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(深澤視点)
表紙が決まったあの日から、俺らはずっと『CUT OUT!!』から仕事をもらってる。
何回も何回も…
連続表紙に単独特集、単独表紙…
求めていたものの全部が、叶ってる。
今日も…撮影だったかな……
撮影前と撮影中は、ずっと楽しい、と思う…
みんなと一緒にしょうもないことを話しながら、楽しく撮影する。
それだけで、俺はすごい安心した。
そこだけが唯一、安心できる場所だった……
撮影後の”あれ“さえ考えなかったら、いつも通りの楽しい撮影なんだけどな…
今日も、俺は見られてる。
現場に入った時から、撮影中、現場から出る時の間全部…
ねっとりした視線が、ずっと俺を追いかけてくる。
周りのメンバーの楽しそうな声が聞こえてくる。
でも、それがどこか遠く聞こえて…
俺は、ソファーに寄りかかりながらみんなのことを見る。
楽しそうだなぁ…
康二が翔太にくっついて、それに佐久間が乗って、それを見てラウとめめと舘さんが笑って……
阿部ちゃんと照は、仕事の話をしてるみたい。
みんな、仕事が決まるとすごい喜んでくれる。
その仕事の内容がどれだけ小さくても、俺らは嬉しいし、全力でやる。
……どんな内容でも…全力、で……
「ふっかぁ〜!この後一緒に遊ばね?」
撮影後、佐久間に後ろから抱きつかれた。
「……うおっ…!?」
普段ならこれくらいの勢いだったら受け止められるのに、疲れのせいもあって、少しよろける。
「っと、ふっか!?ごめん、強すぎたか…?」
倒れそうになる俺の腕を佐久間に掴まれる。
佐久間の声に、みんなの視線も集まってる。
みんな、心配そうに俺のことを見てる。
「ふっか?大丈夫?顔色悪くない?」
阿部ちゃんが、真っ先に俺の異変に気付いたみたいで、こっちに駆け寄ってくる。
「少し疲れちゃったかな?」
ラウも、心配そうに声をかけてくれる。
それ以外にも、みんな心配してくれてる。
「……ふっかさん、今日はもう帰った方がいいんじゃない?」
帰る準備してた翔太まで足を止めて俺の心配してくれてる。
確かに、翔太の言うことが正しいんだと思う。
俺は、俺の思ってる以上に疲れてるんだ。
…肉体的にも、精神的にも、ね……
でも、さ…………
「ふっか、おいで。送ってくよ。」
「………ぇ…?」
照に、手招きされる。
手に車の鍵を持ってるし、家まで車で送ってくれるみたい。
やっぱり、照は優しいなぁ…
できれば送ってってほしい。
そのまんま、家で寝ちゃいたい。
そしたら、次の日になって、明日は…あ、阿部ちゃんと一緒の仕事だったっけ?
それに、明日の仕事は事務所の先輩もいるわけだしね。
…………できれば、そうしたいよ……
でも、できないんだもん…
俺は今日も、あの人のところに行かないといけない。
そうしないと、みんなに矛先が向く。
「…君以外、候補は何人もいるんだから…」
丸山さんの声を思い出す。
あの人が名前をあげてたのは、康二、翔太、佐久間だったけど…
康二ならあの人に騙されちゃうだろうし、翔太と佐久間は俺みたいにメンバーを盾にされたら断れない…
だから、俺が全部引き受けないと…
実際に仕事は増えてる、ファンだって増えてる。
知名度も人気も上がってる。
全部全部、俺が丸山さんと………
思い出すだけで気持ち悪くなる。
この後することを考えると、さらに気持ち悪くなる。
最近は、俺が最初に呼ばれた部屋じゃなくて、人通りの少ない小さな倉庫に呼び出されてる。
倉庫の中の丸山さんは、撮影中のスタッフとは豹変する…
「………ふっか…?」
「…ご、めん…すごい、ありがたいけど…俺、大丈夫だから…ね、?」
心配の視線から目を逸らしながら安心させるように笑ってみせる。
大丈夫だよ。
俺は平気だよ。
だから、お願い。
みんな、心配しないで。
「……本当に、大丈夫なの?」
照に心配そうに確認される。
みんなもそうだ。
「大丈夫!ちょっと疲れちゃってるだけだからさ!みんなこそ、明日仕事あるでしょ?阿部ちゃんも、明日一緒だよね?早く休もうね〜!」
アイドルスマイルを浮かべながら、早口で言葉を並べてく。
心配するみんなの横を通って、急いで自分の荷物を手に取る。
「みんな今日はお疲れ〜!じゃ、またね〜!」
「……え、ちょっ!!」
みんなの声を無視して、急いで楽屋を出る。
ほんとに、申し訳なくなる。
………ごめん…ほんとにごめんね…
俺は、みんなが追いかけてくる前に、早足で倉庫に向かった。
「今日は、少し遅かったね?」
「…………っ!!」
倉庫に入った瞬間、そこで待ってた丸山さんに身体を押さえつけられる。
いってぇな……
地味に力強いんだよ……
それに、ちょっと怒ってんのか?
声に怒りがはらんでる。
………今日は、何するの……?
倉庫の中の丸山さんは、悪魔みたいな…いや、そんなかわいいもんじゃない。
もう、あの時の柔らかい笑顔なんてなくて…
ただただ威圧的で、冷酷で…
自分の欲を俺で満たそうとしてくる。
俺のこと、何とも思ってないんだろうな…
俺のことなんか、あくまで都合のいい道具として扱ってんだろ?
ほんとに、吐き気する…気持ち悪りぃな…
それでも、俺は笑顔を絶やさない。
身体は全力でこの人を拒否する。
でも、俺はこの人のことを拒否しない。
……この人に抵抗したらどうなるかなんて…嫌っていうほどわかってる。
最初は、身体に触られるだけだった。
すごい、気持ち悪い。
佐久間とか康二に抱きつかれることもあったけど…
この人の触れ方は違う。
本当に気持ち悪い。
ずっと、嫌悪感が止まらない。
ただでさえ人に触られるのは嫌なのに…
少し経ってからは、身体に触れられるだけじゃなくなってきた。
最初は腕とか脚とか見える部分。
その後は、腹とか腰とか見えない部分。
触り方、発する言葉、息の荒げ方…
ほんっとうに、気持ち悪いね…
今日だってそう。
最初は小さな触れ合いから始まる。
アクション用かなんかで置かれてるマットの上に押し付けられる。
「…俺、言ったよね?撮影終わってから10分以内にはここに来るようにさ?」
「………すいません…」
やっぱ、今日は機嫌悪りぃな…
はは…めんどくせぇなぁ…
この人のご機嫌どり、ほんとにめんどくさい。
何で怒るのか全くわからん、わら
とりあえず謝る。
俺だって一応演技はしてるし、ちょっと反省してる雰囲気出せたかな?
「なんで遅れたの?俺との約束ですら守れないの?」
でも、丸山さんの怒りは止まらない。
俺を押さえつけてる手の力がさらに強くなる。
だから、痛いって…
本当なら、こいつのことを一発ぶん殴って、ここから逃げ出したい。
でも、そんなことできないんだよなぁ…
1回、抵抗したことはある。
最初に、服に手を入れられた時…
すんごい気持ち悪くて、手を強めの力で振り払った。
笑顔で接するのも忘れて、急いで倉庫のドアまで走って…
なんとか逃げようとした。
………でも…
「……は?」
後ろから、怒りのこもった丸山さんの声が響いた。
恐る恐る、後ろを振り返る。
「何してるわけ?まさか、逃げようとしてんの?」
「………ぁ…い、や……」
ズカズカとこっちに近づいてくる。
「……い゛っ……!!」
ゴリラみたいな強い力で肩を掴まれて、ドアに思いっきり押し付けられる。
これじゃ、なんも出来ねぇじゃん…
「お前さ、自分の立場分かってんの?拒否権あるとか思っちゃってんの?」
冷たくて、苛立ちを帯びてる声が、静かな倉庫の中にやけに大きく響く。
まずいなぁ……
かなり怒ってるよ…
「お前はもう逃げられねぇんだよっ!ちゃんと契約書にサインしただろ?お前は俺に身体だけ差し出せばいいんだよ!!!なぁっ!!!?」
うわぁ…
いい歳こいてヒステリックかよ…
やっぱり、こいつめんどくせぇなぁ…わら
でも、ここでご機嫌どりしとかないと俺らの仕事に影響が出るわけだ。
それはまずいわけだし…
それに、俺に逃げ場なんてないのか……
契約書にサインしちゃったし…それを出されたら俺にも非があるってことになっちゃうよね…多分。
どうなんだろ?
俺は法律とかに詳しくないからなぁ…
阿部ちゃんとかラウなら知ってるかな?
ま、こんなこと聞けないけどね!わら
そこからは、淡々と対応した。
丸山さんの気に触れることをしないように。
少し申し訳なさそうに謝りながら、怒りで震える丸山さんの手に優しく触れる。
そうすると、丸山さんの怒りは落ち着いてったぽくて、俺も少し安心する。
こうやって、この人のご機嫌どりするのがめんどくさいから、俺はこの人に抵抗できない。
今日は、どうすれば怒りが収まるかなぁ……?
遅れたって言うけど、それも1分2分でしょ?
変なとこ細かいんだよなぁ…
俺だって十分急ぎましたけど?
はぁ…もう手押さえられてめっちゃ痛い…
俺は腰が悪いんだって…あ、この人は知らないのか。
うつ伏せで押さえつけられると腰にくんのよ…全く……
「なぁ、聞いてんのかよ?あぁ!?」
うるさい…耳元で叫ぶなよ…
「すいません…」
俺の謝罪なんて聞こえてないんかな?
押さえつける力が緩まない。
かなり怒っちゃってる…
まずいなぁ…
ほんとに、今日は何されるかわかんない…
………覚悟、決めないとかなぁ…………
「はぁはぁ…あのさ…俺のことを、怒らせないでくれるかな…?」
しばらく怒鳴られ続けてたら、やっと落ち着いてくれたみたいだ。
どれくらい、時間経ったんだろう…?
ずっと耳元で叫ばれてたから、まだ頭がギンギンしてる…
「俺だってさ、できれば怒りたくなんてなくてさ…?ね?わかるでしょ?」
なんか言ってんなぁ…
自分から怒鳴り始めたくせに、俺のせいにすんなよ…
「躾が、足りなかったのかな?」
はぁ…早く帰りたいなぁ…
「まだ、自分の立場分かってないんだよね?」
明日の仕事って…
あー、そうだ。
阿部ちゃんと一緒だったよね。
楽しみだなぁ…
「ちゃんと、わからせないとな…」
そういえば、今週の休日は佐久間と翔太と康二と買い物行くんだったよね。
最近都内にできた大きいとこ。
久しぶりの4人で買い物だ。
何着てこうかなぁ…
こんなこと考えてないと、おかしくなりそう…
丸山さんは何か言ってるけど…
頭はさっきの怒鳴り声に余韻でまだ痛いし…
俺が聞こうともしてないから、何言ってるのかもわかんない。
………ちゃんと、聞いとけばよかったな…
そしたらまだ、逃げられたかもなのに……
「………ひっ…!?」
急に、ズボンの下に手を入れられる。
そのまま、下着の中に…
「……ぅえ……や、やめ…………」
気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い………
何、こいつ…
どこ、触ってんだよ…!
「……離して…!ほん、っと……!やっ…!……っ…ッッッ!!!」
急いで口元を抑える。
まずい、これほんとにまずいやつ…!!!
「何押さえてんの?声、聞かせろよ。」
無理やり手を引き剥がされる。
やばい……
「…ん…んんんっ…!………あっ…!?」
他人に触られて気持ち悪いのに…
身体は素直に反応する。
なんで…なんで…
「っんんんん〜〜っっ……!!………ぁ…♡……」
「かわいいねぇ…かわいいよ、深澤くん…」
気持ち悪りぃ…
触ってくるこいつも気持ち悪い。
触られて素直にイった俺も気持ち悪い。
最悪だ…
最悪だよ、ほんとに……
でも、やっと解放してもらえた。
早く、帰りたいな…
しばらく、苦しい余韻でマットに倒れ込んだままだった俺を置いて、丸山さんは帰ったみたい。
数分経ってから、ようやく身体を起こして、倉庫の裏口から出る。
すっかり外は暗くなってて、すごい静かだった。
誰かに見られたらまずいかなぁって思って、フードを深く被る。
俺は、結構私服でパーカーが多いから、こう言う時に便利なんだ、わら
家に帰ろうと思ったけど…
喉が渇いてたのかな?
無意識に、自販機の前で立ち止まってた。
小銭を入れて、缶コーヒーのボタンを押す。
でも、指が勝手に押したのは、隣に置いてあるココアだった。
それに、まろやかさ20%アップの甘いやつ。
「ははっ…ったく、子供かよ…」
そう呟きながら、ガタン!って音を立てて落ちてきたココアを手に取る。
ココアなんて、久しぶりに飲む。
缶を開けたら、なんか笑いが込み上げてくる。
自嘲、なのかな…?
いつから、こんな生活が当たり前になってたんだろ…?
暗いのもあって、自販機のガラスに俺の顔が反射して映ってる。
「あー…肌、荒れてんな〜…」
最近、全然寝れてなかったもんな…
メイクでなんとか誤魔化してるけど、そろそろ翔太とか康二にばれそう…
頬を指先でなぞりながら、少し冷めたココアに口付ける。
「ははっ…あんまいなぁ…」
さすが、まろやかさ20%だ。
口に広がる甘さに、少しだけ胃が気持ち悪くなる。
でも、その気持ち悪さが、唯一普通の味に感じた。
今日、機嫌悪くてめんどくさかったなぁ…
……ほんと、笑うしかねぇよ……
缶を握る指先に力がこもる。
グシャっていう、潰れる金属音が静かな夜に、小さく響いた。
でも、まだ俺は大丈夫。
反射する自販機の前で、笑顔を作ってみせる。
ほら、俺はまだ、ちゃんと笑えてる。
俺は、今だって完璧なアイドルスマイルを保ててる。
誰にも気づかれずに、誰にも迷惑をかけずに…
俺は、近くのゴミ箱に潰れた缶を放り投げる。
ガタンって音を背後に、俺はゆっくり家に向かう。
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みぅです🤍🥀 第3話、読みました… 深澤くんの心の声がすごくリアルで、胸がぎゅっと締め付けられました。楽しい撮影とのギャップ、メンバーを守るために自分を犠牲にする選択…「大丈夫」って笑う姿が切なすぎる。ココアのシーン、あの甘さが逆に苦く感じる表現が刺さりました。 続きが気になるけど、読むのが怖くもある…そんな複雑な気持ちです。
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