康二「もぉ〜…ほんまに痛いんやからな!」
ごめんごめん、と笑いながら言うめめ。
結局おんぶしてリビングまで運んでもらった。
いつもは俺が作る朝ごはんも今日はめめ作。
インスタントコーヒーの温かさにほっと息をつく。
蓮「それ可愛いんだけど」
カップが熱くて袖を引き伸ばして持っているのがお気に召したのか微笑みながら可愛いと言ってくる。
康二「…めめ、俺に可愛いって言い過ぎちゃう?」
恥ずかしいんやけど、と付け足すとまた可愛いと頭を撫でてくる。
いつもこんなこと言わへんのに…っ
いつものめめとのギャップにやられかけながらコーヒーを啜る。
その俺をにやにやしながら見つめ続けるめめ。
康二「…何よ」
蓮「何も?」
そのにやにや光線やめてくれへん!?
見られ続けるのが気まずくなって、勢いよく立ち上がる。
蓮「康二?」
康二「とっ…トイレっ…」
朝よりはマシになったとはいえ、まだ痛む身体を必死に動かしてトイレへと歩く。
いつもの5倍ぐらいの時間をかけて辿り着くと、すぐに扉を閉めてしゃがみ込んだ。
康二「あーー…もう…」
心臓がうるさい。
めめがこっちを向いて微笑む度に好きが溢れてしまう。
…えっちしてから、余計に。
重症すぎる…と自分に自分でため息をつく。
心臓の音と顔の火照りが落ち着くのを待ってから、再びいつもの5倍の時間をかけてリビングへと戻る。
結構長い間篭っていたせいか、めめはソファに移動して本を読んでいた。
カーテンの隙間から零れる光を浴びためめが、キラキラ光ってるみたいに見えて。
棒立ちしている俺に気がついて隣をぽんぽんと叩く。
蓮「おいで」
あ、やばい。なんか泣きそう。
幸せすぎて、泣きそう。
いつもなら、薬の副作用に耐えて、また薬を飲んで、吐いて。
そんな苦しい日だったはずなのに、めめが居るだけでこんなにも違う。
あの日、電話してくれたんがめめやなかったら。
企画でペアになったのも、旅行が企画されたのも、めめやなかったらきっと俺はとっくに壊れとった。
めめが見つけてくれたから、気付いてくれたから。
好きになってくれたから。
こんなに幸せで、ええんやろうか。
本に視線を移しているめめにバレへんように、溜まった涙を拭いながら隣に座ると、本の中身が見えた。
あ、これ阿部ちゃんに貸してもろたやつやん。
…難しくて諦めたヤツ。
康二「…それ、読めるん?」
蓮「いや全然」
さっきまでめちゃくちゃ格好良かったのに、見掛け倒しだったと思うと面白く見える。
めめの肩に頭を乗せて、ただぼんやりとめめの横顔を見つめていた。
ただそれだけで嬉しくて、幸せだった。
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