人にぶつかり、後ろにこけてしまう
「ご、ごめんね!怪我ない?」
手を差し伸べてくれたのは生徒会長のフランスだった
🇩🇪「あ、ありがとう…」
明らかに俺の過失なのに…優しすぎるよ
せっかくだから俺はそのあとフランスに進路について聞いてみることにした
🇫🇷「進路ねぇ…私も決まってないんだよねー」
🇩🇪「やっぱフランスさんはこう…カリスマ性あるし…顔綺麗だし…///(小声)人前の仕事向いてんじゃない?」
🇫🇷「ドイツ君の会話力には劣るよ。ドイツ君こそ人前に立つ仕事やってみたら?」
その言葉を聞いた瞬間ーー
🇩🇪「うっ!うぅ…おえっ…」
心臓が高鳴る。過呼吸になる。苦しくてうずくまる
🇫🇷「え?どうしたの大丈夫!?私…気に触るようなこと言っちゃったかな…」
🇩🇪「かっ…貴女はっ…うぷっ…」
貴女は悪くない…俺の…俺自身の問題で…
🇩🇪「はっ…」
目覚めたそこは保健室だった。手があったかい…
🇫🇷「よかった!起きてくれて!」
気づけば俺はフランスにずっと手を握られていた
🇩🇪「なんで…俺なんかの…ために」
🇫🇷「今日保健室の先生出張でいないんだよ
だから生徒会長である私が君を看病しないとって…」
なんつー責任感。聖人すぎて心配になるくらいだ
🇫🇷「大丈夫なようなら先生呼ぶね?」
🇩🇪「あぁ…そうして…くれ…」
しばらくすると、先生が保健室に入ってきた。
今の時間は昼休み中で忙しいはずなのに
わざわざきてくれた
教師「もう大丈夫なんですか?紅茶でも淹れましょうか?」
🇩🇪「あ…お願いします」
紅茶を注ぐ音と、香ばしい匂いに俺の心臓は落ち着く。ここは保健室なのに、高級な喫茶店に来てるみたいだ
教師「これで飲んで落ち着いてください」
カップを持ち、俺は紅茶を飲む
🇩🇪「…うま!」
思わず声に出してしまう美味しさ。さっきまでの不安が吹っ飛んでしまった
教師「それはよかったです。息子たちにも評判なんですよ。これ」
どんどん飲んでいく俺の姿を教師は幸せそうに眺める。そして俺が飲み終わったあとーー
教師「さてドイツさん。何か悩み事でもあるのですか?」
🇩🇪「え、、えぇ…はい」
教師「こう見えて私は神経質でしてね
何かあったら見過ごせないのです」
🇩🇪「でも…これは俺自身の問題であって…」
教師「それでも…私はできることをしますよ
大切な生徒ですから」
幸せそうな笑顔から一転、真剣な眼差しへと変わった。俺はその気持ちを受け取りついに
打ち明かすことを決めた
俺の過去。そして今でも背負う、
大きなトラウマを…