テラーノベル
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(深澤視点)
「ん〜…」
ダンスの練習してぇ、ご飯も食べてぇ、ちょうどポカポカする時間帯…
昨日もあんま寝れんかったし、めっちゃねむぅ…
ドダドダドダッ!!
眠気も覚めるようなうるさい足音…
これは、あいつらだよなぁ…
もちろん、周りにいるメンバーも気づいてる。
だって、いつものうるさい康二と佐久間がいないわけだ。
「ビッグニュース!!!!!」
「みんなぁ、聞いてやぁ!!」
予想通り、慌ただしく入って来たのは佐久間と康二だった。
ビッグニュースって言ってるけど、なんだろ?
「こーじ、うるさい。」
「うぇっ!?そんなこと言わんといてや、めめ〜!!」
「佐久間?周りのことも考えてね?」
「うっ!ごめん阿部ちゃ〜ん!でもでも、まじの大ニュース持ってきたから!」
康二はめめから、佐久間は阿部ちゃんから注意されてやんの!わら
ちょっとしょげたみたいだけど、2人はまだ興奮してるみたい。
「で、そのニュースってのは?」
「くだらないことだったら、マジでキレるかんな。」
「もしかして、何かの出演決定とか?」
舘さん、翔太、ラウが乗り気になってきてる。
「………」
照も、ちょっと興味持ってるみたい。
表情には出てないけど、真剣に聞こうとしてる。
佐久間は大きく息を吸い込む。
「俺らさ、1週間前に『CUT OUT!!』の雑誌撮影したじゃん?その雑誌の会社のスタッフさんから…」
佐久間がそこで一回止める。
俺らはゴクリって息を呑む。
そして、康二と佐久間が満面の笑顔で
「『また、撮影の仕事を受けてほしい。』やって!!!」
「しかも、表紙なんだぜ!!!!!」
「えええええええっ!!?」
全員で驚愕の声を上げる。
みんなは、もちろん驚きと喜び。
俺は、驚きと、“安心”で。
え……?マジで?
本当に表紙?
ほんとに表紙になっちゃったの?
やった……
やったああああ!!!!!
ほんとに…ほんとによかった…!
嬉しい、嬉しすぎる…
やっぱり、やっぱり間違ってなかったんだ…!
あの日、俺は丸山さんと“契約“した。
〜1週間前〜
「……なんでも、します…!」
胸の中の消えない熱に任せて言っちゃった。
勢いばっかで行動すんなって照とか阿部ちゃんがこの場にいたら、絶対怒られてるなぁ、わら
でも、丸山さんはちょっと言い方と視線が怪しいけど…
普通に優しそうな感じもするんだよね。
頑張るっていうのも、ただの仕事の話な可能性も全然あるしね!
………おやぁ?
返事が来ないぞ?
心配になって、俺は丸山さんの顔を見つめる。
丸山さんは、右手を顔に貼り付けて震えてる。
…え?な、に…?
丸山さんは、ゆっくり顔を上げる。
顔が、イチゴみたいに真っ赤だった。
最初、怒ってるのかと思ったけど…
そういうわけじゃないみたい。
口の左端が上がってる。
興奮、、してるんだ…
一気に、体中から汗が吹き出る。
「そうだよね、そうなんだよね。知ってたよ、君ならそう言ってくれるってことを、さ…」
「……ま、まる、、やまさん…?」
ぶつぶつ呟きながら、ゆっくり俺に近づいてくる。
「よかった、君みたいな子を見つけられて。あぁ、本当に嬉しいよ。」
「…っ!っや、やめ…!」
逃げ出そうと思ったけど、俺から言い出したことだったから、立ち上がれなかった。
そのまま、丸山さんに両手を掴まれて、身体をソファーに押し付けられる。
…いった…
こっちは腰が悪いってのに…
……やっぱり、こっちだったんだ…
やば、枕ってこと?
バレたら大炎上だよ、くそっ…
あぁもう、バカなのは俺か。
熱と興奮に浮かされて、まんまと甘い罠に引っかかった。
照とかだったら騙されなかったんだろうなぁ…
両手首は掴まれてるし、丸山さんに体重かけられてるし…
身体中が痛い。
うつ伏せのせいもあって、息吸うのも苦しくなってきた…
これが終わったら、警察行こっかなぁ…
マネージャーさんには手間かけちゃうけど、なるべく公にならないようにこっそり、ね。
ニュースとかになられたら、かな〜り困る。
今、やっと波に乗ってるんだ。
俺のせいで、それを止めるわけにはいかない。
絶対、邪魔しちゃいけないんだ…
「深澤くん…警察とか、周りの人には言っちゃダメだからね?」
「………っ…」
丸山さんに、耳元で囁かれる。
うぅ、気持ちわりい…
こんなん、ただの脅し。
引き返せなくなる前に解決させるのが手っ取り早いし、炎上も防げる。
こんなのには、騙され…
「もし、誰かに言ったらわかってるよね?例えばさ、あの子とかどうかな?向井くん、だったっけ?可愛い顔してるよね〜。ああいう子、結構タイプだったりするんだよ。」
「……は…?な、に…言って……?」
「それとも、あの子?渡辺くん。綺麗な身体してるよねぇ…すごく、襲い甲斐がありそう…」
「……やめ…やめ、ろ………」
「あ!あの子も忘れちゃいけないよね!あのピンク髪の、佐久間くん。元気いっぱいですごい可愛い。それだけじゃないよ…君以外、候補は何人もいるんだから…」
「……ぅ…や、め…やめて、ください……メンバー、には……あの子たちには…手を、出さないで………」
そんなこと言われたら、何もできない。
「はは、君ならそう言ってくれると思ってたよ。」
丸山さんは、にっこり笑って手を離してくれる。
カバンから1枚の書類を取り出して、息を乱してる俺の前に突きつける。
「ここ、サインしてね。」
「………は、い…」
もう、抵抗する気力なんて残ってなくて…大人しく従うことしかできない。
ここから、“契約“が始まった。
もう、戻れない。
俺の当たり前だった日常が、この日を境に変わったんだ。
「マジで!?嘘じゃねぇよな!!」
「嘘だったらこんな興奮してねーよ!」
メンバーの声で、ゆっくり今に戻ってくる。
みんなが笑ってる。
すごい嬉しそうに笑ってるんだ。
「ふっかさん!」
「……ん?」
康二がにこにこしながら駆け寄ってくる。
「俺らが表紙やで!やったな!」
康二の無邪気な笑顔を見て、胸に溜まってた重いものが少し軽くなった気がする。
照は…柔らかく笑ってる。
嬉しい、嬉しいよ、ほんとに。
「うん!」
康二に腕を引かれながら、俺もみんなの輪に入ってく。
(丸山視点)
俺は、『CUT OUT!!』のスタッフとして働いている。
決して偉い立場なわけでもないし、人望があるわけでもない。
いわゆる、どこにでもいる平凡な人間だ。
この仕事についたのは、単純に楽して稼ぎたかったから。
「Snow Manさん入りまーす!」
別のスタッフの声が聞こえる。
今日は…確か最近よく名前を聞くようになった男性アイドルグループの撮影か。
どうせなら、可愛い女の子アイドルとかの撮影したいんだけどな。
俺は、少しため息をつきながら入ってきた…なんだっけ?スノーマン?とやらに目を移す。
「お願いします!!」
元気よく入ってくるアイドルたち。
さすがはアイドルってとこか?
みんな、一般人にはないオーラというものを持っていた。
いろんなスタッフに笑顔で挨拶していく。
……ま、こんな俺には見向きもしないけどな。
早く、撮影終わらせて帰りてぇな…
「……あ、本日はお願いします!」
ぼーっとしてたら、1人だけ、端っこで突っ立てた俺に声をかけてきた。
「……ぇ…は、はい!お願いします!」
驚きながら挨拶を返すと、その子はにっこり微笑んでみんなのとこに戻ってった。
あの子……
俺は、事前に渡された資料に目を落とす。
深澤辰哉…
その子について書かれている資料を夢中になって読む。
撮影中も、あの子から目が離せなくなってた。
うちのスタッフは、今回目黒?だったか。
その子を目当てにしてたから、それ以外のメンバーにスポットが当たる機会が少ない。
特に、深澤くんのカメラ映りが少ない。
可哀想だなって思う。
でも、深澤くんは映っていない間も笑顔を絶やさずに、優しい顔で他のメンバーを見てる。
優しい子なんだろうな……
それに加えて、メンバー思いで頑張り屋さん。
自然と、応援したくなっちゃう子。
…………すごい、いい匂いしたな……
さっき挨拶された時、すんごい甘い匂いした。
それに、可愛い顔してる。
特に、笑った時の顔が可愛い。
あと、口元に添える手も可愛い。
あ、めっちゃ手綺麗だな。
指が長くて細くて…
うわ、身体ほっそいなぁ…
ちゃんと食べてるのかな?
心配になっちゃうよ。
華奢だし、色白いなぁ…
今まで、結構な女の子アイドルとかモデルさんとか見てきたけど…
その子たちより、断然可愛い。
休憩中も、ずっと彼のことを見てた。
でも、途中でメンバーの子と外に行っちゃって、俺の視界の外に出た。
しょうがないから、彼のことをもっと知るために、スマホを開く。
YouTube、Instagram、ネットニュースにその他諸々…
調べれば調べるほど、たくさんの深澤くんが出てくる。
見れば見るほどわかってく。
普段はおちゃらけてるのに、急に出てくる大人の色気。
あ、楽しそうに笑ってる。
子供っぽくて可愛いなぁ…
めっちゃふわふわしてる。
うわあ、可愛いなぁ…
……あ、この写真…
反り腰で、すごい扇状的だ…
やっぱり細くて肌白いな…
これも、これもこれもこれもこれもこれもこれも………
全部が、俺の欲を唆る。
すごい、従順そうだな…
ふと、そんなことが浮かんだ。
メンバー思いで、お願いとか頼み事断れないタイプだろ。
「…………」
休憩から帰ってきたみたいで、深澤くんが戻ってきた。
メンバーと一緒にいるからなのかなんなのか…
無防備に笑うその姿が、俺には好都合に見えた。
俺は、撮影後に彼のことを呼び出した。
自分から呼びに行くのもあれだから、別のスタッフに頼んで。
来てくれるかな?
来てくれるよね?
だって君は、優しい子だから…
「失礼しまぁす…」
控えめにドアの開く音がする。
この可愛らしい声…
間違えない、ほんとに来てくれたんだ。
あぁ、嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい……!!!!!!!!!!
本物だ、本物だ…!!!!
今は、俺と2人きりだよ?
誰も周りになんていない、俺のことだけを見てくれる、俺にだけを、俺のことをただのスタッフとしてじゃない、1人の人間として向き合ってくれる、俺にだけその可愛い顔を向けて、俺にだけその可愛い声で話しかけてくれる……
「深澤辰哉くん、だね?」
「いやぁ、急に呼び出して申し訳ない。とりあえず座ってくれるかな。」
「名前を伝えるのを忘れてたね。僕は“丸山“と言うものでね。呼び出したのは、深澤くんに大事な話があるんだ。」
表面上は、冷静に、優しいスタッフさんとして認識してもらえるように接する。
まずは、警戒を解いてほしいからね。
予想通り、緊張してた深澤くんは少し安心した顔をしてた。
……やっぱり、可愛いなぁ…
「君たちSnow Manに、この雑誌の“専属モデル”になって欲しいんだ。」
「本当、ですか…!?」
俺が、雑誌の専属モデルの話をした瞬間、深澤くんは興奮したように瞳を輝かせた。
やっぱりだ。
この子は、すごく操りやすい…
深澤くんが1人でここに来て、警戒を解いてくれて、この話にも乗ってくれてる。
全部がうまくいってる。
今だって、深澤くんは興奮で俺の話を聞いてないみたい。
だから、これはどうかな…?
「…期待してるとこ悪いんだけどね、さすがにただってわけにはいかないんだ。」
深澤くんが少し眉を下げた。
可愛い。
急に現実に引き戻しちゃって申し訳なさもある。
でも、その悲しそうな悔しそうな顔もかわいいね。
「深澤くん。」
優しい声音で名前を呼ぶ。
期待、してるんでしょ?
何をすればいいのか、って……
「何、ですか?」
ほら、やっぱり…
君はそういってくれると思ったんだよ。
もう、この欲を抑えることが難しくなってきた。
だって、深澤くんが可愛いんだから。
深澤くんと目が合った。
深澤くんの瞳が揺れてる。
かわいい、かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい…………
絡みつくような、ねっとりとした視線で深澤くんの身体を見つめる。
今、少し震えた?
かわいいね。
それに続けて、俺は猫撫で声で“条件”を告げる。
「深澤くんがね、もっと“頑張って“くれたら…専属モデルも、連続表紙も、各々のメンバーの大型特集も、単独表紙を飾ることだって……ぜぇんぶ、夢じゃあないんだよ…」
「……なんでも、します…!」
しばらく待ってから、やっと深澤くんからの答えが返ったきた。
……今、なんでもするって言った?
なんでも?
なんでもって言った?
俺が言ったのは、もっと頑張ったらってだけ。
何をするとも言ってないのに、なんでもしますって…
何でもするって、すごい都合いい言葉だよね。
だって、こっちが何もしなくても、向こうから全部差し出してくれるんだから…
あぁ、嬉しいなぁ…
これで、思い通りになる。
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#BL
kaede🍁
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コメント
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第2話、読み終えました…!深澤くんの視点と丸山さんの視点、両方を読めたことで、あの“契約”の重みがひしひしと伝わってきました。メンバーが表紙の知らせではしゃぐ中、深澤くんだけがあの日の恐怖を思い出している対比が胸に刺さります。それにしても丸山さんの執着、尋常じゃないですね…。メンバーを盾にされて、もう逃げ場がない描写が本当に苦しくて。でも、康二の無邪気な笑顔に少しだけ救われる深澤くんの姿に、泣きそうになりました。次が気になります…!