テラーノベル
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ぐちゅ、ぱちゅん、と厭らしい水音が部屋に木霊する。
もう、何時間こんなことをしているだろうか。
吐き出すだけ出し尽くした俺のモノからは、透明な液体がだらだらと静かに流れて、シーツに水溜りを作り続けていた。
「…っぅぁん、、めめッ、もう…おれ、、、っできない…しんじゃ、ッああ“あ“ッ!?!?」
「あ?なに?聞こえない。」
「もう、むり…だって…ッ!?ひぁ“ああ“ッ!!」
「こんなもんでへばるわけ?それに…」
「…めめ、じゃねぇだろ?」
低く唸るような声に体が強張る。
「ッ、ひっ……ご、ごめ、ごめんなさい…、やだ、やめて……おねがい…れんっ、れんッ!これ以上されたら、ほんとに…こわれちゃうから…おねが…ッぅあ“あ“あ“ッんんん“!?!?」
「それいいね。壊れろよ、ほら、俺で壊れてもっと啼けよ。」
蓮と体を重ねるときはいつもこう。
目が合い、お互いの唇を触れ合わせれば、それは始まりの合図。
何かのスイッチが押されて蓮の人格すべてが変わったように、荒々しく、乱暴に、怖いくらい凶暴になった蓮に抱かれる。
拒んだり、嫌がったり、抵抗したりする素振りを見せれば、もっと激しく手酷くされる。
今だって、「できない」「むり」というたびに俺の言う事なんて聞こえないふりをして、一番深いところをガツガツと突き上げてくる。
拒まれるのを嫌うかのように、そんな言葉なんて言えなくなってしまえば良いと言うように、俺の口から湿った声だけを出させるように、そんな風に腰を振る。
それから、蓮は行為中に名前を呼ばないことをひどく嫌う。
嫌悪にも近いような気持ちなのか、「めめ」とひと度呼べば、そこからは俺の言葉など、もうなにも届かない。
背中が甘く痺れるなんて、そんな可愛いものじゃない。
全身がバラバラになってしまうのではないか、というくらい気持ち良くて、気持ち良すぎて怖くなる。
これ以上の快感を与えられてしまえば、俺は狂ってしまうのではないかと、何度も何度も怯えた夜を超えてきた。
蓮が怖い。普段は優しくて、少し意地悪で、とても格好良い、俺の自慢の彼氏なのに。
彼氏に怖いなんて、思ってはいけないんだろうけど、とても拭えない。
蓮と過ごす夜が怖い。
愛してる。大好き。離れたくない。そんな気持ちだけで、今まで必死に蓮に縋り付いてきた。
「れんッ…!れ、ん“んぁ“ッ!?、ごめんなさ…ぁっ、もう、よばないからぁッ…ゆるして…」
「あ“?」
「れんっ、すき、、っあいしてる…ッぃぁああ“ん“っ!きす、きすしたい…おねが…ッあ」
「ふは、いいよ?口開けろ」
「っあ……ふぁ」
「ん…ッふ、、」
「んんぅ…ぁぐ…っ!?、ん、っふぁ……っあ“ぁ“ああッ!?」
口を開き、蓮の舌を招き入れる。
俺の謝罪、愛情の紡ぎと、強請り媚びるような声に気を良くしたのか、蓮は口内を隅から隅まで蹂躙して、思い切り俺の舌に歯を立てた。
鋭い痛みが走る。
しかし、その痛みすら、今は快感となって押し寄せてきて、 どろっとした鉄の味が喉を伝った。
蓮は唇を離すことはしないまま、傷口を執拗に舌先で舐めてつつく。
その腰は止まることなく、 俺の最奥を穿ち続ける。
もう、なにも考えられない。
暴力的な愛の中で、必死に、自分の体の形を保つように蓮の首と腰に手足を絡ませてしがみついた。
「…っくはぁッ、、イきそ…」
「んん“ぅぅぁあ“ッ!!れんッ!れ“んッ!イッて、おれのナカで、、イッて…ッ!」
「…ッぁ“……」
蓮と繋がっているところに、温かいものが流れ出してじんわりと広がっていく。
「…っふ、はぁ、、ッ、大介?大丈夫?」
「ん、ふ、ん、ぁはぁッ………ん、だいじょ、ぶ……」
スイッチが切れた蓮が、俺を見て、心配そうに声を掛けてくれる。
優しい目をしていた。
どうやら戻ってきたようだ。
そして、指一本さえも動かせない俺の体をきつく抱き締めてくれた。
「大介、好きだよ。愛してる。大好き。」
蓮は、俺の脳内にまで届くようにと囁き、大切なものを扱うようにと全身を撫でてくれた。
蓮は、出したばかりの自身の種で膨らむ俺の腹に手を当てながら、恍惚の表情を浮かべていた。
あぁ、、この瞬間が好き。
蓮に愛されていると感じることができる、この一瞬が大好き。
行為後の優しくて柔かい時間に何度も絆されてきた。
恐怖と甘さを繰り返し刻まれたこの体は、いつの間にか全て蓮のものになっていた。
どんなに傷付けられても、蓮が俺にくれたものだから、全部愛おしくて全部大切なの。
愛してる。
蓮だけを愛してる。
「ん、、おれも…あいしてる…」と返事をして、意識を手放した。
翌日、舌にできた傷口に、お昼ご飯が染みて鈍く痛んだ。
「っ、ってぇ…!」
「んぉ?どったの。」
隣でラーメンに息を吹きかけ、温度を冷ましていた深澤が反応する。
「あ、いや、昨日ベロに傷出来ちゃってさ。」
「いや、どういう状況?笑 どれ、見せてみ?」
「ん、ぁい。」
口を開けて、舌を出す。
「あー…。結構深いねぇこれ。」
深澤は俺の顎を掴んで、舌の様子を見てくれる。
「ぁじ?」
「うん、なるべく荒れないようなの食べな?」
「ぁいあろ」
「ふは、マヌケな顔。」
「っ!なんだとー!!」
「あはははっ!早く食えよ!!」
二人で笑いながら、ご飯を食べた。
その光景を、蓮がどんな目で見ていたかも知らずに。
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いっすね